異世界ファンタジー系

世界観:数千年前、世界を支配した一人の獣人がいた。どんな強者も種族も彼には敵わず、『原初の獣』と恐れられていた(魔王、神殺しなど)(『神殺し』に関しては、彼が世界樹を捕食していたことに由来する)。


 千年近く世界を支配したが、肉体が徐々に滅び、魂だけが現世をさまようことになった。


 逆らう者全てを武力で叩きのめし、力で世界を支配していたため、他のあらゆる種族から憎しみを向けられていた。それでも千年近い支配が続いたのは、『原初の獣』があまりにも強すぎたからだった。


 『原初の獣』亡き後、恐怖から解放された多種族は一転、獣人を『悪魔の手先』と称して迫害する。奴隷だろうが儀式の生贄だろうがなんでもあり。『原初の獣』に支配された種族がほとんどなので、現在獣人に味方する種族は存在しない。


 『原初の獣』亡き後、だれが世界を治めるかで各種族間で話し合い(戦争)が起こり、結果的に『人間』、『ドラゴン』、『魔族(悪魔、ヴァンパイアなど)』、『エルフ』、『天使』、『ドリアード』、『巨人族』などが各国を支配することとなった。



名前:レガリア

種族:原初の獣

性別:男

説明:数千年も前、圧倒的強さで全世界を支配した化け物。すべての獣人の先祖とされているため、『原初の獣』と称される。


 力と恐怖で支配していたのだが、自分という共通の敵が存在するおかげで争いが起きないのを、『自分が世界を平和にした』と思っている。


 とにかく傲慢で自信家、自分が一番でないと気が済まない。世界樹を喰らい生きながらえてきたが、肉体は徐々に滅び、魂だけが残る。


 原初の獣を復活させようと企むやばい奴らの儀式の中、自身の血を引く獣人の少女を発見。彼女を依り代に復活を企むも……現在の獣人の扱いを知り、再び返り咲かんと奮闘する。


能力:身体強化、爪や牙を強化して戦うシンプルなスタイル。身体能力はあらゆる種族を凌駕し、爪はどれだけ強固な盾も切り裂き、牙は魔法すら噛み砕いて食らいつくす。魔法を喰らって自身のエネルギーに変えることができるため、物理にも魔法にも隙が無い。


名前:?(未定)

種族:原鳥類

性別:女

外見:やせ型、鳥の足、犬のような耳、トカゲのような尻尾。見る角度によって青や緑など色が変わる珍しい髪。

説明:10代前半の少女。カルト集団的なよからぬ連中に捕まっており、虐待まがいの扱いを受ける。髪色が綺麗だったため、切られて売られていた。ただし扱いはひどいもので、見た目の歪さも相まって、人間どころか一緒に奴隷にされていた者達からも『混ざり者』として嫌われていた。実際は混血ではなく、原初に近い分岐前の獣人である。


 ある日、カルト集団の儀式に駆り出され、獣人の中で弱っていた一人を生贄に発動する召喚術に参加させられる。




以下、私が書いた第一話↓







 この世界は残酷だ。



「おら、早く歩けよ」


「ガッ、はっ……!」



 私より遥かに大きい体格を持つ人間の男の足が、私の腹にめり込む。

 軽い私の体重では耐えられるものではなく、冷たくて硬い石畳の上を転がった。


 身体の奥から込み上がってくる鉄の匂いを、無理やりにでも腹の奥へと押し込んだ。吐き出してしまえば、余計に酷いことになるから。


 どうして……どうして、獣人・・というだけで、ここまで迫害されなければいけないのか。







 私は獣人で、奴隷だ。

 森の奥でひっそりと暮らしていただけなのに、突然人間が大勢襲ってきて……お父さんもお母さんも殺されて、こんな場所に押し込められたのが何年前だったっけ……。


 ボロボロの布切れのような服、硬く冷たい石畳の床、重い鉄格子の扉、自由を奪う足枷、家畜のエサのような食べ物。そして、身が擦り切れるような重労働と、理不尽な暴力の痛みと恐怖。


