祓い屋と勇者

凛々

第1話 交わり

「百様、ここが依頼の場所です」

「ハトバくん案内ありがとうね」


 モモは鬱蒼としげる森を見つめる。


「確かにやな感じだ。それに肌寒いし」

「確かにそうですね。それと神隠しにあった·····という報告もされています。より気おつけてください」


 ハトバのその言葉を聞き、モモは嫌な顔をする。

 ハトバは森中へと向かうモモに向け、切り火を鳴らした。


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 森の中を進むモモは、やな雰囲気を感じ足を止める。


「この辺か?」


 モモは、警戒しながら辺りを見回す。

 ふと、警戒していたモモは動物とは違う生き物の気配を感じとった。

 モモは、気配のする方向を向き、符を構える。


「話の通じる妖であってくれよ·····」


 気配の正体が暗闇から姿を現した。

 木々を押しのけグロロ、と響く重い声が姿を現した。

 モモの額に汗が垂れた。


「俺は運がないのか·····。龍の妖とは!!」


 ドラゴンは、ギロリとモモを睨む。

 ドラゴンの口が赤く光る。モモが気づく前に当たりは静寂と化し、モモに死の淵を見せつけた。


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 グロロ、とまたドラゴンは声を鳴らす。

 辺りは熱風が広がり、焦土となった大地にモモは立っていた。

 モモの結界は間に合ったのだ。


「かなり強固な結界なはずなのだが一吹きでヒビが入るか。それにこの龍·····妖術を操る妖だったとは、尚更、俺は運が悪い」


 パリン、とモモの結界が割れる。

 ドラゴンは、スキを与えなかった。ドラゴンの口がまた赤く光り出した。

 肌にひしひし伝わる熱風がモモの脳裏に死の文字が横切った。


 瞬時に『動きを封じる符』を取り出したモモはドラゴンの動きを押さえる呪文を唱えた。


「禁足地に踏み入る不届き者のかの龍を、地獄に叩き落としたまえ!!」


 呪文を唱えたモモ

 炎のブレスが放たれかけた瞬間ドラゴンの頭上から手が現れ、ドラゴンを地面に押さえつけた。


「ふう、押さえることができた。それにしても·····ここまで強力な妖術を操る龍·····。祓うことは無理として、封印するとなると大規模な封印術を今から仕掛けることになるな」


 モモは、押さえつけたドラゴンを見ながら頭を悩ませた。

 モモは、気づいた。ドラゴンを押えつけている符だがどんどんと黒くなっていることに。


「まさか!?もう呪術が解けかけていると言うのか!?。体幹1分だぞ!?」


 押さえつけられたドラゴンは、押さえつけている手を、ググッ、と押し上げていた。

 そして、ドラゴンの口からは、赤い光が。


「まずい!!」


 モモが気づいた時には、ドラゴンの口から炎のブレスが放たれていた。

 終わった·····と感じたモモ

 そんなモモを横に押し倒した少女がいた。


 アメジスト色の長髪の少女がモモを押し倒した。


「おお?!」

「ここにいたドラゴン」



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