第6章：未払いの借り—緑の瞳（パート1）

2017年11月28日、15時33分 -

席から立ち上がり、目を閉じて深呼吸する。右手は震えているが、左手はしっかりと包帯を握り、コントロールを保とうとしている。汗が額ににじみ、胃に緊張が絡みつく。熱が焼けつくように感じ、急いでジャケットを脱ぎ、更衣室のロッカーにしまう。この夜の記憶として血の染みが残るのは嫌だ。更衣室を出て、暗い通路を進む。外の強烈な光へと導くトンネルだ。進むにつれて、音楽と叫び声の轟音が耳をつんざく。群衆の叫びと音楽の轟きが一歩ごとに増し、まるで地獄そのものに向かっているようだ。

この群衆は血を渇望している。そして今、僕は彼らの陰惨な娯楽の生贄だ。生と死の境界を越えつつあり、その線は一歩ごとにさらにぼやけていく。逃げようとするのは自殺行為だろうか？それとも進み続けることが自殺行為なのか？

疑念にもかかわらず、もう決断は下した。この線を越える覚悟はできている。なぜ僕がこの陰惨なショーのメインディッシュなのか、まだ理解できない。リングで新人が叩きのめされるのを見て何が楽しいのか。でもここにいる、運命に立ち向かって。

ついに、檻の入口にたどり着く。審判が合図を送り、入るように促す。敷居を越えると、何百もの視線が僕に突き刺さるのを感じる。鉄の匂いと汗が鼻をつき、これから始まる残虐さを思い出させる不快な混合物だ。檻は閉所恐怖を誘う空間で、上部には有刺鉄線が張り巡らされ、足元には血で染まったキャンバスが広がっている。ステージのライトが僕を照らし、熱気が息苦しい。まだ試合は始まっていないのに、すでに汗だくになっている。

2017年11月28日、15時38分 -

ここにいる。リングの中央に、完全に一人で。履いているのはパンツとシャツ、そして深紅の包帯だけ。対戦相手は僕と同じ背丈だが、体格は僕より良い。17か18歳くらいだろうか。僕の細身の体格と、長年の栄養不足を考えれば、この状況は驚くべきことではない。彼の目は、僕に情けを見せるつもりがないことを物語っている。

審判がマイクで話し始める。自分の名前が聞こえるが、言葉を聞き取ることはできない。頭が混乱している。

審判は僕たち二人を見て、お互い準備ができていることを確認すると、質問もなく試合を開始する。群衆は歓声を上げ、その轟音が僕を取り囲み、包み込み、さらに悪夢へと沈める。心臓が戦の太鼓のように激しく鼓動し、この戦いに立ち向かう準備をする。バスティアンの言葉、スピードと知恵について思い出そうとするが、今は明晰さは遠い夢のようだ。頭の中には多くのことがよぎり、集中できない。

筋肉が緊張し、対決に備える。この檻、この閉所恐怖を誘うリングが、僕の世界となり、感覚の中心となる。

相手の目を見据え、最初の動きの兆候を探る。彼は僕より強いが、弱気になるわけにはいかない。深く息を吸い、酸素とアドレナリンを血管に巡らせる。そして、かすかな勇気の閃きで前進する。

最初の一撃は速い。拳が弾丸のように僕の顎に向かってくる。反射的に身をかがめ、彼の拳が頭をかすめるのを感じる。応じて、彼の脇腹にフックを放つ。防御の隙を狙って。打撃は当たるが、ダメージを与えるほどの力はない。本当にこれに準備できているのか？恐怖が麻痺させようとする。

群衆は周囲で吠え立て、暴力の交響曲が雰囲気を煽る。すぐに体勢を立て直すが、素早いフックが腹部に向かってくる。間一髪で見極め、素早く回避する。かすかに脇腹に衝撃を感じるだけだ。左手で痛みのある箇所を押さえ、痛みを和らげようとするが、弱気になっている暇はない。エネルギーを爆発させ、彼の胴体に連続して打撃を放つ。少しでも彼を弱らせようとして。

彼は一瞬後退し、僕の攻撃に戸惑っている。チャンスだ。決然と前進し、彼の顔にストレートを放つ。一撃は見事に命中し、彼の口から血と唾液が飛び散る。拳が的を射た証拠だ。しかし、その衝撃は拳に鋭い痛みとなって返ってくる。成功を味わう間もなく、すべてが混沌と化す。

