第6話 十連ガチャ

 俺よりも少しだけガチャをするのを楽しみにしているように聞こえた楓の声と、共に俺は魔石(極小)を取り出した。


 魔石を取りだした俺はガチャガチャに魔石(極小)をガチャガチャに入れ、回した。


 ガチャガチャガチャガチャ……ガチャガチャ



 前回と同じ赤色のカプセルだけでなく他の色のカプセルも出てきた。俺はカプセルを机に並べると一つづつ開封を始めた。


 まず開封したのは、前回見たことの無い紫色のカプセル、これは何が入ってるんだ?それを確かめるためカプセルを開くと


「なにも入っていない?この紙は?」

 開封したカプセルからは紙一枚しか出てこなかった、その紙には『スキル:鑑定β版』と書かれていたステータスを確認すると新たにスキルが追加されていることを確認した。


【『鑑定β版』を私と統合しますか?統合すれば私が随時鑑定し説明を行います】


 なら、もちろん


「YESだ、楓ちゃんに任せるよ」

 僕はできる限りすることを減らしたいからね。それじゃあ次開封していこうか、次も紫色だね。


 そのカプセルにも紙切れ一枚しか入っておらず、そこには『スキル:睡眠β版』と書かれていた、このスキルは何か楓ちゃんに尋ねると


【睡眠する事によってスキルを得る前よりも疲労回復など睡眠効果が高まり、肉体を活性化させます】



 なるほどなぁ、と感心しつつ次のカプセルを手に取った。そのカプセルの色も紫だ。おそらくスキルが出るのだろうが、それでもまだ見た事のないスキルが出てくる可能性がある事を考えると、ワクワクする。


 カプセルを開けると、そこにはやはり紙切れ以外は何も入っておらずその紙には『スキル:地図マップ』と書かれていた。


【こちらも私と統合できますが、しますか?】


「うん、頼んだよ」

 鑑定の時と同じように楓に頼むことにした。あんまりスキルが増えても大変だろうから楓ちゃんに管理を任せるのはありだな。


 続いて開けたのは前回と同じ赤色のカプセル、その数三つで


「前回と同じ剣と、弓と刀かぁ…次から刀使うか、一応使えるからな」


 俺は実家で刀と弓…他にも武器の扱いを習っていたことがありその中でも刀が一番と言っていい程、上手く使えるのだ。


 これで五つか、あと五つまだ見た事のないカプセルの色だが何が入っていて何を得ることができるのだろうか。俺はそれを確かめるために次のカプセルを手に取った。


「今度は緑色か、はぁ…こんな所でガチャを引いてるが魔王の討伐とか…出来るのかぁ?そもそも魔王ってどこにいるんだよ」

 カプセルを開けると、そこには銀色のチェーンのようなブレスレットが入っていた。ガチャから出てきたこのブレスレットが普通のブレスレットと思えるわけもないので、俺は楓に頼み鑑定β版で鑑定をしてもらった。


【ランク:Dの体力増加のブレスレットの形をした魔道具ですね、これを装備することで少し体力が増えるというものです。単純な能力ですが使い勝手がいいものです】


 確かに体力が増えれば、もっと長く狩りをすることができるしゴブリン討伐に向けて準備を怠りたくはない。


 まだ緑色のカプセルは残っていて、俺はそれらを開封した。


【ランク:Eの筋力増加の指輪ですね、もう一つも同じランク:Eの筋力増加の指輪ですね】


 そして最後の一つ、そのカプセルは異様なオーラを放っており、黒く禍々しいそのカプセルを手に取った。


「…何だよこれは」

 俺はカプセルを開封すると、黒い紙切れが入っていた、その紙には赤い文字で


『大罪之因子1/7』

 と、記されていてこれを七つ集めると何かが起こりそうな紙切れを手に入れた。俺はその紙をストレージにしまって、魔道具を身につけた。


【大罪之因子…鑑定出来ませんでした。ゲームマスターに問うべきかと】


 確かに、あいつなら何か知っているだろう。知らなかったら困る。俺は残った魔石を使ってガチャを再び行おうとストレージを開いたのだが、


「という訳で説明をしに来たよ、鑑定を含む全てのスキルには熟練度という隠し要素があるんだ、簡単に言えば使えば使うだけ能力が強くなったりするって事だよ。そして、もう一つ君の気になっているその紙についてだ」


 ゲームマスターは俺の住居にいきなり侵入してきた。確か、この住居の中では俺の考えが筒抜けにならないと言っていたな…ここに来れなくなる訳じゃないのかよ。


「はぁ、ここなら俺の考えもバレないけど入っては来れるんだな」


「うん、そうだね」

 そうだねじゃねぇんだよ。怖すぎるんだが?後ろを振り返って見るとゲームマスターが居て、いきなり俺に語り掛けてくるとか怖いぞ?恐怖でしかない。


「それで、説明の続きだけど大罪之因子とはユニークスキルを手に入れる為のチケットであり魔王への挑戦権だね。それと、今後は公園とか市街地に魔物が湧かないから。どこに?という疑問が残るでしょ?その答えは簡単だよ。ダンジョン、または迷宮と呼ばれるものをこの世界に組み込む予定だよ。その方がこっちも好都合だからね」


 そう言ってゲームマスターは、俺の引くガチャを見学すると言って住居に留まった。


 魔王討伐によって元の世界に戻るらしいが、あくまでこの世界はβ版でしかない…俺がクリアしたとしても再び同じような世界になるのだろうか……


 俺は不安を胸に残して、再びガチャを引くため魔石(極小)を取りだした。



【ステータス】

 レベル『32』


 名前

『伊藤龍司』


 ユニークスキル

『大罪之因子1/7』


 スキル

『ワールドメニューβ版(楓)』

『ストレージβ版』

『ガチャβ版』

『住居β版』

『睡眠β版』


 称号

『βテスター』


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