第4話:メイドを落とすのはヒマラヤに完全登頂するくらい難しい。

「今から言っておいてあげるけどライバルだらけだよ」

「ウィッカちゃん目当てに鼻の下伸ばしたお坊ちゃん達が、わんさかカフェに

やって来るの目に見えてるもん」


「そうか、そのこと考えてなかった」


晴れていたと思った空がまた曇って行きそうだった・・・豪雨にならないうちに

ウィッカちゃんをなんとかしたかった。


「前途多難だな・・・もしウィッカちゃんが客の中の誰かを気に入っちゃったら

ウィッカちゃんを俺の彼女にって思惑は危くなるな」


「それよりもまずはウィッカちゃんと仲良くならなきゃ」

「それがまず先決だろ」


「あのさ、レイちゃん今日はもうウィッカちゃんは店には出ないのかな?」


「今日は紹介だけだと思うけど・・・本格的にお店に出るのは明日からだね」

「シフト制だから・・・今日は私とアンちゃんと他の子かな?」


「レイちゃん・・・俺、明日も店に来るからさウィッカちゃん紹介してくれない?」


「いいけど・・・私には興味ないの?」


「悪い・・・俺もうウィッカちゃんのことしか頭にないんだ」

「カフェの子はみんな可愛い子ばかりだけど、俺はもうウィッカちゃんだけに

全集中」


「いいけど・・・まあ逆に私と付き合ってって言われても困るから」

「言っちゃ悪いけど、大福ちゃんは私のタイプじゃないから、お客さんとしては

持てなすけど、プライーベトはただの友達だね」

「店に来るたびに口説かれてたらウザいから大福ちゃんの気持ちがウィッカちゃん

に向いててくれたほうがいいわ」


「レイちゃんのことは好きだけど・・・」


「いいよ、無理しなくて・・・お客さんより少し仲がいい、そう言う関係もいい

じゃん」

「でも、メイドによるけど、お客様とのプライベートなお付き合いはNGって

思ってる子もいるから、ウィッカちゃんもそうなら彼女といい関係になるのは

難しいかも・・・」


「まじで?・・・ここのメイドさんは、みんな恋愛禁止なの?」


「禁止じゃないけど・・・そこまで束縛されてないからね・・・」

「私はダメだけどね」

「だから〜ウィッカちゃん次第かな」


「まあいいわ、目指すターゲントはウィッカちゃんだけだから・・・」


「まあ、せいぜい頑張ってね・・・もしウィッカちゃんを口説き落とすことに

成功したら、お店をあげてお祝いしてあげるから」

「ヒマラヤに完全登頂するくらい難しいと思うけど・・・」


「お〜っと、せめて富士山くらいにしてほしいな」


たしかにウィッカちゃんは俺にとって高値の花かもしれない。

だけど、そうだからって諦める訳にはいかない、もし諦めたら俺は一生後悔する。

ウィッカちゃんには俺の彼女になってもらわないと・・だから、当たって

砕けるぞ!!。


為せば成る、為さねばならぬ何事も・・・継続こそ力なり・・・

思い続ければいつか夢は叶う・・・諦めません勝つまでは・・・。

最後は土下座でも逆立ちでもなんでもする。

ウィッカちゃんに、そこの豚ヒールを舐めなさいって言われても舐めるぞ、俺は。

鞭でしばかれても喜んで受けるぞ〜。


それからの大福の私生活はウィッカちゃん中心に回り始めた。


でも、ウィッカちゃんは、あれよ、あれよと言う間にソルシエールの人気ナンバー

ワンになっていった。


まじでチョモランマどころか富士山の登頂すら困難かもしれない状況になりつつ

あった・・・大福はすでに滑落してるかもね。


この際レイちゃんは・・・無理みたいだからアンちゃんにしようかな?

なんてことはウィッカちゃん一筋の大福は冗談でも思わないんだな。


つづく。

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