第8話 進化を知ろう
それから何日か後、僕はヘンリーさんの家で魔眼の使い方を教わっていた
魔眼を使うには魔力が必要であり、魔眼に消費する魔力はそんなにも多くない。しかし、魔力の消費を少しでも無くせると、非常時に魔力の余裕が出来るそう。だから消費をより少なくするため魔眼を限定的に使えるように特訓だ
それが片目だけ解放して右目、もしくは左目で能力を使えるようにすること。そうすることで自分と関係がある従魔と『視界共有』加えて『念話』することが可能らしい。
本人曰く、「従魔との視界が共有出来ると偵察がとてもし易くなる。僕よりも速い従魔に行かせると相手に気付かれにくいし、気付いたとしても見逃して貰えることが多い。
さらにその場の情報が分かる上に念話で指示がすぐに出せる。だから『視界共有』は絶対に習得しといたほうが良い」
そう言って彼が左目だけ魔眼を発動すると彼の犬、ハロルドの左目にも彼と同じ模様が浮かび上がった
「まぁ、すぐに出来る訳ではないし、先ずは魔力をノクス君に飛ばして、それをノクス君が感じなければいけないんだけどね」
「ノクスは魔力を感じ取れるんですか?」
「いや、彼自身は普通のカラスだから魔力は感じ取れないね」
「えっ、じゃあ普通に不可能では––––」
「だけど進化をすれば魔力を感じ取れるようになる。何を隠そうハロルドも元はただの犬だった訳だしね」
「じゃあ早く進化を––––」
「まぁ少し待って。茶を入れてくるから」
そう言ってヘンリーさんはお茶を入れにキッチンへ行ってしまった
「待たせたね。早速説明しようか。」
出来上がったお茶を入れつつ、彼はゆっくりと話し始めた
「実は進化をするには二つの方法がある。一つは自然と変化すること。親から子と遺伝子が引き継がれて行く時、時たまに違う個体が生まれることがあり、それが突然変異個体となる。このような進化をすれば能力が心体に馴染み易く暴走、若く死ににくい。しかし、非常に膨大な時間が必要な為、この方法は適切ではない」
「ですよね」
「二つ目が『進化の魔石』を口にすることだ。」
「『進化の魔石』?」
「そう。『進化の魔石』を体内で取り込むことで遺伝子を強制的に書き換えることで身体の構造を劇的に変化させるのだ。そうする事で早く能力などが手に入るが当然デメリットもある。
それは心身の土台が出来ていないと遺伝子の書き換えに耐えられず、暴走したり、異形になったり、挙句には命を落とす危険性がある。
仮に耐えた抜いたとしても子孫を残せない身体になってしまうのがデメリットだ」
「そして魔石の所在だが……、実はあまり分かっていない。分かっているのは全世界で発見されるのと数が物凄く少ないことだ。
一応市場にも出回っているが非常に希少で高価」
「そうなんですか……。教えていただきありがとうございます」
そう言って窓をを見ると空がオレンジ色に染まっていた
「礼には及ばないよ。このような話は知っておいて損はない。他にも何か質問があったらなんでも聞いてくれ」
「はい。ですけどもう家に帰らないといけなくなってしまいましたので話の続きは後日に。また聴かせてください」
「もうこんな時間か。またおいで」
家に帰って夕ご飯を食べた後、僕は自室でノクスの帰りを待っていた
(大丈夫かなノクス?怪我をしていないといいけど……。あ)
バサッバサッ
翼のはためく音を聞いた瞬間、僕は一階に降りて裏口を開ける
「タダイマ」
「お帰り!どうだった?」
「持ッテ来タ」
そう言ってノクスは足元をみつめる
「うわっ!本物じゃん!やった!ありがとうノクス!明日はお祝いだ!」
そう言って僕たちは喜ぶ
ノクスが持って帰って来たものはそう、鈍い色が光に反射して鋭そうな『ナイフ』だった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます