第6話 周囲との違和感

専門学校を経て、私は次第に「自分は他人と違う」という感覚が確固たるものになっていきました。この「違和感」は、小学校の頃から少しずつ蓄積されてきたものですが、専門学校での孤立感がそれを一層強くしたのです。私が感じているもの、考えていること、言葉にすることすべてが、どこか周囲の人たちの流れに合わないような気がしていました。


周りの人々が自然に楽しんでいることに対して、自分だけが心から楽しめなかったり、意見を求められてもどこか反応が鈍かったりと、周囲とのズレが一層明確に感じられる場面が増えていきました。その場にいるだけで居心地の悪さを覚え、周りの笑い声や会話が自分とは別世界の出来事のように感じることもありました。


それでも私は、「普通」であることを目指していました。周囲に溶け込もうと、会話のテンポを合わせたり、流行の話題についていこうとしたりしましたが、それは自然な自分の姿とはかけ離れていて、どんどん自分が無理をしているのがわかりました。周囲に合わせようとするたびに、自分が本来どういう人間だったのかもわからなくなり、心が疲れ切っていくのを感じました。


この「違和感」は、私にとってただの感じ方ではなく、他人との距離を作り出す原因となっていました。他人に合わせようとすればするほど、自分の居場所がどこにもないような気がしてきました。誰かに理解されたい気持ちはあるけれど、自分の本音や本心を話すことができず、それがまた孤独を生み出していきました。


この時期から、私は次第に自分を守るために「仮面」をかぶるようになりました。周囲に違和感を抱かせないように、自分の本心を押し殺し、無理にでも明るく振る舞ったり、合わせたりするようになったのです。しかし、その仮面の裏には孤独と疲れが隠されていて、心が少しずつすり減っているように感じていました。


周囲との違和感は、単なる「変わり者」というレッテルだけでは説明できないものでした。それは、私が自分を理解してもらうことを諦め、内側に閉じこもるきっかけとなり、心の中に深い溝を残したのです。この違和感が、後の私の人生にも影響を及ぼし続けることを、当時の私はまだ気づいていませんでしたが、その感覚は私を支配するようになっていきました。

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