第2話 高校卒業


「や、やっと終わったぁ」


 長い長い卒業式がやっと終わった。話とか長すぎて途中で寝たわ。あんなん、もはや呪文みたいなもんだろ。


「お疲れ。じゃあ帰るか」

「そうだな。あー、今日は何食おっかなぁ」

「じゃあ、今日は滝谷の家で鍋でもするか」


 鍋か。ありだな。なら、帰ったら適当な食材買いに行くかぁ。



「それにしても本当に滝谷はどこにも就職しないのか?」

「まぁな。俺はしばらくニートするんだ」

「まったく、早く就職しないとどこも雇ってくれなくなるぞ」


 そんなこと言っても俺は出来るだけ楽なところに就職したいんだ。こき使われるのは嫌だ。


「優弥はどっかに就職するのか?」

「あぁ、俺は少し遠くの銀行のとこに就職しようと思ってるな」

「大丈夫なのか? あそこは男子差別が激しいって聞いたけど」

「……まぁ、なんとかしてみせるさ」


 優弥はそう言うなら俺は構わないけど。まぁ、しんどかったらやめたら良いさ。いくら男だからって働くところが完全に無くなる訳じゃないし。たぶん。


「しゃあ、今日はだらだらするぞー」

「滝谷は毎日だらだらしてるだろ?」



 俺はうるせーよと言って優弥と一緒に笑う。なら、今日はもっといろんな物を頼むか。俺はスマホを取り出して他にも注文をしようとした時、それは起きた。


「「っ!?」」


 突然、足元が光りだした。何やら紫色の法陣が描かれている。そして、行動を起こす間も無く、光は急激に強くなり、目を開けられなくなってしまう。


「ぐっ、くそ。優弥、目ぇ大丈夫か?」

「なんとかな。それより、最悪だ」


 優弥の言う通りだ。せっかくめでたい日なのに最悪の日になってしまった。俺はため息をつきながら周りの景色を見る。


 荒れ果てた荒野だ。およそ命と言うものが感じられない場所。俺たちは最悪の場所に来てしまった。俺が周りを見ていると優弥が口を開く。


「ここが大穴の中か。なんか気味が悪いところだな」


 優弥の言う通り、ここは気味が悪い。無駄にとんでもなくでけーし、食料になりそうな物もない。果たしてどうするべきか? 助けが来るのを待つか?


「……まぁ、とりあえず歩くか?」

「そうだな、とりあえず歩くか」


 特に留まっても意味がないので歩くことにする。こんな殺風景なところを散歩していてもつまらないが仕方がない。とりあえず雑談でもするか。

 俺は優弥と雑談を始める。


「でさー、あのゲームはな? ……ん?」


 話すこと5分。遠くに何かが動いてるのが見えた。人がオープンカーに乗っている。どうやら助けに来てくれたようだ。車は俺たちの近くに止まった。


「大丈夫ですか? 襲われる前で良かったです」


 車になっているのは軍服を着たショートカットの髪の女性だ。ここにいるってことはこの人はあれだな。探索者って奴だな。


「さぁ、早く乗ってください。もし、遭遇してしまったら私じゃ庇いきれませんので」

「分かりました。ほら、滝谷も早く乗れよ」

「分かったって」


 俺たちは車に乗って移動を始めた。とりあえずはこれで一安心だな。

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