第20話 夜のお勉強
アルティナ王国魔法学院には貴重な本を集めた図書館があった。
あまり利用されないらしく、閑散としている。
私は学校の図書館で本を借りて、魔法の練習をする事にした。
貸出期間は二週間だ。
分厚い本を抱えて、家に帰る。
来週から森へ入る事になったから、回復魔法をもう少し扱えるようにしたい。
流石に直ぐに怪我したりしないだろうけど。
私、心配し過ぎだろうか?
学校から帰ってきてから、毎日部屋で一人練習をしていた。
魔法は初級、中級、上級とレベルがあるらしい。
私の使えるのは初級の回復魔法のヒール。
軽い傷を治す程度だ。
魔力を集中させていると、ドアがノックされた。
コンコンコン。
音で意識が引き戻される。
「ローレライ、何しているの?って…ごめん、魔法の勉強してたんだね」
ドアが開かれ、私の様子を見て途端に謝るレイン。
机の上には、分厚い魔法書が置かれて開かれている。
「別に謝る事じゃないわ、レイン。何か用があったの?」
「用がないと来ちゃだめ?…あ、ごめん。僕、邪魔だったよね」
俯いて立ち去ろうとする彼の手を私はとっさに掴んだ。
「ごめんね。最近構ってあげてなかったわね」
相手をしてあげなくて、寂しかったのだろうか?
最近は、魔法の事で頭がいっぱいで彼の事を全然考えてあげられていなかったわ。
私は彼の頭を撫でた。
「もう、いつまで経っても弟扱いなんだね」
レインはぷくっと頬を膨らませる。
「だって、可愛いんだもん」
「でも、ローレライ大好き」
途端に私の顔が赤くなった。
「改めて言われると恥ずかしいわね」
「ねえ、キスしてもいい?」
一緒に暮らしてはいるけど、キスは初めてだわ。
恋人になったのだからしてもいいわよね。
「私とキスしたいの?」
「うん」
「じゃあ、ベッドに座ろっか」
私とレインはベッドに腰かけて座った。
えっと、キスってどうするんだっけ。
「ローレライ目を
「わかったわ」
ふんわりと唇に温かい物が触れた。
変な感じ。
レインの匂いが鼻孔を刺激する。
たまらず、ぎゅっと私はレインを抱きしめた。
「ローレライ、もう一回しても良い?」
「うん」
「…ん」
私の唇が彼の口で塞がれる。
今度は少し長めのキス。
「はぁ…」
心がとろけてしまいそう。
キスってこんなに気持ちいいものだったの?
私は、魔法の練習のことは頭からすっかり抜けていた。
「ちゅっ」
求められるまま、何度もキスをしていた。
*
「ローレライ、ローレライってば」
「あら、ジョディーどうしたの?」
「どうしたのじゃないわよ。さっきから呼んでいるのに気が付かないんですもの。多分、レイン君の事を考えていたんでしょうけど」
教室で、ジョディーが話しかけてきた。
私は、昨夜の事を思い出してぼーっとしていたようだ。
いつの間にか、一時限目の授業は終わっていたようだった。
「ごめんなさい。それで何かしら?」
「ほら、私たちと一緒にデートすることになりましたわよね?」
そういえば、そんな事レインから聞いた気がする。
私とレイン、ジョディーとカーベルで一緒にデートをしようって言っていたらしい。
冒険者の仕事をした翌日で、体力が残っているかしら。
「行きたい所とかあったりするの?」
「まだ、決めかねているんですの。どこがいいと思います?」
異世界は娯楽が少ないのよね。
どうしたものかしら。
「ピクニックなんてどうかしら?」
「ぴくにっくとは?」
しまった。
森にモンスターが居る世界では、ピクニックなんて
「えっと、お弁当持って自然の中でゆったりする事かな?」
「んー、安全な所があるといいのですけど…あっ」
「何?」
「えっと、ローレライのお家のお庭が自然豊かだったなって…それは違いますわよね?」
「そっか。それで良いんじゃない?」
前の日疲れていても、庭だったら無理しなくて済む。
確かに庭には木々が生い茂っていて、ハーブなんかもあって…何なら噴水もあるから良いのかも。
地面に何か敷いて、のんびり寛ぐ。
良いじゃない。
ゴロンと寝そべっても気持ちよさそうね。
「じゃあ、それで決まりね!レインと、カーベルに言っておくわ」
当日、凄く楽しみになって来たわ。
早く休みにならないかしら。
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