第2話 少女は勝利をもたらす

 少女はドラゴンに剣を向ける。


「倒れてる人、さっきドラゴンを押さえてた手なに?」

「おお!?。お主·····妖が見えるのか!?」

「アヤカシ·····。よくわかんない。さっきの手なに?」


 モモが少女に説明しようとした時、ドラゴンが炎のブレスを放った。

 少女は瞬時にモモの服をつかみ、ドラゴンの炎を避ける。


「おぉ...なんと身軽な」

「倒れてた人、さっきの手でドラゴンを押さえつけて」

「難しいことか。何故だが今の俺の呪術は弱くなっていてな·····。先程の手で押さえつけられたとて1分が·····」


 少女は地面を蹴ってドラゴンの元へ向かう。

 話を聞かない少女にモモは冷たい視線を向ける。

 炎のブレスを放とうとするドラゴンの頭上に飛び上がった少女。


「禁足地に踏み入る不届き者のかの龍を、地獄に叩き落としたまえ·····!!」


 炎が放たれる直前、ドラゴンを手が押さえつけた。


「良くて1分!!」


 少女に向け、モモは叫ぶ。

 少女は話をちゃんと聞いたのか·····。少女は空中を舞い、ドラゴンの首元へ着地する。


撃怒イラ


 少女は龍の首に向かって剣を叩きつける。

 少女の持つ剣の太刀筋は円を描き、龍の首を切断した。


「あなや·····。龍の首を断ち切るとは。と言うよりも妖を殺したのか·····彼女は」


 モモがドラゴンを倒した少女を唖然と見ていると、少女は手にしていた剣でドラゴンを削ぎ始めた。

 少女の行動に、モモは口を開け唖然とした。


「あなや··········」

「倒れてた人·····」

「··········」

「倒れてた人」


 少女は唖然としているモモの額にドラゴンの肉を押し付けた。


「ひぃ...」

「ドラゴンの肉は貴重。高い。ぶっ殺した人の特権。倒れてた人も食え」

「いやあの、俺に妖を食う勇気は·····」

「ぶっ殺した人の特権」


 先程までそこにいた龍のような圧をだす少女。モモは圧に屈した。


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 パチパチと枝が燃える。


「あなや·····妖の肉を食う日がくるとは·····」

「焼けた」


 少女は焼けたドラゴンの肉をモモに手渡す。

 モモは震えた手でそのドラゴンの肉を受け取り、一口齧る。


「なんとも言えない味だ....」

「倒れてた人、名前は」

「·····紫百·····」

「自分の名前、ニーケ」


 少女は立ち上がり、モモの前に立つ。


「自分、勇者。勇者ニーケ」

「·····俺は祓い屋。祓い屋の紫百だ。先程の龍の妖から助けてくれたこと感謝する」

「百、弱い。迷子、死ぬ」

「そうかもな、どうにも俺の持つ呪術が理由は定かでは無いが弱くなっている。勇者を名乗る祓い屋に心当たりはないが·····。それにニーケ?さんの持ってる剣は呪具か祭具かどうかは分からんが·····」


 少女は話途中のモモの服を掴む。


「おお!?」

「百、弱い。死。そばを離れない」

「ニーケさん!話を!!」


 ニーケはモモの話に興味が無いのか·····。

 ニーケは慌てるモモを無視し、地面を引きずりながらどこかへ向かう。

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