4.罠
学園で起こった謎の魔物発生事件の後
これからのことについて悩んでいた。
あれ以降大鎌から声は聞こえず、戦った時の経験は適応の個性のおかげか体に感覚としては残っているが、氷の魔法も纏うことは出来ても強く発現できずにいる。
学園の人達からは色々聞かれるが、声が聞こえたなんて言っても変に思われるだけなので、自分でもよく分からないと言っている。
今日は学校が休みのためロイと共に依頼を受ける。
今回行くのは各地に点在するダンジョンと呼ばれる魔獣の住処であり、規模もまちまちである。
「またいつも通り小規模ダンジョンでも行こうか」
「あぁ、あそこなら1日あれば踏破できるからな」
ダンジョンは小規模なものは各地にあり、有名なところや、比較的近場にあるダンジョンは何度も踏破されマッピングされているため良く冒険者達が討伐など目的として訪れる。
逆に大型のダンジョンは得られるものは大きいが、踏破されていないものも多く、大きな塔型のダンジョンの周りは都市として栄えているところが多い。
「今回は2人で行こうか」
「まぁ、他の奴らも連れてきたらやる事無さそうだしな」
2人はギルドの受付に言ってからダンジョンへと歩き出した。この時話を聞いていたもの達がいることなど知ることも無く。
――
「あいつダンジョンに行くらしいぞ」
「この前渡されたアーティファクトをあいつを掛けようぜ」
「だな、俺らC級7人でもキツい場所だったが、あいつは個人でB級様だからな1人でもなんとかなるだろ」
「ははっ、あそこは対となるアーティファクトがないと出られないんだぞ?俺らもやばい雰囲気を感じてすぐに引き返したからな、戻れず進むしかねぇあいつは能無しが判明して死んじまうかもなぁ」
「それはあいつが偽ってんのが悪いだけだろ」
「上手くやれよお前ら」
アルノアのB級に不満のあるもの達が何か企てているようだ。
――
「やっぱこのダンジョンもそろそろ飽きてきたなぁ」
「確かに2人で来れば安定しているからね」
ここは火属性に弱い魔物が多いためロイと来るとかなり難易度が下がる。
そう話しながら進んでいると叫び声がする。
「はぁぁぁ助けてくれぇー」
「パーティで来てたんだがB級の魔物が2匹でちまってよ」
「まだ仲間が戦ってるから行ってくれぇ」
ロイはマップの位置を聞くと先に行く。
「ここに出るB級なら俺一人で討伐できる。アルノアはその人を応急処置してから来てくれ。」
「了解した。」
――
アルノアは軽い怪我をしている冒険者の手当をする。
「すまねぇな」
「いいんだダンジョン内では助け合いだ」
「さて、体力は大丈夫なら俺達も向かおう」
「こっちだ、案内する」
しばらく歩いて
「その先だ」
アルノアが先に通路に入ったその時
「ははっせいぜいB級の力見せてくれよ」
と後ろから声が聞こえた時には通路で罠が発動しワープさせられてしまった。
アーティファクトとは宝具同様不明なことが多い物でダンジョンでまれに見つかる。
――
気づくとそこは見たことの無いダンジョンであった。
「どこだここは同じダンジョンなのか?」
本来ダンジョンでは罠を警戒するが、さっきの冒険者の案内で気を抜いていたのと、よく来るダンジョンのため予想外でアーティファクトを発動させてしまったようだ。
「主の間に似ているな」
冒険者をしてきた勘と重々しい雰囲気から、何となく強い魔獣がいると察知した主人公は、気を引き締めて進み出した。
――
その頃ロイは、教えられた位置まできたが、既に魔物はおらず、そこにいたパーティの奴らは何故か魔物が逃げたなんてことを言っている。
「魔物が逃げた?B級だぞ?」
「思ったより被害がなさそうだなぁ?」
「あ、あぁもう回復魔法をしたからな」
「にしても刃こぼれや汚れが無さすぎないか?」
「まぁ、助かったんだからいいだろぉ」
不審に思っていたとき、再び慌てた大声が元の道から聞こえる。
「大変だぁ!アルノアさんが罠でどっかに転移させられちまった!」
「なんだと?あいつが罠なんかに…いやまずは罠の場所だどこだ?」
「こっちだ」
先程アルノアが消えた場所にきた。
「確かに罠らしいものはあるが発動しないな」
「先に掛かったやつが出るか、死ぬまで発動しなくなるタイプの罠か?」
「そんなのあんのかぁ?」
「あぁ、中規模以上のダンジョンではたまに見かけるが、こんな小さなダンジョンでは見たことがねぇ、しかもここは何度も踏破されているはずなんだが」
「そもそも俺が通った時は何も反応しなかったが?」
「そ、そんなこともあるんだなぁ」
「闇雲に探しても埒が明かない。ギルドに報告して捜索してもらう。」
(嫌な予感がする……無事でいてくれアル)
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