第7話 きな臭い

「失礼します!」

 「うん、失礼するなら出て行って入れるかな」

 「はい、失礼しました~。……っておい!」


 あれから数日、僕はヘンリーさんからこの世界の言語、文法、意味、歴史、地理、外国語を教えてくれている。ぞれもほぼ毎日だ。

僕自身としてはそんなに押しかけたら迷惑なんじゃないかと思っていんたけど、

 「元々隠居して暇があるから毎日来てくれても構わないよ」、言われてしまった

 それから今は軽口が叩けるくらいにまでなら仲良くなっている


 いざ始めてみると苦労はしたけども順調に習得していっている

 前世から勉強の根底が出来ているからか普通の子供よりは最初の知識の吸収が速いと思う

 まぁそれでも苦手意識はあるけどね……。

 例えば外国語。これはシンプルに難しい。この国とは違う文字、文法、使いまわし、果てには文化まで知らないといけない

これは外国語を学んでいる人はお分かりではないだろうか

 

 「あぁ~、疲れた~」

 「ハハハ、頑張ったね。切りもいいしここら辺に終わりにしよっか」

 「はい。今日もありがとうございました」
















 あれから4年後、僕は晴れて9歳になった

 背も伸び体力も伸びた。あれからもずっとノクスにお金を集めさせ続けてきて随分と貯まってきた。

 たぶんだけど冒険者の初期投資は全部払えて、なお余るくらいには集まっている

 冒険者になるには後三年必要だし、その間にももっと貯まるんじゃないかな


 そしてある日、今日はヘンリーさんが用事で王都から離れているので店を手伝っている。

 店のやることは多い。僕がいつもやっているのは掃除、在庫の有無又はその補充の手伝い、店の呼びかけだ

 あ、常連のおしゃべりなおばさんだ

 「こんにちは~」(おばさん)

 「あら、いらっしゃい」(母さん)

 「いらっしゃいませ~」(僕)

 「エドちゃん元気にしてる?ちゃんと食べてる?あぁ、奥さん。人参4本、玉ねぎ2個、じゃがいも4個としめじ2つを頂戴」「はーい」

 「うん!毎日ご飯2杯食べてるよ」

 「そうなのね~、ママのご飯美味しい?」

 「毎日美味しい!」

 そうやり取りしていると母さんが頼まれたものを持ってきた

 「はい、1180ロウね。ねえ、最近南の方がきな臭いっていう話って本当?」

 「それがねぇ、何でかわからないけどあっちの方で何があったみたいでかなりピりついているみたいね」

 「怖いわねぇ。そんなんじゃうかつに外には出れないでしょう」

 

 そんな不穏な話題に僕は意を決して質問する


 「ねぇ、きな臭いって何?」

 「ああ、ごめんね。ちゃんとわかるように言うわね」


 話をものすごく簡潔にするとこう

 何か南のギャングが怪しい動きをしている。危ないから用事がある人以外はそこに近づくな。あったらすぐに用事を終わらせてそこから離れた方がいい

 僕は子供なので特にそう念を押された


 「いい?絶対に南に行っちゃだめよ。絶対に、絶対によ」

 「分かった。絶対に行かない」


 そう言った僕を見て二人は安心した
















 僕が心の中で腹黒い笑みを浮かべているのも知らずに

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