双子姉妹は両片思い
緋月 羚
お姉ちゃん目線
「おーい早く起きないと遅刻しちゃうぞ?」
「ん…わかってる。おはよう、お姉ちゃん。」
「おはよう。早く準備しなよー。」
私達は双子の姉妹で親でも見分けがつかないほど似ている。
幼い頃からずっと仲良しで高校生になった今でも部屋は一緒で何でもお揃いにしている。
…でも妹とは違うものを持ってしまった。
「「おはよう、お母さん。」」
「今日は早いのね。朝ご飯食べて支度しなさい。」
「「はーい。」」
妹はすごく朝が弱くてアラームが鳴っても起きないくらいには熟睡している。
朝ご飯を食べ終わるくらいにならないとまともな会話もできない。
それが可愛いから朝から困る。
「…お姉ちゃん。えと、あぁそうだ。部活入らないの?」
中学時代は私がバドミントン部に入ったら妹も一緒に入ってダブルスをしていた。
なんだかんだ妹のほうがハマって続けたいらしい。
「んー私はもういいかなぁ。あとバイトできる学校だし。」
「お姉ちゃんが…いないならやるの、やめよっかな。」
「え、なんで私がいないとやらないの?」
「…私が部活入ってお姉ちゃんが入らなかったら、休み時間に部活の友達来てお姉ちゃんとはなせなくなっちゃうから。」
すごく可愛いことを言っているけど正直部活をしているかっこいい妹も見たい…。
「そんなに毎回来なくても大丈夫だし、やりたかったらやりなよ?…部活してるかっこいい
「え、…うんわかった。考えとくね。」
いつの間にか食べ終わっていた紗奈と学校に行残っていたものを口に詰め込んで、支度をした。
20分ほど歩いたら学校につく。
紗奈とはクラスが離れていて、紗奈が2組で私が1組になっている。
「お姉ちゃん、じゃあまた昼休みに来るね。」
「また後でね。」
クラスに入ると友達から挨拶されるからそれに返事をして席に座る。
「おはよー今日も妹ちゃんと来てたなぁ。仲良くて羨ましいわ。」
私の席の前に座っていて、妹と共通の友達である、
「ねぇー!聞いてよ!」
「おう…聞くよ?なんだい?」
「朝ご飯食べてたら紗奈が部活はいるのか聞いてきたから入らないって言ったの。そしたら紗奈も入らないって言い出したの!」
「そうかぁ、お姉ちゃんがいないからやなんだな?」
「さすがだね。」
「やっぱり、妹ちゃんも
「…紗奈が好きなのはお姉ちゃんとしての私だもん。」
「んー妹ちゃんじゃないからわかんないけどね。(んなことないけど妹ちゃんに口止めされてるし、おもしろいからこのままでいっか!)」
「あと普通に妹が好きとかやばいでしょ。」
「そんなことないって私も前に女の子と付き合ってたし。」
「それとはまた別じゃん。」
「まぁ細かいことはいいんだよ。」
明香音が前を向くと先生が教室に入ってきてホームルームが始まる。
その間も妹のことを考え続け、いつの間にか授業が始まるチャイムが鳴っていた。
朝来たときに準備しておいた教科書を机の上に出して真面目に授業を受ける。
昼休みになると毎回妹がお弁当を持ってこっちのクラスに来てくれる。
明香音と3人で食べていると
「お姉ちゃん、マヨネーズついてるよ。」
「え、どこ?」
「とってあげる。」
隣で食べている紗奈に少しでも取りやすいように向きを紗奈の方に変えると顔が近づいてきていた。
「えっちょっと…普通に取ってよ。」
「普通のことでしょ?小さい頃から舐め取ってたじゃん。」
「え、あっ、そっかこれが普通だよねっ。…ん、ありがと。(妹はただの親切でやってくれたのに私はこんなに邪な考えを…。)」
「どういたしまして。って顔赤いよ?大丈夫?」
「ん?大丈夫だよ。ちょっと暑くてね…。」
昼休みが終わると紗奈はクラスに戻っていく。
