あ、お久しぶりです

ええと、まず先日はごめんなさい。結局どこまで話して終わりましたっけ…?

あぁ、わざわざありがとうございます。Aの部屋の目の前に来たところからですかね。

Aの玄関のドアが勢いよく開きました。本当に突然開いたもんで私、ドアにもたれるような感じでノックしてたから、そのままAの玄関の靴脱ぐ所に向かって倒れました。それでも痛いとかの感情はなかったです。いや、それすら感じ取れないほどに焦ってたんだと思います。

私が顔を上げるとAがすぐ目の前にいました。倒れた時に、恥ずかしい話、足の脛の部分。まあ、ほとんど骨のようなもんですよね。そこを思いっきりぶつけちゃって…ちゃんとは起き上がれなかったんですけど、Aの後ろ、Aの家の中ですね。玄関から廊下があってそのままリビングが見えました。そしたらそこが、もう強盗が入ってきたか?ってくらいに荒れてて、Aの表情は私が今まで見てきた中で一番怯えていました。あ、はい、そうです。Aは女性です。なので強盗が入っててもおかしくはない、って思ったんです。

とりあえずAの家を少し整理してから何があったのかを聞きました。Aが言うには隣人からの嫌がらせが酷いらしくて、Aの部屋にベランダがあるんですけど、ベランダに向かって生ゴミを投げてきたり、Aの住んでるアパートは割と壁が薄くて、それにも関わらずその隣人は大音量で夜中に音楽を流したり…本当酷いですよね。それの相談だったみたいです。Aの家の中が荒れてたのはきっとストレスが爆発しちゃったんでしょうね。とりあえずその日はAも何か対策を取ってみたりするって事で終わったんです。いや、私も正直心配だったんですよ…大家さんに相談してみた方が良いって言ったりもしたんですけど、Aは「大事にしたくない」の一点張りでしたよ。

そのまま家に帰ってからもずっと心配でした。まさかいつも元気なAがあんなに酷い嫌がらせを受けてたなんて思いもしなかったもんで…その日はあまり寝れませんでした。きっとAもそうだったと思います。いつか、Aが危ない事に巻き込まれるんじゃないか?って。ずっと危ない思考が頭の中を回っていました。

でも、危ない事に巻き込まれたのは、私自身かもしれませんね

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る