第13話 Love so sweet(13)

「なんか。 いろいろ自信がなくなってしまって。」



資料を片づけながらボソっと言ってみた。



ゆうこを抱こうとして



半ば萎えてしまった自分。




プライドって



こんなに一気にしぼむもんやな



「自信~? なんの自信?」



ナンちゃんは



さらに入り込んでくる。



ナンちゃんの事務所はもうみんな帰宅して誰もいなかった。



そんなことも手伝ってか



「おれ。 エッチでけへんかったー。」



煙草の煙とため息を一緒に吐いた。



「はあ?」



さすがのナンちゃんも驚いた。






「そっかあ。 奥さんとねえ、」



ナンちゃんは心底同情してくれた。



「もうさんっざんお預け状態で。 おれもなんか赤ん坊の世話で大変な彼女に無理強いしたくなくて。 遠慮してたら、ついにこの前、強引にやっちゃおって思ったらな・・でけへんねん。 一向に、」



恥でもなんでも



今は誰かに聞いてほしい。



「なんかヨメもそういうことに全くガツガツしてへんというか。 あんまエッチに興味ないんかなって感じで、」



「奥さん、清純派なのねえ、」





たしかに『清純派』やけどな・・



「もっと・・エロ~~~く迫ってきてほしいのに。 おれ、男としての色気ないんかな、」



どんよりとした目になって天井を見上げた。



「志藤ちゃんは色気あるわよ~。  なんかさ、側にいるだけで妊娠しちゃいそうな危険な感じもあるし、」



彼はうふふと笑った。



「そんなおれも。 枯れたんかな・・」




結婚したことに全く後悔はないが



その分、男としての『何か』を失った気がする。



「でもさ。 つきあってもないのに子供できちゃって。 ほんとの気持ちで愛し合ったことがないんだからさ。 奥さんもまだ慣れてないのよ。 パパとママ、じゃなくて。 男と女に戻ってさあ。 どんな清純な女だってさ、好きな男には抱かれたいわよ~。 絶対にそれはある、」



やっぱり



男でも女でもない



『彼』





女性でもわからないような本質をわかってる。


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