第10話 告白の仕方
「チョコとチョコってチョコだと思わない?」
「うん」
「それでさ、ホワイトクリームってホワイトだと思わない?」
「うん」
「それでさ」
「ちょっと待った」
俺たちは何の話をしているんだ? たしかこうなってしまったのは、こうなってしまったのは。なんでだ?
「それでさ」
麻衣は話を続ける。待ってくれよそれ以上話されたらもうパンクしてしまう。
「東也って部活どうするの?」
顔を丸くして言う。あまりの綺麗さに見つめてしまう。
「どうしたの?」
「いや、そーだな」
正直なところ何の部活でもいいんだよな。
文芸部とかありだよな。エモいし。エモい....。
「文芸部とかかな」
「えーーえーえーえー」
麻衣は驚き、ふらふらで歩く。そして俺の肩を掴む。
「私も!!!」
却下俺は、バスケ部に入ろうかな。そんな願いは叶うことなく麻衣は俺の服を引っ張り文芸部には走って行く。
俺たちが文芸部に向かっている間。
どこかの教室では告白が行われていた。少し肌寒い教室で。
「私好きなの」
「もう、別れよう」
「なんでよ、なんで」
「はっきり言うと、もう好きじゃない」
彼の言葉はどんな花より棘があり、けして取ることができない棘だった。
「そんな」
彼女は泣き始める。泣いたら何かが変わると願いながら。
「それにさ、俺も新しい出会いをしたいいんだ」
男は身勝手な意見を言う。
「何よそれ、最低」
彼女は男を胸を叩く。いくら叩いても痛くないに叩き続ける。
「俺もう行くから」
男は手を振り、鞄を持ち教室を出る。
「うぁぁぁぁぁ」
彼女は泣き続ける。誰も救ってくれない世界を恨みながら、泣き続ける。
そして、ドアを見る。そこには知らない男子が彼女を見つめていた。
「失礼しました」
俺は何も見てない、何も見てない。ただ部室に向かおうとした時俺は忘れ物を取りこようとしたら。、隣の教室から話し声が聞こえて。
それで、盗み聞きをした。
多分冤罪だ。
よーし、忘れ物を取りに行くか。
「待って」
俺の手を掴み、泣いている顔で俺を見つめる。
「今見たよね」
「何も見ていない、決して何も」
「ちょっと来て」
俺を引っ張り、教室に入る。
彼女はカギを閉める。
「えーと」
「見たんだよね」
俺に近付き押していく。
教卓にぶつかる。けどそんなことお構いなしに俺を押していく。
「ちょっと待ってよ」
俺は慌てて言う。けど俺の声を通さない。通そうとしない。
「私の振られるとこ見たんだね」
泣いているのか怒っているのか分からない、けど、これだけは分かる。この状況非常にまずいと。
俺を倒し、彼女を俺の頬を触ってくる。
「ストップ、ストップ」
「見たんだね」
優しく顔を撫でる。
ちょっと、待ってくれよ俺はただ見ただけだぞ。
「見ました、見ましたよ」
「どう思った?」
「いやー男が最低だなって思いました」
「ふーん」
そう言い彼女は、俺から離れる。
彼女は腕を組み、俺を見る。
「どうした?」
「私と付き合って」
顔を横に向けながら言う。
「無理です」
「なんでよ、私ってこう見えて美人で心も綺麗だよ」
手を広げて言う。
多分そこじゃない、言うべきタイミングを分かっていない。
それに好きでもないのに付き合うとか最低だよ。
「なんでよ、私は綺麗になるために頑張ったのに」
彼女はまた泣き始める。
多分、振られたことで冷静な判断ができなくなっているんだ。だから彼女も本心じゃない。
肩を震わせて泣く彼女。
傍から見たら俺が泣かしてるみたいだな。
その時、まるで待ってました!!
と言うべきだろう。後ろの方のドアが開く。
「きゃあ――――――」
開けた女子が俺たちを見て叫ぶ。
えーと。
「これは...」
女子は扉を閉め、急いで走ってどこかに向かう。
なんて言うか、あれだな、終わった。
しかし、俺の前に立っている彼女はどこか笑顔になっていた。
「どうした?」
「そうだ」
彼女は俺に近付き。
腕を首に回す。そして、顔を近付ける。
「す、き、だ」
彼女が振られた原因が少し分かる気がすると思うが思わないようにしよう。
後、俺が断ったのは告白の仕方じゃねーよ。
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