第2話:もうひとりのメイド、レイちゃん。

「ウィッカちゃん俺と付き合ってくれると嬉しいんだけどな〜」


「そうね〜う〜ん・・・考えとくね」


「おいこら!!大福〜ウィッカちゃんを口説いても無駄だよ」

「ウィッカちゃんは誰にもなびかないし・・・第一ライバル多すぎて

彼女を落とすのは無理なんだから・・・いい加減諦めたら?」


「そい言ったのは案外、大福とは気が合う「レイ」ちゃん」


レイちゃんもソルシエールでは可愛い部類に入るかな。

で、魔法は使えない。

家がボンビーだったから魔法学校には行ってない。


「そうだけど?・・・だけど俺は、諦めないからな」


「私でよかったら付き合ってあげようか?」


「俺はポンコツメイドには興味ないの」


「なによ、ポンコツメイドって・・・私だってモテるんだから失礼なやつ」

「大福〜あんたこそモテないくせに贅沢言ってんじゃないのよ・・・そう言う

デリカシーないこと言うからウィッカちゃんを彼女にできないんだよ」

「私がイヤならいいよ、男は大福ひとりじゃないからね・・・」


「俺の彼女になるのはウィッカちゃんただひとりだから」

「ね、ウィッカちゃん」


「それはどうでしょう?」


どうしてもミルドゥフォレから逃げてきてるって負い目があるからか、ウィッカ

は相手が人間であっても用心深くなってるのだ。

人間界で平和に過ごせるから恋愛はしてみたいとは思っていた。


大福がウィッカに構うもんだから、他の男の客がざわつく、文句を言う客もいる。

ウィッカもレイも他のメイドも大福以外の客をなだめるのが大変だった。


実は大福はソルシエールでウィッカを見るまでは人間の女の子を誰も愛せない

トラウマにかかっていた。

そうなった原因は当時付き合ってた、たこ焼き屋の「みっちゃん」って子。


ところが、みっちゃんはとんでもない女で大福に金の無心はするは大福の他に

も付き合ってる男が3人もいた。

そのことを知った大福は、みっちゃんにクレームをつけたら死ねって言われて

思いっきり彼女にフラれて心身ともに立ち直れないほどのショックを受けた。

それで恋愛トラウマになってしまった。


失恋でねじ曲がった大福の心は人間の女以外に向いていった。

だけど人間じゃない女の子なんてアニメのキャラくらいしかいない訳で

そこでふと閃いた・・・そうだ・・・メイドさんならどうなんだろうって?

ある意味、メイドならアニメのキャラに近い存在、それから大福はメイドカフェ

にのめり込んでいった。

いつしか大福はメイドしか愛せない体質になってしまった。

だけど、メイドに声をかける勇気はまだ出ないまま悶々とした日々を送っていた。


人間の女なんて恐ろしくて信用できない代物。

人間不信、被害妄想、自暴自棄・・・一時は誰とも話もしないし、ひとり

でいることが多かった・・・だけど、やはち大福は誰かを愛さないと生きていけ

ない性格。

寂しがりやなのだ・・・人間の女の子以外の彼女が欲しい。

そんな大福の歪んだ心はいつしか萌え萌えなメイドしか愛せない体質にした。


そんな訳で、大福はウィッカ一筋になってるのだ。

だけど大福はソルシエールがオープンした訳もウィッカが魔法使いだってことも

まだ知らない。

普通の可愛いメイドさんだと思ってる。


もし大福がウィッカが魔法使いだって知ったら、人間じゃないウィッカはそれは

もう大福にとっては理想的な彼女ってことになるんだろう。


ウィッカが魔法使いだって知らなくても大福は自分の彼女になる女はこの世で

ウィッカしかいないって思っていた。

もし、ウィッカを失ったら自分の人生も終わるって大袈裟に思っていた。


逆に大福がメイドしか愛せない男だってことはウィッカもレイも知らなかった。

レイは大福に「街に出てメイドじゃない他の女を探せばいいじゃん」って言った

けど、それは無理な話だった。


つづく。



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