第15話 押し寄せるフラッシュバック

無力感に苦しむ中、私の心をさらに深く揺さぶったのは、ふとした瞬間に襲ってくる過去のフラッシュバックでした。今もなお鮮明に残る記憶が、突然頭をよぎり、心を締めつけるような苦しみをもたらすのです。それは、小学校での嘲笑の声、中学での孤独な教室の風景、高校や専門学校で感じた自己否定の痛み、そして就職活動で受けたパワハラの言葉たちでした。過去の記憶がまるで生きているかのように、私の中で鮮烈に蘇ってきます。


フラッシュバックは、まったく予告もなく襲ってきます。何かの音や光景、人の声、さらには些細な匂いや風の感触までもが引き金となり、過去の辛い瞬間が私の目の前に再現されるのです。その瞬間、現実から切り離され、過去の記憶に引き戻されてしまうような感覚がありました。周囲の風景がぼやけ、意識が過去にとらわれている間、私はただその場に立ち尽くすしかありませんでした。


そのたびに、心は深くえぐられるようで、恐怖と絶望に包まれました。特に辛いのは、過去の傷が何度も蘇ることで、それが癒えないどころか、さらに強く刻み込まれているように感じることでした。何度も何度も繰り返されることで、「この記憶は永遠に私を苦しめ続けるのかもしれない」という絶望的な気持ちが芽生えました。過去の出来事が、まるで私の心を支配する存在となり、前に進む力を奪っていくのです。


フラッシュバックのたびに、自分が受けた屈辱や孤独、無力感が再び心を打ちのめし、胸が締めつけられるような苦しみに襲われます。たとえ楽しいと思える瞬間があったとしても、そのフラッシュバックによってすべてが暗く塗りつぶされてしまうような感覚がありました。過去の出来事が現在にも影響を及ぼし、私の心を重くするのです。


「忘れよう」と努力しても、記憶はそう簡単に消えてくれるものではありません。過去を封じ込めようとすればするほど、フラッシュバックはより強く私の心に押し寄せてくるようでした。まるで、無理に蓋をした記憶が反発するかのように、私の心に重くのしかかり、再び心を痛めるのです。


このフラッシュバックと向き合うことは、私にとって避けられない課題でした。過去の記憶が私を支配し続ける限り、私は前に進むことができないと感じていたからです。しかし、フラッシュバックの苦しみから逃げ出すこともできず、どうやって過去と折り合いをつけていけばいいのか、答えは見つかりませんでした。この過去の傷とどう向き合うべきか、それは私にとって長く苦しい旅の始まりでもあったのです。

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