第10話 Love so sweet(10)
「も~~~~~、ナンちゃんったら! こんないい男連れてくるならさー、先に言ってよ! あたしにだって化粧の都合ってモンがあんだからさ!」
「ステキねー。 こんな若いのにホクトのえらいさんなの?」
・・・・・
難波社長から誘いを受けた時から
言いようのない嫌な予感がしていたが
おれってほんまに勘がええなあ
と自分でも感心してしまう。
「ここのママとはもう10年以上のつきあいなのよ~~~。 安心して。 怪しいトコじゃないから、」
ここが怪しくないのなら
どこが怪しいトコなのか
南を誘っておいてヨカッタ・・
自分の機転に心でガッツポーズだった。
もう気がついたら4~5人のオネエさんたちに囲まれて。
もんのすごい手厚い接待を受けるハメになった。
ほんまにキレイな人もおるんやけども。
「はいはい、グラスが空になってるじゃなーい。 もっといっちゃって~~~~~。」
心からカンベンしてほしい『種類』のオネエさんもいたりした。
「こらこら。 志藤ちゃんはねー。 新婚なのよ。 デキ婚で8月に赤ちゃんが生まれたばっかなんだってー、」
難波社長はタバコを吸いながらそんなオネエさんたちをオーバーに蹴散らすようにした。
「きゃ~~。 デキ婚なのー? なんかいろいろ早そうよね。」
いろいろ早そうって。
もう南はいちいちそんな『彼女』たちのセリフに大ウケして手を叩いて笑っていた。
元々水商売の彼女はこんな雰囲気も全くしり込みせずに溶け込んでいた。
「もう志藤さんも飲んじゃえば~? 飲めば楽しくなる!」
南からどぼどぼとウイスキーをコップに注がれたりして。
なんだか久々に飲んでしまった。
ここんとこ忙しかったせいか
酔いが回るのも早くて。
不思議なモンで慣れてくると
ホンモノの女子のいるキャバクラよりも楽しくなってくる。
下ネタもあっけらかんと話す『彼女』たちは、
男と女の感情を両方持つ不思議な人たちだ。
もう最後には『彼女』たちに抱きつかれて、ほっぺたにどんどんキスされて
タイヘンな騒ぎになってしまった。
気がついたら家の玄関で眠っていた。
「志藤さん! もう! こんなトコで寝たら風邪引きます!!」
ゆうこの声が遠くに聞こえて。
「あ・・・?」
ようやく顔を上げた。
「も~~~、そんなに酔っぱらって。 起きて下さい、」
と自分を起こそうとした彼女が
「・・ん??」
いきなり自分のシャツの襟元の匂いを嗅ぎ出した。
まるで
警察犬のように。
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