女性が強い世界だとしても俺は普通に暮らします
クククランダ
第1話 いつもの日常
「あー、もう布団から出たくねぇな」
俺は布団の中でゴロゴロする。もうこのままずっと布団の中にいたい。だが、そうは行かない。もうそろそろ奴が来る。俺の予感は当たった。ドアを開く音が聞こえる。
「おい、いつまで寝てんだよ。そろそろ学校行くぞ」
「悪い。今日は学校休むわ」
「何馬鹿なこと言ってんだよ。俺たちは今日で学校卒業だろ」
そう、俺たちは今日で高校生を卒業する。だが、俺は行かない。めんどくさいから。
「あぁ、だから優弥は俺の分まで卒業式を楽しんで来てくれ」
「何アホなこと言ってんだ。ほら行くぞ」
「うっ、寒い」
俺は布団を強引に剥ぎ取られたのでしぶしぶ起きる。俺の布団を強引に剥ぎ取ったこの金髪の名前は九条優弥。まぁ、小さい頃から一緒にいる幼馴染って奴だ。
「ほら、下で待ってるから早く来いよ」
「へいへい」
面倒くさいが行くしかないよな。俺は制服に着替えて家を出た。
「くぁー。まだ眠いな。やっぱり帰ろうかな」
「全く。ほら、最後なんだからしっかりする!」
「分かった分かった」
お前は俺の母親か!って言いたくなるが俺は親がいないからよく分からん。だいぶ昔に死んだからそういうのは知識としか知らないしな。
「あー、今日でここに来るのも最後かぁ」
「滝谷がそんなこと言うなんて珍しいな。どうしたんだ?」
俺がしみじみと感傷に浸っていると思ったのか優弥は物珍しそうな目で俺を見て来た。だが、別に感傷に浸っていた訳ではない。俺は優弥を見る。
「いやぁ。明日からのんびり出来ると思ったら少し嬉しくてな」
「……お前は相変わらずだな」
優弥はやれやれとため息をつく。だが、こればっかりは俺が正しいと思う。俺は学校に目を向ける。
「だってよ。今、何時だよ」
「え、朝の七時だろ?」
「そうだよ! 朝の7時だよ!」
俺たちはそんな早くに学校に着いた。小学生でももっと遅くに学校に来るわ!! なんだよ! 朝の7時って。しかし、周りを見ると登校している生徒たちがいる。
しかし、その生徒全員が男だ。それが意味していること。それは察しのいい人間ならもう大体分かってるだろう。この世界では女性が優遇されている。男女平等なんて神話の世界の話だ。
だが、それも仕方ない話なのだ。俺たち男は女性に全て劣っているのだから。俺はため息が出てしまう。
「何ため息ついてんだよ。ほら、早く入るぞ」
「はいはい」
俺たちは学校に入って教室に向かう。すると他の男子たちは掃除をしていた。
「おはよー」
「おう、2人とも遅いぞ! ほら、荷物置いてさっさと終わらせようぜ」
「しょうがない。やるかぁ」
俺たちも荷物をおいて掃除をする。これが俺たちの日常。それは卒業式の日だろうが変わらない。まぁ、最後だし? 別に良いんだけどね?
「いやー、終わった終わったぁ!」
「だなぁ。疲れたなぁ」
掃除も終わりクラスの人たちはみんなで一息つく。俺も優弥もさっき買った飲み物を飲みながら終わったことを実感する。
「あ、そうだ! どうせならみんなで写真撮ろうぜ!」
「お、良いな。それ!」
「よし、みんな集まれ集まれ!」
すると生徒たちは1箇所に集まって写真を撮る。俺も優弥も一緒になって撮った。こいつらと会えたのは良かったな。来て良かった、そう思った。
「お、女子たちが登校してきたな。もうそんな時間か」
時計を見ると8時半くらい。1時間とちょっとくらいか? 全く女性は楽で良いよなぁ。
そうして高校生活最後の日が始まった。
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