第14話 無力感との戦い
「NO」と言えなかった過去や、何をしても報われない日々を繰り返す中で、私の心には深い無力感が根を下ろしていきました。どれだけ頑張っても自分の意志を尊重されない、努力しても評価されないという体験の積み重ねが、私の心をすっかり消耗させてしまったのです。自分がどんなに頑張っても変わらない現実を目の当たりにするたびに、「自分には何もできない」「どんなに努力しても無駄なんだ」と感じるようになりました。
この無力感は、私の行動にまで影響を及ぼしました。何か新しいことに挑戦しようとしても、「どうせ失敗するに決まっている」という声が心の中で響き、自分を止めてしまいます。将来のことを考えても、そこには何の期待も見出せず、ただ惰性で毎日を過ごしている自分がいました。「自分なんて何も変えられないし、他人に必要とされる存在でもない」という感覚が、私の日常を支配していたのです。
無力感に支配される中で、私は自分の価値を見失い、どこか「諦め」の気持ちが心に根付いてしまいました。何かを成し遂げたいという気持ちがあっても、その気持ちに蓋をして、「どうせ無駄だから」と自分に言い聞かせてしまいます。それが自分を守る手段だと思っていましたが、実際には私をますます孤独にし、自分を追い詰めていく原因となっていました。
また、この無力感は他人との関係にも影響を与えました。誰かに助けを求めたいと感じても、「自分なんかが頼っても迷惑になるだけ」と思ってしまい、結局一人で抱え込むしかありませんでした。周りにいる人たちが自分よりも輝いて見え、私だけが暗闇の中で立ち尽くしているような感覚でした。他人と関わることが怖くなり、ますます心が閉ざされていくのを感じました。
それでも、この無力感と向き合う必要があると感じ始めたのは、心の奥底にわずかに残る「このままでいいのか」という問いかけでした。私は、この無力感に支配されている自分を変えたいとどこかで思っていたのです。自分の人生を自分で生きたいという思いが、小さな火のように心に残っていましたが、その火を大きくするには、長い道のりが必要でした。
無力感と戦うことは、決して簡単ではありませんでした。それは自分との戦いであり、失った自己肯定感を取り戻すための、困難で孤独な旅路でした。しかし、この無力感を乗り越えたいという思いが、私の中に生まれ始めたことで、わずかに未来に向けた一歩を踏み出す勇気が生まれたのです。この経験を通して、自分の心に向き合い、少しずつでも前に進もうとすることが、私にとっての新たな挑戦となっていきました。
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