第6話 Love so sweet(6)
5人社員がいるってきいたけど
その部屋にはひとりだけデスクについていた。
年のころは30くらい・・自分と同じくらいだろうか。
細身でヒゲの男だった。
・・しかし。
異様な空気をビンビンと感じた。
なぜならその男は
ピンク色の薔薇をあしらった
てらてらのシャツを着て。
その胸元は第3ボタンまで空いていて。
「こんにちわ。 ホクトエンターテイメントのものですが。」
南は物おじせずにその男に近づいた。
その『男』はハッとして立ちあがったが
背は自分と同じくらい高くて
でも。
ぴたーっとした白のパンツで。
その『予感』がひしひしと現実味を帯びてきた気がした。
その『男』は
ぱーっと明るい顔になり
「ホクトの方~? まあまあ、どうも。 いらっしゃいませ。 芸能部の押野さんからお電話いただいてます~~~~。」
クネっとした所作でデスクから名刺を取り出した。
自分の『予感』がストライクだったので
何となく茫然として南のやや後ろに控えていると
「ちょっと! ほら! あんたも名刺!」
南に強引に前に出さされた。
「あ・・あのっ。 ホクトエンターテイメントの・・クラシック事業の責任者をしております・・志藤です、」
名刺を入れていたポケットを間違えて
スーツの上着をいろいろ探ってしまった。
「あっら~~~~~。 クラシックの??? え~~~~、こんな若くてステキな方がいらしたの~? びっくり~、」
『男』は
うふふふ
と笑って、また身体をクネらせた。
大阪時代は遊び倒してきたといっても
『コッチ』方面はあんまり経験がなく
志藤は気持ち半歩下がってしまった…
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