第4話

「彼女ができた。それと俺も宿泊研修に行くことにした。だから彼女を班に入れてやってくれ」


「は?」


「いやだから彼女ができて俺も行くことに....むぐぅっ!?」

俺の言葉を遮るように千夜は俺の口をふさいだ


「いや、行くことになったのは良い。俺もうれしいから」

千夜はでも!と言って俺の口から手を放し、唯月を指差す

「なんで昨日今日で彼女ができてんだっていうことだよ!おかしいだろ!お前に女の影があったことなんてなかったし!」


少しムスッとしたような感じの千夜に美空はなだめるように声をかける


「まあ一緒に行けるってなったんだしいいじゃない。ね?」


「それは...そうだけどさぁ...」


「ほら、これで話は終わりだ。唯月、そろそろ時間だから教室に戻ってくれ」そう言って俺は唯月を半ば強引に追い出した


「ほら、お前らも次の授業の準備しろよ」

そういって俺は自分の席に着いた





なんやかんやあって昼食の時間

地べたで弁当を食べようとしていた俺は声をかけられた

「紗季さん。ご一緒しても?」


唯月だった


「え...いやまあいいけど....」


そう言うとそれじゃ、失礼しますと言って唯月は俺の隣に座った



少し遅れて

「おっす紗季、いつも通り....じゃないけど一緒に食べようぜ」

唯月の方をチラッと見ながらそう言った後、千夜と隣にいた美空も失礼するわと言って目の前に座る


「......」

会話が発生しない

いつもなら千夜がどうでもいいことを言ってくるのだが今日は違う。唯月の方をチラチラと見ているだけだった




俺はふうと息をついた後

「なんだ?そんなに唯月のことが気になるのか....?」


「そりゃあまあそうだろ。噂の人と一緒に昼食取ってんだから」


「ふうん。もしかして惚れたのか?」


「そんなはずないっだぁ!?」

千夜が言い切る前に美空がお尻の肉をつねっていた


「ちょ、ちょっ!?ひどくないか?今のは紗季が勝手に言ったことだろ!?」


「彼女がいるのに他の女をチラチラ見る方が悪いんじゃない?」


「いや、それはちが」


「なにが違うっての?言ってみてよ」


「いやだっていきなり紗季に彼女ができたって言われると気になるじゃん?」


「はあ、仕方ないわね。今回はその理由で許してあげるわ....」


「はい....スミマセン」


千夜がしょんぼりして弁当を食べているのを横目に美空は唯月に話しかける


「ねえ、紗季と知り合ったきっかけは何なの?」


「へあっ!?わたしですか!?」

唯月は弁当を食べている最中に急に話しかけられ、驚いたような声を出して返事をした


「いやアンタしかいないでしょ」

ツッコむようにそういうとほら、はなしてみてよ。と急かすように唯月に言った



唯月はチラッと俺の方を見てきた


まずい....何にも設定決めてないぞ.....そう思いながらなんとかなれという思いで唯月に向かって頷いたのだった

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