第19話 友人関係と孤独
家族との距離感と同じく、友人関係も私にとって悩みの種でした。友人を持ちたい気持ちはあったものの、過去の経験から、友人関係に対して不安や恐れが常に付きまとっていました。特に、幼少期から「変わり者」と見なされ、孤立してきた記憶が深く刻まれているため、誰かに心を開いても、結局は疎まれるのではないかという恐れが根強く残っていたのです。
人と一緒にいても、心のどこかで「本当の自分を知られたら嫌われるのではないか」という気持ちが常にありました。そのため、会話では自分の意見を隠し、相手の期待に合わせるようにしてしまう癖がつき、どれだけ親しく見える関係であっても、どこか表面的なものに感じられることが多かったのです。本心を見せるのが怖く、他人といることで逆に孤独を感じることが少なくありませんでした。
また、友人関係を築くこと自体が私にとっては挑戦でした。表面的にはうまくやれても、心の奥底では孤立感が消えないままで、自分の本音を話す勇気が持てなかったのです。会話の中で「ここで本当のことを話したらどう思われるだろう」と考えすぎてしまい、結局、気持ちを閉ざしてしまうことが多くありました。そのため、友人ができても、「この人たちは私の本当の姿を知らないのだから、本当の友人ではない」とさえ思ってしまう自分がいました。
こうした状況が続く中で、私は自分の中にある孤独と向き合うことが必要だと感じ始めました。友人がいても心が満たされないのなら、自分の中に問題があるのかもしれないと思うようになったのです。友人関係において大切なのは、自分の気持ちを偽らずに伝え、ありのままの自分で接することだと気づきましたが、それを実践するのは簡単ではありませんでした。
それでも、少しずつ「無理をしないで友人と向き合う」努力を始めました。初めて心から信頼できる友人ができたとき、私の中にあった恐れや不安が少しずつ和らいでいくのを感じました。自分を飾らず、ありのままの自分を受け入れてくれる友人がいることは、私にとって大きな救いでした。友人関係を通して、自分を受け入れる力が少しずつ育まれ、「本当の自分を見せることは悪いことではない」と思えるようになったのです。
孤独と友人関係の間で揺れ動いた日々は、私にとって自己理解の旅でもありました。友人と共に過ごす時間が増えることで、私は少しずつ「自分はこのままでいい」という感覚を得られるようになり、自分の価値を見出す手助けになりました。友人関係に対する恐れが完全に消えたわけではありませんが、今では少しずつ心を開く勇気を持つことができるようになりました。孤独と戦いながらも、真の友人と出会い、自分を受け入れる力を育むことができたことに、今は感謝しています。
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