第2話

その日の夜、ルーシーは「ゲームするから明るいかも。ごめんね。」といい、部屋の隅へ移動した。1LDKのアパートは、LDKで1部屋。残りの1部屋が寝室等の役割に使われるが、広めの1部屋。相部屋なので、光は漏れるどころではない。明るいかも、レベルだったら苦労してない。

「(すっごい明るい!寝れない!音がないのが救いか·····。)」

ストレスで早死しそうだな、私。


次の日、一体何時に寝たのか分からない自分の体は少し重たかった。

「おはよ·····。んあ〜〜·····。」

「おはようございます。朝食はどうしますか?」

「·····僕、ご飯は後で食べるからさ、先にキッチンとリビングどーぞ。」

「え、私作りますよ?」

「··········ごめん、僕食べるのゆっくりだからさ、先食べて。」

なんだ?さっきの間は。まるで·····いや、いいか。

「あの、冷蔵庫に入っている食材使ってよろしいですか?」

「うん、好きに使って。」

「はい。では、こちらの卵とキャベツ、食パンを使ったサンドイッチを2人前作らせていただきます。」

「え、2人前?お昼の分も作るの?」

「いえ、ルーシーさんの分です。」

「え?ぼ、くの?」

「はい。迷惑でしたか?」

「あ、ううん。·····じゃあ、ベットの上で適当に過ごしてるから。」


食パンの耳を切って、卵をフライパンで焼き、キャベツをちぎる。食パンの耳は、袋にでも入れて、近いうちにお菓子にでもしよう。

「出来ましたよ。机の上に置いときますね」

「·····ん。ありがとう。」

ノールックで返事をする。昨日はゲームをしていたクセに、今は読書って、なんか。夏休みの読書感想文の宿題に追われる学生みたい。

「先食べてます。」

「·····はーい」

もう少し卵、火を通した方が良かったか?まあ、もうしょうがない。

私は朝食を終わらせた。


「アネちゃんってさ〜」

私が小さな鏡を見ながら髪を結っていたとき、ルーシーは声をかけた。

「綺麗な茶髪だよね。初めて知った。目を緑できれ〜」

昨日初めてあったんですよ、この人と。今日初対面じゃないくて。髪色とか目の色とか、初対面の時に分かるもんじゃないの?

「ありがとうございます。」

「私は·····銀髪だし。水色の目だし。いいよねー。」

そういって、彼女はトタトタと音をたて、リビングの方へ向かった。


「(何となく、彼女の方が容姿はいいと思うけど。属性にも合って、大人しくてもオシャレだし。)」

そんなことを思っていると、後ろから気配が近づいてきた。

「ばあ〜ぁ!」

「バレてますよ。」

「チェ〜。·····あれ?ツインテールなんだ。昨日も?」

「昨日もです。」

「そーなんだー。じゃあ、僕の髪も結べるの?」

「·····はい。結べます。」

「ならさ〜、僕あれしてほしい。クマみたいになるやつ。」

「お団子結び、ですか。分かりました。座ってください。」

「やった〜。」


実際に触ると、終わったよりサラサラだった。小さなゴムで頭の上の方に2つのお団子を作る。

「うわぁ!上手だね。」

「ありがとうございます。」

「·····ねえ?リボン付けれない?これ、この青いの。」

「出来ますよ。では少しだけ大人しくてくださいね。」

最後につけてくれと頼まれた、青のリボンをつけた。本人は満足そうだった。

「うわぁ〜。ありがとう。」

「喜んでもらえて嬉しいです。では、私は買い物に行きます。」

「行ってらっしゃいだね。」


私はアパート近くの雑貨屋に来ていた。何となく物を見ていくのが楽しいのだ。前までは呑気に店の中をまわることなんてほとんどなかったからこそ、楽しく感じた。

「あはははは!おねーちゃん、早くこっち来て!これ可愛いんだから!」

「待って!走らないで!」

誰かも分からない姉妹の声。無性にムカついた。奥歯を食いしばっていた。

「(過去に囚われてるな。私。もう、“おねぇちゃん”とは会えないのに。)」

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スピカレイ @Haruna1256

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