「あのさ、あんたら…いつも舐め取ってるの?」
「あれが普通なんだよ…。」
「よかったねが正しい?」
「たぶんね。」
その後の授業は全くと行っていいほど集中できずに板書だけをし続け今さっきのことを思い出しては顔が熱くなるというループをしていた。
ショートホームルームが終わるとクラス前の廊下に妹が待っていた。
「お姉ちゃん。帰ろー。」
「うん、帰ろっか。」
帰り道はどこかによることもめったになく家にすぐ帰る。
家についたら手洗いとかを終わらせて二人の部屋でお互いにゴロゴロしたり、勉強をする。
今日は勉強をする日でいつもは二人で向き合って課題を進めるのだが
「えーっとなんで今日はとなりにいるの?」
「…今日あんまりお姉ちゃんにくっつけてないから。少しでも近くにいようと思って。だめ?」
「いやいや!全然だめじゃないよ!(そんな上目遣いで言われたら断れるわけ無いじゃん…!)」
「やったぁー!今日はわかんないとこあったから教えて、お姉ちゃん。」
「仕方ないなぁ。どこがわかんなかったの?」
「んーとね。」
「(どこがとは言わないけどあたってるし近いっ!これ今日心臓もつかなぁ…。)」
「…お姉ちゃん、聞いてた?」
「あっごめんもう一回いい?」
…わからないところは教え合いながら進めていると紗奈の集中が切れてきたみたいでいたずらされ始めた。
「紗奈くすっぐったいからやめて?課題やるんでしょ?」
「つかれたからやだぁー。勉強より遊ぼーよ。」
「遊ばないけど、一回休憩しよっか。お茶持ってくるね。」
部屋を出たら今さっきまでのことを思い出して顔が熱くなった。
なんとか部屋に戻る前に落ち着いて戻ると
「ん?なんで私の枕持ってるの?」
「えーっと…。」
「あ、眠くなっちゃった?」
「っそうそう!眠くて。」
課題が終わってなかったから仮眠だけ取って勉強を再開した。
課題が終わったからお互いにゴロゴロして夕飯に呼ばれるのを待つ。
「お姉ちゃん。…ぎゅーしたい。」
「え?ん…?今ぎゅーしたいって言った?」
「言ったよ…。しちゃだめ?」
「いいよ…?おいで〜。」
2人で床でまったりしていたから四つん這いでこっちにくる妹が可愛すぎる…。
なんだあの小動物感は…私と顔も体つきも変わらないはずなんだけどなぁ
「えへへ…あったかいね。」
心臓がうるさくて、バレてないか心配になる…。
「ご飯できたよー!おりてきてー!」
「呼ばれちゃったね。行こっお姉ちゃん。」
ご飯を食べてる間もずっとどきどきしっぱなしで味はよく分からなかった。
でも美味しそうにご飯を食べている妹は可愛かった…。
部屋に戻ってお風呂に入りに行こうとすると
「あ、お姉ちゃんお風呂入りにいくの?今日見たい配信があるんだよね、だからお姉ちゃんと一緒に入っていい?」
「紗奈と一緒に入るのはちょっと…。お風呂も狭いし。」
「昔はよく一緒に入ってたじゃん。」
「それはそうだけどもう子供じゃないでしょ?
仕方ないから先に入ってきていーよ。」
「え、いいの。ありがと!じゃあいってくるー」
「そりゃまぁ一緒に入りたいとは思う…けど姉妹じゃなくて恋人ならなぁ…。もし告白したらどんな反応するんだろう…するつもりなんてないけどね。」
想像だけでもしてみようと思って近くにあったぬいぐるみに試してみる。
「ずっと前から紗奈のことが好きでした。付き合ってください。…なんて出来たらなぁ。」
「いいよ。」
「え??」
「付き合ってよ、お姉ちゃん。」
双子姉妹は両片思い 緋月 羚 @Akatuki_rei
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