第7話 哀れな人

 翌日、スミス家は、奥様が外出中だった。

 台所で、サマンサおばさんからプディングをいただき、帰ろうとしたところで、スミス家の孫達と鉢合わせした。

 孫達の後ろには、客人がいて、スミス家の客人としては、品の無い男3人だった。

 

 ソニーは、孫達に挨拶をして、客人の横を通り、帰ろうとした。


「痛い!」


 客人のひとりが、ソニーの腕を引き千切らんばかりに引っ張り上げた。


「何する気だ、離せ。」

「そうよ。子供に手を出すなんて最低よ!高貴な目的を遂行する人達とは思えないわ!」

 孫達は、声を荒げた。


「馬鹿か、お前達は。」

 男達は、大笑いした。

「高貴な目的かなんか知らねぇよ。金を貰えるって言うから来ただけさ。」

 ソニーの腕を掴んでいる男が、バカ笑いをした。


「そんなハズない!私達は、信頼されている。これからリシャール王の時代を終わらせるのよ。」

 孫娘は、男に詰め寄った。


「お兄ちゃんを離せ!」

 マックスがソニーにしがみついた。


「お前らの仲間は、夜中に修道院の側で捕まったぜ。危ねえ、危ねえ、離れてて良かったぜ。今日は、お前達のお屋敷に強盗に来ただけだよ。」

 男達が、孫達を捕まえようと動き出した途端、ドアから沢山の警備兵が突入して来た。




 ソニーとマックスは、ブラザーキンブルの前で大声で泣いていた。


「また、坊や達か、怖い思いをしたな。」

 リリィと一緒に町に来たトーマス・リープが泣いているソニーとマックスを抱きしめた。



 ブラザーキンブルは、抱きしめなかった。

 特定の子供に肩入れする事は、出来ない、修道院にいる子供達の多くは、親を求めているからだ。



 強盗に来た男達3人とスミス家の孫達が警備兵に連れて行かれる。

 2人は、憔悴しきった様子で歩いていた。


 リシャール王に、仕えたスミス家は、孫達によって、祖先が作った栄華を簡単に壊した。


 リシャール王に、情けは有るだろうが裏切りは許さない。

 特に昨今の不穏な動きには、対処を気を付けなければならないだろう。

 残念な事に、スミス家は頼みの綱の息子夫婦に先立たれたのは痛かった。

 孫達には、リシャール王への忠誠心を伝えられなかったようだ。

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