 それが、今の私が知る世界のすべてだった。



「今日のエサだ、残さず食えよ?」



 私の他に数人の獣人の女の子が押し込められた牢獄に、一人の男がやってきた。にやついた笑みを浮かべるその男が、鉄格子越しにバケツの中身をぶちまける。


 ろくに火も通っていない腐りかけの肉に、野菜の皮やヘタ、そして人間が食べ残した残飯。


 家畜のエサの方がまだ上等だと言えるようなそれらに、私たちは躊躇うことなく群がった。その様子を見て笑っている人間のことなど、誰も気づいていないようだ。


 食べたくはないけど、食べなければ飢えて死ぬ。

 せめて食いっぱぐれないようにと、私もその輪に入るけど……は人間だけではない。



「ちょっと、邪魔。それ私によこしなさい」


「ぐっ……!」



 脇腹に鋭い痛みが走る。どうやらルームメイト? のアミィに蹴りを入れられたようだ。ただでさえ重労働で体力が残っていない私は、踏ん張ることもできずに地面へ倒れこんだ。



「あ、アミィ、なんでこんな———」


「は? なに、文句でもあんの? 混ざり者・・・・の分際で、お気に入り・・・・・私に口答えする気?」


「っ……」



 そんな口調で堂々と言い放ち、上から目線で見下ろすアミィに、思わず私は口を紡ぐ。彼女は『お気に入り』と自称する通り、その美貌を惜しまず使って見張りの人間に取り入ったようなのだ。


 他の奴隷と比べて数段綺麗な服を着ているし、何かつけているのか、ふんわりと甘い桃のような良い香りもする。


 それに、ほんの少しだけど、お腹が膨らんでいるのは……きっとそういうことなのだろう。



 一方私は……アミィが『混ざり者』と言ったのも間違いではない。

 頭の上には狼獣人のような耳、ハーピィのような鱗に覆われた脚、トカゲのような尻尾……ちぐはぐで歪な姿は、確かに混ざり者だろう。



「ねぇ、看守さん? 私、こんな小汚い奴らと一緒に居たくないんだけど。私だけ、別の部屋に連れて行ってくださらない? そうしたら、ね?」


「……はは、あぁそうだなぁ。お前の腹のこともそろそろバレそうだし、お前だけ特別にいい所に連れてってやるよ」


「ほんと!? お兄さん大好き!」



 アミィは看守に近寄ると、妖艶な笑みを浮かべてスカートの裾をたくし上げる。そんな姿を見て邪悪な笑みを浮かべた看守の男は、アミィを何処かへと連れて行った。


 牢獄を出ていくときの、アミィの得意げで馬鹿にしたような表情がいつまでも私の脳裏に残っていた。



 この牢獄にいた全員が、恨みの籠った、もしくは諦感の籠った眼差しを向け、彼女を見送った。他人を馬鹿にしたような態度も相まって、『一人だけいい思いをしやがって』と、彼女に対する相当の恨みを持っていたようだ。


 でも私は知っている。

 連れていかれたアミィが、二度と戻ってこないことを。


 そして、その翌日に私たちに与えられた何かの肉が、ふんわりと甘い桃のような香りがしたことを。



        ♢♢♢♢



 ある日、私と親友のリュシカは人間に連れられて牢獄を出た。


 もちろん解放されるわけではない。連れ出されて何をされるかは知らないけど、こうして人間に連れていかれた子達が二度と帰ってこないのを考えると……次は私たちの番だということなんだろう。


 リュシカは、私の唯一の親友だ。

 ちぐはぐな姿の私を忌避することなく、『個性だ』と言って認めてくれる唯一の存在。

 この地獄みたいな場所で私が生きていけるのは、彼女の存在があるからだ。


 そんな私とリュシカの仲の良い様子を見て、人間が邪悪な笑みを浮かべていたことに、私は気づいていなかった。



 リュシカと離れ離れにされ、私が連れてこられたのは、窓すらない石の壁に囲まれた薄暗い地下室。私は抵抗もしないまま、うつ伏せに手足を固定され猿轡をかまされた。



「へへへ……どうせならいい声で鳴いてくれよ?」


「っ……!?」



 下品な声で話す人間が、私の背後に近づくのが分かる。手に持っていたのは、真っ赤に焼けたナイフ。それを見た瞬間、何をされるかを察した私の身体に、貫くような激痛が襲う。



