第6話 貴族の雌と服屋の雌
「あの……あなたはどのような方なのでしょうか。
店長とはどのような関係なのですか?」
店長は初見だがコリーナの
「えっと、
「し、
「私のミスは許してもらえたのでしょうか……」
僕はコリーナに助けを求めるように振り向くがコリーナは目を瞑ったまま反応しない。
「店長に聞いてきなさい。」
「は、はい……」
よくわからないがカーラは服を抱きかかえてそそくさと部屋から出ていった。
「サトシ様、よろしかったのですか。もっとあの女を弄ばれてもよかったのに。」
「僕にはよくわからないよ……」
「まあ、いいですわ。私がサトシ様が好きそうな生贄を探してきますので。」
「生贄って……僕が悪者みたいじゃん……」
いつの間にか部屋に跪く青鬼を見つけた。
「青鬼帰ってたんだ。昨日は何してたの?」
「はっ、冒険者登録と書物で人間社会の勉強をしてまいりました。」
「へー、面白いことわかった?」
「はい、武術に関すること、魔物の特徴、商いについての書物を読んできましたが、商いについてが特に興味深かったです。」
「本ってあまり見たことないけどどこにあるの?」
「はい。書物は高価なもののようで貴族しか持っていないとのことでしたので、貴族の女をたらしこみました。」
ブッ
僕は思わず吹き出してしまった。
昨日1日だけで恐ろしい子……
SIDE 青鬼
私はサトシ様に仕える青鬼だ。
何がサトシ様のためになるのかそれだけを考えて行動している。
私の外見は人間の雌に好まれることは把握した。
この強みを活かして私にできることをしていく。
人間社会において大事なものは金、権力、情報のようだ。
力だけが全てを蹂躙できると思っていたが、力は金で買える事が分かった。
冒険者を雇えばいい。
金より強いのは権力だ。
金をいくら持っていても権力には敵わないようだ。
あと、情報だ。
情報は権力にも勝る時があるようだ。その人物の弱みを知るだけで行動を操作できたりする。
「ねー、聞いてるの?」
忘れていたが昨日服屋の雌を拐かして情報を引き出した貴族の雌と交尾した。
雄に飢えていて、ある程度金がある貴族ということで近づいたが簡単に交尾に成功した。
私も初めてのことだったが、雌ののたうち回る姿は見ていてとても気分がいい。
「あぁ、悪かった。少し考え事をしていてね。ところで私は書物で勉強したいのだがあるか?」
「そんなものでいいならあるわよ。持ってくるね。」
その雌に後ろから擦り寄られながら書物を読んでいく。
剣術は指南書というもので鍛錬の仕方、相手の欺き方などとてもためになった。中には奥義書というものもあり、斬撃を飛ばすかまいまちや、緩急をつけて残像を作る歩法、武器破壊など頭に叩き込んだ。
すぐにはできなくても鍛錬で必ずものにしてみせる。
あとは商いの方法だ。
この本は一般的な本ではなくこの家で子どもに託す商法のようだ。
安く仕入れ高く売る。そのために様々な付加価値をつける。距離、加工、希少性、需要など品物ごとに細かく売り方が書いてあった。
随分と簡単にこんな大事な書類を持ってこれたな。
この女の親は戦いで幼い頃に死んだらしいからこの本の重要性を引き継がなかったのかもしれない。
書物はまだ大量にあるようなので雌に交尾する対価として読ませてもらおう。
貴族の雌はアデルと言うらしかった。
「そろそろいくよ。」
「あの……どうしてこんなに醜い私のところに来たの?」
「醜い?私は醜いとは思わないが。」
「えっ……みんな私を化け物呼ばわりするのに……」
「あなたの名前はなんていうの……?」
「名前か、名前はまだない。」
「名前がない……今度来た時に教えてね。」
「ああ、また襲いに来る。」
「襲いに来る……」
私はそう言うと窓から屋根伝いに外に出た。
次は情報の対価に服屋の雌のところにいかないといけない。
私は嗅覚を頼りにその雌の住処を探し出す。
(コンコンコン)
「誰?」
「私だ。」
「本当に来てくれたんだ……もう来てくれないかと思ってた。入って。」
女の住処はアデルの住処とは打って変わりものがあまりない。
「一応、ご飯作っておいたの。何が好きかわからないけど……食べる?」
「ああ、いただこう。」
「よかった。」
雌はそう言ってテーブルに食事を並べ始めた。
どうやら肉と野菜を煮込んだもののようだ。
「これくらいしかないけど、食べて。」
与えられた匙で口に運ぶ。
「うまい。」
これまで生肉しか食べてこなかったので食べ物がこんなに美味しいとは知らなかった。
思わずすぐに食べてしまった。
「気に入ってもらえてよかった。まだあるからもっと食べてね。」
3回ほどおかわりして雌が用意した肉と野菜を全て食べつくしてしまったらしい。
「少し足りなかったかな?もっと作っておけばよかったね。ごめんね。」
「いや、これまで食べたどの食事よりも美味しかった。」
「えっ、こんな料理でそんなこと……」
「本当だ。また、食べさせてくれ。」
「うん……」
雌は目から涙を流し泣き出してしまった。
「うっ……こんな事言われたの初めてで……」
「大丈夫か?」
雌のそばにより、背中を擦ってやると俺に抱きついてきた。
「ありがとう……」
そう言って、唇を重ねてきた。
人間は交尾をしたくなる合図として唇を重ねるようだ。
この雌の交尾の合図を受け取り、服を強引に剥いでいく。
交尾合図のあとは強引にいってもいいようで、むしろそのほうが喜ばれていることはアデルで経験済みだ。
激しく悶え続ける服屋の雌に私の子種を何度も植え付けてやった。
服屋の雌は私を抱きしめたまま寝てしまった。
私は起こさないようにそっと部屋を後にした。
アデルの書物で男女の付き合い方に適切な距離感というのが書いてあったからだ。
▽
朝、森の中で目が覚めた。
やはり人の街ではなかなか寝ることができない。
サトシ様にテイムされたオーガやオーク、ラミア達を通信で集める。
「今日から私が全体の指揮をとる。
朝この時間から鍛錬を行ってから狩りに向かう。
己の力量を少しでも向上させてサトシ様の力となれ。
最も収穫があると認めたパーティーには装備品や肉、雌などの褒美を出す。
ただし、数が全てではない。より強い魔物を捕獲してきたり、サトシ様がお喜びになりそうな雌を連れてきたものは特別に加点が高い。雌は人間でも構わない。
それでは行動を開始しろ。」
私はアデルの書物に書いてあった鍛錬方法を実践していく。2体での技、駆け引きを意識した戦い、反射神経を養う鍛錬などだ。
私は魔物達に指示した後、昨日の報告にサトシ様の宿に赴いた。
サトシ様を起こすまいとそっとドアから入り、部屋の隅で跪いて待つ。
サトシ様はカーラと言う女と交尾を行ったようでその容姿の特徴を記憶する。
昨日までのことをまとめて完結に報告した。
「サトシ様、よろしければ私の個体名を頂けると動きやすくなるのですが、頂けませんでしょうか?」
「そうだね。うーん、ノアというのはどうかな?」
「拝命いたしました。サトシ様にいただいたお名前に恥じないよう精進いたします。」
これまで名前というものに興味がわかなかったがサトシ様にノアという名前をいただいた瞬間、サトシ様と何かが繋がったような高揚感が生まれて、力が湧き上がるような感じがした。
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