第18話 ダンジョンへGO!
その言葉を聞いて、ようやくセイバーが後ろ指を刺される存在であるというグランドさんの言葉に納得がいった。
「誤解すんなよ? もちろん、ダリヤはそんなヤツじゃねえぞ。それは付き合いの長い俺が保証する。だけど、アイツはいっつも黒ずくめのローブを着て、なんつーか、一見するとちょっと不気味だろ? だから何かと誤解を受けやすいヤツなのさ」
グランドさんの言葉に、わたしは思わずダリヤさんの姿を思い浮かべた。
「とにかく……ダリヤが他の冒険者とつるむ姿なんて……ましてや新人冒険者の推薦状を書くなんて、ちょっと想像できねえ。アイツをアテにするのはおススメせんよ」
孤独を好むダリヤさん。
周囲から後ろ指を刺されるセイバーの現実。
だけど……それでも。
「わたしは……ダリヤさんにお願いしてみます。だって助けてもらったお礼もちゃんと言えてないし」
そう。仲間になってもらうとか推薦状うんぬんの話は二の次。
わたしはダリヤさんにキチンと感謝の気持ちを伝えたかった。
「そうかよ。まあ、嬢ちゃんがそう決めたならもう何もいわねえさ」
そう言ってグランドさんが肩をすくめる。
「グランドさん! 色々と教えてくださり、ありがとうございました!」
「おう、またな。嬢ちゃん」
わたしはグランドさんに別れを告げてから、冒険者ギルドを飛び出した。
***
「ハァ、ハァ……やっとついた……レインルーク洞窟……ここだよね……?」
わたしは荒い息を深呼吸して整える。
目の前にはぽっかりと大きく開いた穴。入り口が数メートルはある巨大な洞窟だった。
ダンジョンマップをカバンから取り出して確認すると、間違いなくここが目的地のレインルーク洞窟だった。
「ダリヤさんは……?」
わたしは周囲を見渡しながらダリヤさんの姿を探す。
ダンジョンギルドからここまでずっと全力疾走してきたから追いついてもいいと思うんだけど……
「あ……いた……!」
入り口の向こう側。奥のほうへ進んでいくダリヤさんの後ろ姿が見えた。
見失わないように、わたしはあわてて彼女の後を追いかけて、ダンジョンの中に入っていった。
ダンジョン・レインルーク洞窟はその名の通り、洞窟型のダンジョンだった。
ゴツゴツとした岩肌がむき出しになったくねくね道が地下へ向かって続いている。
入り口付近こそ外から差し込む光で明るかったが、少し奥に入るとすぐに暗闇に包まれてしまった。
そんな中を、ダリヤさんは松明すら持たずに、ずんずん進んでいく。
途中いくつか分かれ道があったけれど、彼女は迷うことなく右へ、左へ、右へ……と歩みを止めなかった。
こんな真っ暗闇の中で彼女の姿を見失ってしまったらたまらない。
わたしは慌ててダリヤさんの背中に向かって声をかけた。
「あの! ちょっと待ってください! ダリヤさん!」
名前を呼んだことでようやくダリヤさんは立ち止まり、その視線がわたしに向けられた。
わたしは彼女の元まで慌てて駆け寄った。
「ハァハァ、よかった……! 追いつきました……!」
「ボクに何か用? ずっと後をついてきたみたいだけど」
「あ、バレてました……?」
どうやらギルドからここまでわたしがずっと後を追いかけてきていたことはバレバレだったらしい。
「えっとそれは……ダリヤさんにひとつお願いがあってですね――」
「お願い――?」
わたしが理由を説明しようとした矢先。
ドゴオォォン!!
「きゃッ――!?」
轟音と共に洞窟が大きく揺れた。
わたしは思わずその場にしりもちをついてしまう。
「な、なに!? 地震……!?」
慌てふためくわたしを他所にダリヤさんは平然とした様子で周囲を見渡す。
そして辺りを見渡しながら口を開いた。
「
その言葉がダリヤさんの口から漏れるのと同時に、洞窟の奥の方から巨大な影が姿を表した。
「な……なに、あれ……?」
わたしは思わず息をのむ。
暗闇の向こう側から現れたのは巨大なゲル状のモンスターだった。
高さ3メートルはあるだろうか、洞窟の天井に頭(?)を擦りながらうにょうにょと動いている。
「ジャンボスライム――」
ダリヤさんがポツリとその
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ステータス
――――――――――――
ミユル(本名:フレデリカ・ミュルグレイス)
性別/女
称号/ゴミ令嬢、ソロ討伐者、ホームレス、不審者、他力本願
好き/クー、食べもの全般、お風呂
嫌い/虫
スキル/《ゴミ》
効果:ゴミをリサイクルする能力
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