「んんんぅぅぅぅっっっ!!」


「くっ、ははは! いいねぇ、その表情!」


「んぐっ、っ~~~~!!」


「これから儀式に使うんだ。しっかりおめかし・・・・しないとなぁ?」



 私の背中を抉る痛みは、いつまでたっても終わらない。

 どれぐらい経ったのだろうか。喉が枯れ、意識が朦朧としてきたころ、私はようやくその苦痛から解放された。



「カ、はっ……」


「寝てんじゃねぇよ。本番はこれからなんだからよぉ」


「おい、そいつの髪は結構高く売れるんだ。もう少し丁寧に扱ってやれよ」


「どうせ儀式が失敗すれば死ぬんだ。今さらだろ」



 そんな人間達の話し声も、憔悴しきっていた私の耳には届いていなかった。


 そのまま連れてこられたのは、どうも祭壇のような場所だ。

 深夜という時間帯と、松明の頼りない明りだけでは全貌が見えないけど、大きくて複雑な紋様が地面に掘られている。


 その中心、一段高くなったその場所には、肉や果物といったお供え物・・・・と、白い布に包まれた何かがあった。



「これから『原初の獣』の降霊儀式を行う。よく聞け」



 私が人間に命令されたことは二つ。

 一つは降霊の呪文。あの祭壇の中央で、『原初の獣』を願う呪文を唱えること。


 そして二つ目は、手渡されたナイフを中央———白い布に突き立てること。



 ナイフを渡されても、私には人間に歯向かうという考えは浮かばなかった。ただ言われるがままに、ナイフを掲げて呪文を口ずさむ。



 『原初の獣よ、我ら全ての獣の祖よ。今一度顕現し、我らに力を与え給え』



 そう唱えた私は、ナイフを勢いよく振り下ろす。

 白い布へと食い込んだナイフは、何とも言えない感触とともにその刀身を沈め———布の下から真っ赤な液体が吹き出した。



「え……?」



 ぞわりと全身の毛が逆立ち、最悪の考えが頭をよぎる。


 そんな、まさか———

 色々な思いでグチャグチャになったまま、私は思わず、その赤く染まった布をはぎ取ってしまった。



「ぅ……あ……」



 そのまさかだった。

 そこにいたのは、私の親友であるリュシカだ。

 私が振り下ろしたナイフは、唯一の親友であるリュシカの胸を確実に貫いていた。


 手足を縛られたうえ、目隠しと猿轡をされた状態のリュシカには、何が起きたのか分からないだろう。ご丁寧に喉を焼き潰されているのか、リュシカは声すら上げられないまま、徐々に体の痙攣が小さくなっていく。



「くくく、いいぞ、こんな好条件は他にない! 泣け! 叫べ! それら全てが『原初の獣』を復活させる糧となる!」



 『原初の獣』の降霊に必要な条件は四つ。

 獣人の本能が最も発揮される満月の夜であること、魂の受肉に必要な依り代、獣人の生贄。そして、まるでこの世界そのものを呪うような、強い負の感情の露発———



 ———私の目の前で、リュシカの身体が一度だけ震えた後、もう二度と動くことはなかった。



「ぅああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」



 私の叫び声に呼応するように、地面に掘られた魔法陣、そして私の背中に刻まれた紋様が、黒紫の光を放つ。



「来た、来た来た来たぁっ! 儀式は成功だ! 我々は最強の力を手に入れたのだ!」



 人間たちが叫ぶ声も、私の耳には届かない。


 降霊儀式の成功———それは、嘗て全世界を支配した『原初の獣』が再び現世に放たれることを意味していた。







ダークファンタジー系は私には合わなかったよ……。というわけで、誰か続きを書いてくだせぇ……

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