第10話 心変わり?
「レイン様酷いですう。姉に言いつけるとか」
エリサが校門前で待ち伏せをしていた。
学校に登校して早速絡んでくる。
私はレインと一緒に歩いていたのだが、無視されているようだ。
「きょうだいで付き合うなんてありえないですよね?お姉さまに脅されているとか?」
「おはよう。ローレライ、ちょっと放課後付き合ってもらえないだろうか」
颯爽とケリーが現れた。
華やかな彼が現れると周囲から注目される。
「おはようケリー。放課後、話があるのね?」
「じゃあ、また後で」
彼は直ぐにその場を去った。
「レイン様、放課後お姉さんは王子と用があるんですって。わたしと二人きりで良い事しません?」
レインはエリサに絡まれている。
モテる人は大変ね。
*
「全く、あの子ったら私たちは勉強をしにきているのにね」
私は教室でため息をついた。
「朝から大変ですわね。姉弟どちらも人気があって」
「は?レインは分かるけど私はそうでもないわよ?」
「どの口が言ってるのかしら?貴方は、王子から求愛されているんでしょう?」
ジョディーがジト目で私を見ている。
あれ?何だか呆れられてない?
求愛って…。
「されてないけど?」
「王子が、ローレライに好意を持っていることぐらい見ていれば誰でも分かりますわよ」
そうなのだろうか?
私は首を傾げていた。
*
私は放課後、ケリーの所へ向かった。
王子は学校から特別扱いされているらしく部屋が与えられている。
「このお部屋ね」
コンコンコン。
表札も何もない部屋をノックする。
「やあ、いらっしゃい」
部屋に入ると、ケリーが笑顔で出迎えてくれた。
シルダさんは紅茶を入れている。
いい香りが漂う。
床は豪華な絨毯が敷いてあり、ソファも座り心地が良い。
テーブルには、美味しそうな果実の乗ったケーキが置いてあった。
つい見てしまう。
「食べて良いよ」
紅茶を目の前のテーブルに出される。
私は甘いものに弱いのだ。
「え?いいの?」
「食べてもらうために用意したんだからどうぞ」
「いただきます」
私は遠慮なく食べることにした。
赤い果実が甘くてイチゴみたい。
「そういえば、話があるんじゃなかったの?」
「うん。そうなんだけどさ」
ケリーは熱い眼差しで私を見つめる。
彼の瞳から目が離せなくなっていた。
「俺、君の事好きなんだ。君は俺の事どう思っている?」
「えっ?私は…」
何故か言葉に詰まってしまった。
「なんて、困らせてごめん。俺の気持ちだけ聞いてもらいたかったんだ」
えっ?私どうしちゃったんだろう。
心臓がドキドキしているんだけど。
***レイン視点
「ローレライ遅いな」
僕は馬車の中で彼女を待っていた。
王子に呼ばれて話をしているのだろうけど少し不安になってきた。
「御者さん、ちょっと見てきます。待っててください」
僕は馬車を勢いよく飛び出した。
何も無ければいいのだけど。
妙な胸騒ぎがしていた。
僕は王子の居るという部屋の前まで来ていた。
はぁはぁ…。
走ってきて息が切れている。
バタン!
ノックをせずドアを開ける。
「え?」
部屋の中に入ると、王子とローレライが座っていた。
お菓子を頂いていたらしい。
「おい、ノックくらいしないとだめだろう」
「あら、レインどうしたの?」
「え?い、いや…」
胸騒ぎがしたけど、何ともなかったみたいだった。
気のせいだったのか?
僕はたじろいだ。
「ケリー、私そろそろ帰りますね。ケーキご馳走様でした」
「またね」
僕はローレライと王子の部屋を退出した。
***ケリー王子視点
「王子、もしかして魔法使いませんでしたか?」
「いや?魅了魔法は発動しないように、今日も腕輪を…ってあれ?つけ忘れてたのか。でもローレライは、何とも無かったみたいだし効かなかったんじゃないのかな」
今日に限って魔法を抑制する金色の腕輪をつけ忘れていたようだ。
俺は魅了魔法が使える。
感情の高ぶりもあり、無意識に使ってしまったかもしれない。
護衛のシルダは魅了魔法が全くかからない。
何故だかわからないが。
子供の頃、知らずに無意識で使ってしまって城中大騒ぎになった事があった。
それ以来、使用することを禁止されていたのだ。
「そうでしょうか。一応、確認したほうが良いのでは?」
シルダは心配症だな。
***
「ローレライ?」
馬車の中で、私はレインに呼ばれた。
「どうしたの。さっきからぼーっとしているけど」
「え?そ、そうかしら」
王子に会いに行ってから彼の事が頭から離れない。
私どうしちゃったのだろう。
私はレインが好きなはずなのに。
「変なローレライ…全然話し聞いていないみたいなんだもの」
「ごめんね。それで何を話していたの?」
「王子は何の用だったの?」
確か、告白されたのよね。
それから何故かどきどきしちゃって。
思い出して顔が熱くなってきた。
「告白されたの」
何故か恥ずかしくなって目を伏せる。
「ちょ、ちょっと何その反応…僕の事好きなんだよね?」
「だと思うのだけど…自信ない」
「「えええええ―――っ?」」
さっきケリーの瞳を見ていたらドキドキしてしまっていた。
今、レインの事が好きなのかと問われるとよく分からない自分がいる。
「僕の事、好きって言っていたの嘘だったんだ」
確かにあの時は嘘では無かったはずなのだけど。
今、何でこんな気持ちになってしまったのだろう?
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