第7話 Love so sweet(7)

どう考えても



『そっち』



の人なのに



南は全く驚いていなかった。



「申し遅れました。 私は志藤の『部下』の北都 南、と申します。 今、ちょっとまだバイトみたいなもんなんで名刺はないんですけど。 」



なんてにこやかに話したりして。



「北都? って・・・」



その社長は南の名前を聞いて首を傾けた。



その傾けた角度も・・



いちいち気になる。



「北都社長の息子のヨメです。 でも、ヒラですから、」




「え! あのイケメンの社長の息子さんの???  彼、まだ若いでしょ? 結婚してたの~?」



「去年。 結婚しました、」



「あっら~~。 一回だけパーティーで会ったことあるのよー。 ほんっと・・うっとりするくらいイケメンで。 おいしそうだったのにー、」



社長は



本当に心からそう思っているようだった。



「ま、どうぞどうぞ。 今、コーヒー淹れるから。 もう、うち人手がなくてね。 あたしもなんでもやらなくちゃ、」




社長はいそいそと小さなキッチンに引っ込んだ。



「あ、おかまいなく~、」



南が声を掛けたが



「だ、だいじょぶなんかな・・・」



そんな彼女にコソっと耳打ちした。



「おもろそうやん。 この業界。 けっこう多いんだよねー。」



南は完全におもしろがっていた。



NUM Planning



社長  難波 巌



名刺をマジマジと見た。



全く名前と姿が合ってないトコも



南はツボったみたいて、それを見てそっと吹き出したりしていた。




「で。 志藤さんはおいくつ? まだ若いのに責任者なの?」



コーヒーをトレイに乗せて運んできてくれた難波社長は自分の前に座った。



「さ・・30です。」



「えー? わかーい。 あたし。 32。」



まるで合コンをしているかのような錯覚に陥った。


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