第十五話【済】
「ということで、第一回決闘祭こと下剋上イベント作戦会議ィ~」
「ワ~」
ドンッ。机と用紙と決闘祭説明書を叩きつけ、ニヤリと不敵な笑みを浮かべるアンリーナと、感情の籠っていない棒読みで拍手をするシロコ。用紙にはでかでかと『どんなパフォーマンスをするか』とアンリーナの字が書かれてあるが、それ以外は特に何も書かれていない。
「俺として希望を打ち下すぐらい徹底的に叩きのめしたいんだが、それを『アンリーナ』がするのは違うよなァ?」
「ご主人様の日常生活を見る限りですと、確かにご主人様がその行為をするのは違いますね~~悪女に見られてしまいますね! 確実に。でもボクはすっごく見たいので是非やりましょう~!!」
「そういわれてはいそうですねやりましょう!! ってなると思ってんのか? やるわけねェだろ」
満面の笑みで親指を立てるシロコ。馬鹿にしてるのか、ただただこの現状を楽しんでいるのか分からないがアンリーナは「馬鹿にしている」と思ったのでシロコの提案に対し親指で首を掻っ切るような仕草をし、そして指先を下へ向けた。そしてシロコがアンリーナの案に嬉々と同意した様子を目にし、アンリーナは呆れた様子を見せ問いかける。
「というか、俺の案を採用するならテメェが叩きのめす役になるんだぜ? わかってんのか?」
召喚者と召喚獣が力を合わせ共に戦う。その為いかに召喚獣と心を通わせているか、主従関係を結べているかが決闘祭で勝利でし続ける秘訣となる。召喚者だけで戦う、あるいは召喚獣だけで戦うことも出来るが共闘と比べると勝率は落ちる。
問いかけにシロコは「分かってますよ~」と軽やかな笑みを浮かべ、その様子を目にしたアンリーナは変わらず呆れた様子を見せ説明書に視線を向け、シロコに別案を求める。
「俺の案は忘れろ、『アンリーナ』には合わないから使わねェ。……テメェはなんかねェのか。やりたいこと」
「ボクですか? う~ん……そうですね~。まずボクの得意分野は化けることですから……あ! そうだ騙すのはどうですか?」
「……騙す?」
右手でタイトル以外まだ何も書かれていない用紙にアンリーナはペン回しや、トントンッと用紙を優しく突き立て遊ぶ。アンリーナの言葉にシロコは悩む素振りを見せてから思いついたようにパッと表情を明るくさせ、案を出した。案を聞いたアンリーナは、その案でどう戦うのか分からず、首を傾げた。
「幻影とかでボクが沢山いるように見せて叩くとか、あとは対戦相手の召喚者、召喚獣に成って錯乱させるとかですかね~。ご主人様の
シロコは手から白い煙を出しそれを人型のようなシルエットや、人ならざるシルエットに変形させた。そしてシルエットをまるで人形遊びをするかのように両指を動かせばシルエットは指の動きと共に様々な行動を行った。シロコの話に耳を傾けていたアンリーナは、話よりもシルエットの方が気になってしまい意識をそちらへ向けた。アンリーナの視線がシルエットに向いていることに気づいたシロコは笑顔を浮かべ「これ決闘祭をイメージした寸劇です」と口にした。——どうやら今の行為は先程の言葉の補足のようだった。
「……まぁその案なら真っ当な勝負になるだろ。いいぜ、採用」
不敵な笑みを浮かべアンリーナは用紙にペンを走らせシロコの案を箇条書きで書いていく。シロコの
「? おい、どうした」
シロコの口から語られる案を一つ一つメモをしていたアンリーナはふと途中まで喜々として語っていたシロコの声が途切れたことに気づいた。用紙からシロコへ視線を向けると、シロコは何かが引っかかっているのか考え込むような仕草を見せていた。
「なんか懸念することでもあったかァ?」
「……あ~えっとぉ、フィーリアの転生特典が気になりまして~」
「……あ? 何言ってんだ? ないだろ。あの言い方は自らここに転生したっぽいし、クソ女神の言葉を信じるなら二つある選択肢の、転生先を選べるけど、能力は渡さねェの方だろ?」
決闘祭の話から何故いきなりフィーリアの話になるのか分からなかったアンリーナは、疑問を抱きつつも暴言を吐かれた時の様子を思い出しシロコに向かって自身の推測を述べた。だがシロコはまだ何か引っかかるのか、納得した用紙は見せず「うーん」と唸り、ぽつりと不安を抱いているような声色を漏らす。
「そうだと……ボクも思うのですが……」
「ハァ? それ以外にあるのかよ? テメェ、何が引っかかってんだ?」
「……それが分からないんですよ~。ただ、転生特典であの方を思い出しまして~……妙に、気になるんですよね~。ボクとあの方は話したこともないのに」
(……??? 本当にこいつ何が気になってんだ?)
不安げな表情を見せたシロコに、アンリーナは何をそこまで気にすることがあるのかとシロコをじっと見つつ疑念を抱いた。
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