第5話
筑波先輩にスライダーを教わったものの、簡単には上手く行かなかった。とりあえず、家で握りの練習をすることと、インナーマッスルを重点的に鍛えることにした。
「今日は守備練してもらうぞー。先生がノックするから全員とれー?」
先生からの緩やかな圧を感じつつ、全員がグラウンドに向かった。
「佐野ー!そんな動きじゃセンターラインを守れねぇぞー!」
「向井ー!フライが取れるからって、ゴロが取れなきゃ意味ねぇぞー!」
え……先生怖…………
「お、一年ビビってるな?」
八木ケ谷先輩がニヤニヤしながら歩いてきた。
「先輩、あれは?」
「小木田先生な、守備だけ異様に厳しいんだよ。なんでも小木田先生、高校生の時の県大会の決勝でエラーしてそれで負けたんだと。」
「「「あーー」」」
俺を含めた一年五名が納得したように声を出した。
「じゃあ俺ヤバイな………」
「まぁ、伊那は初心者みてぇなもんだし、大丈夫だろ。」
「そうだと良いんですが…………」
「伊那ァー!その程度もこぼす用じゃあ、レギュラーで使わねぇぞ!」
全然優しくなかったです。
投手は一塁のカバー練習もしたのだが、正直言って難しい。考えることが多すぎるし、さらに本番では相手の動きも見ないといけないとかキツすぎだろ………
「最後に紅白戦やるぞー。
メンバーはここに書いてあるから準備しとけー。」
紅 白
一新木 遊小々本
二佐野 左黒崎
左田上 二馬田
三安達 投筑波
遊峰岸 中佐々木
右菅野 捕八木ケ谷
捕田辺 一斎藤
中向井 三長谷川
投伊那 右雲井
見た感じ、投手の菅野先輩がライトを守り、ライトだった佐々木先輩がセンターを守っている以外は基本ポジション通りかな?
相田先輩は二塁審判。
小木田先生が主審で紅白戦開始だ。
一回表
一死で佐野先輩がヒットを打ったものの、田上がゴロでダブルプレー。
一回裏
俺の初登板だ。
落ち着け……三人抑えるだけだ。
田辺のリードに従うように投げ込む。
先輩達もほぼ初見ということもあって、三者三振に討ち取れた。しかし、かなり粘られたため、五回投げられるかも怪しい。
二回表
こちらは三者三球三振。
流石筑波先輩と言った所だ。
二回裏
筑波先輩は空振り三振に出来たが、佐々木先輩にホームランを打たれた。甘く入ったカットを狙われた。
0ー1
その後の八木ケ谷先輩、斎藤先輩は無事に抑えられた。
三回表
田辺、向井先輩も三振に終わり、ついに俺の打席となった。
一球目
カーブ
二球目
っ!ストレートか……
緩急をつけられて、かなり振り遅れた。
三球目
今度こそ……!っ!?
フォーク……三球三振か………
三回裏
出力は少し落ちてきたが、フライとゴロでなんとか三人で終わることが出来た。
安達先輩と佐野先輩の好守備に助けられた面もある。
四回表
また一死で佐野先輩がヒットを打ち、田上がバントで二塁に進塁した。
そして安達先輩が豪快に振り抜いた。
打球は右中間を破り、タイムリーツーベース。
1ー1
しかし追加点はなく、そのままチェンジ。
四回裏
そろそろ腕が限界だ。
黒崎先輩、馬田先輩にヒットを浴び、筑波先輩にホームランを打たれたことで俺はマウンドを降りた。
「投手菅野!
ライト森!」
小木田先生のコールに森先輩が俺!?みたいな反応をしつつ、外野に向かった。
俺は肩を休めつつ試合を眺めた。
結果は2ー6で紅組の負け。
やはり俺は体力がないみたいだ。中継ぎを目指すとは言ったが、体力があるに越したことはない。俺は家での筋トレメニューを考え直すことにした。
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