突然の回転で、彼は強烈なアッパーカットを放ち、僕の顎を破壊的な力で打ち抜く。世界がぐるぐると回り、視界がぼやけ、キャンバスが僕を引き寄せる磁石のようになる。尻もちをつき、背中が冷たく硬いリングの表面にぶつかる。無防備な状態だ。このままでいるわけにはいかない。

奴は暴れ牛のように僕に襲いかかり、リング上で終わらせるつもりだ。失敗は許されない。仰向けになったまま、素早く膝を曲げ、アルマジロのように丸まり、受け止める準備をする。時間がゆっくりと流れる中、彼の影が近づくのを感じる。彼が届く寸前、全力で脚に力を込める。蹴りは必死の行為で、試合を続けるための最後の努力だ。衝撃は彼の腹部に鈍い音と共に命中する。彼の表情が瞬時に変わり、苦痛のうめき声が漏れる。奴は後ろによろめき、ついにキャンバスに倒れ込む。目には驚きと痛みが浮かんでいる。

素早く試合に戻るが、痛みに反応して本能的に口を押さえる。指が唇に触れると、熱い血の感触が不快な現実を伝える。唇が裂けているのだ。この一撃を受けたことを考えれば、驚くべきことではない。小さな反省の瞬間、これからは顔に血がついていない状態は遠い記憶になると気づく。汗が額に溜まり、髪を濡らし、その滴がゆっくりと髪の毛を伝って落ちるのを見つめる。

バランスを取り戻し、彼が体勢を立て直すのを見ながら安全な距離を保つ。彼の目は怒りを湛え、片手で明らかに痛む腹部を押さえている。再び僕に向かってくる。その一歩一歩に苛立ちが表れている。連続した打撃を放ってくるが、何とかブロックする。その一撃一撃が腕に響き、彼の拳が僕を左右に揺さぶるのを感じる。痛みが脆さを思い出させる。一発でも的確に当たれば、すべてが終わる。彼の攻撃の激しさは徐々に減少している。

そして、わずかながら確実にチャンスが目の前に現れる。一瞬の閃光のように、だが確かに存在する。相手が再び打撃を放つのを待つ。感覚が研ぎ澄まされ、檻の中で繰り広げられるこの暴力的な舞踏と同調している。ついに適切な瞬間が訪れ、脚に素早く力を込める。靴の下の床は、粗く粘つく感触で、次の動きのための完璧な足場を提供してくれる。

怒りで目が充血した相手は、僕の次の動きを見抜けない。一瞬で、拳が下から上へと突き上げられる。抑えきれない力で放たれた弾丸のように。拳が彼の顎に正確に向かっていく間、周囲の空気が唸るのを感じる。一撃は試合の混沌の中で耳をつんざく轟音となる。拳を通して振動が伝わり、興奮と満足感が混ざり合う。

相手の顎が衝撃で揺れ、時間がゆっくりと流れるように感じる。その歯がぶつかり合う音が聞こえ、驚きのうめき声が彼の唇から漏れる。頭が後ろに傾き、顔の表情が衝撃で歪む。その瞬間、勝利が空気中に感じられる。

相手の体はよろめくが、倒れる前に必死に僕のシャツを掴み、引き裂く。純粋な生存本能からの行為だ。彼を驚かせた。僕自身も驚いている。この一連の動きがどう生まれたのか全くわからないが、呼吸するのと同じくらい自然に流れた。まるで体が心より先にその動きを知っていたかのように。

僕はリングの中央に立ち、シャツはボロボロで、口から流れる血で胸が染まっている。スポットライトが僕を照らし、目が眩む。観客の耳をつんざくような叫び声が思考を押しつぶそうとする。目の前の男はまだ立っている。視線は虚ろだが、その場から動かない。どうしてまだ立っていられるのか。なぜ倒れないのか。

最後の決死の行動で、彼に飛びかかり、弱った防御の隙を探す。素早いフックと正確なアッパーカット。彼の顔が打撃で歪む。驚きの閃光が彼の目に浮かび、キャンバスに崩れ落ちる。完全に意識を失っている。彼は倒れた。

すぐに追撃しようとするが、彼が倒れて動かないのを見て、内なる何かが僕を止める。人間性の火花が芽生え、不必要な暴力を続けるのを阻む。しかし、観客は全く異なる見解を持ち、「やれ！やれ！やれ！」と血を求めて大合唱する。僕はただ後退し、その瞬間、審判が急いで勝利を宣言する。「ノックアウト勝利！」観客の轟音が彼の言葉をかき消し、かろうじて聞き取れる。

疲れ果て、体は重い岩のようだが、勝利と歓喜の波が全身を駆け巡る。生き延びた。勝ったのだ。