第5話 「七人の侍」は、剣豪の時代に刃が立たない!
「七人の侍」は、黒澤明の代表作で、よく知られています。百姓に雇われた七人の侍たちが、都落ちしてきた武士団の略奪から村落を守ることを考えた結果、ちょっとした烈しい戦争になるわけです。実は、彼らは自衛隊だったのですね。
日本人は、スポーツの日本代表をサムライに見立てて、みんなで応援したりもします。ところが、こうした「七人の侍」が制度化されると(成功体験の制度化ですけれど)、ある種、冷戦の英雄が埋もれてしまう時代が来ると思うのです。
戦国の世から下って、幕末の志士は、みんな剣道の嗜みがあって、酒豪という側面も持ち、ひとりひとりが独立した剣豪だったわけです。もちろん、詩作の才覚にも長けて、「最近のゆとりは生意気だ」などと愚痴っていれば、闇に葬られかねません。そして、斯くいう、幕末の志士たちも、「七人の帝」が自発して、次の世代に埋もれていく運命にあるのです。
じゃあ、なぜ、日本は何度も敗北を繰り返すのでしょうか?
天王星の時代に革命児であっても、海王星が発見され、普及し始めると、誰もが構想力があって、ビジョンに満ちています。アブダクションの編集工学が当たり前に駆使できるわけで、しかも、編集学校の門を叩けば、自ずから教えてもらえるという、恐ろしい時代になりました。
監督が打撃に拘っていても、振り子足打法なんて、もう、常識なのです。指導法からも根性野球のような精神論は通用しないわけで、スタッフも情報分析で競い合っています。その意味では、コーチング・メソッドも、日進月歩でした。
日本を外人から見ると、どう映るのか、こんな小話があります。
アメリカの将軍、ドイツの参謀、日本の兵隊を集めれば、最強の組織ができる、というものです。
むかしの日本人は勤勉で、二宮金次郎のように、よく働くけれど、精神論の度が過ぎるために、トップリーダーのカリスマ性だとか、セクションスタッフのマネジメント能力といった側面では、最弱だよねという陰口を叩かれていた。
むしろ、注意を払うべきなのは、日本人は、何処で失点しているか分析することであって、最弱の組織を作るには、中国の将軍、日本の参謀、イタリアの兵隊を集めればいいと、ある意味、日本人は図星のようだった。
松岡正剛さんは、同じように相手にしないかもしれないけれど、他にも似たエピソードがあって、豪華客船がタイタニックのように沈没しかかっていて、船長が海に飛び込ませるには、各国の国民性が現れるという小話です。ネットには、どういうわけかダイアモンドプリンセス号みたいで皮肉だと書いてありました。
「みなさんは、もう、飛び込みましたよ」と情報を流せば、日本人は海に飛び込み始めるというもので、さっきの竹槍部隊の日本兵と同じです。腹が立つでしょうけれど、同調圧力が強いことで、判断の基準に「みんな」が介在している。
ぼく自身、常識外れなのに、そんな所もあって、他人の芝生は青くみえるとか、人の振り見て我が振り直せという感じで、群衆と付き合ってきました。
GHQのダグラス・マッカーサーは、ぼくは大嫌いですけれども、寺島実郎さんが彼の言葉を引くと、「日本人は12歳の少年のようだ」とネットにも載っていました。簡単に要約すると、日本の集団主義そのものが、中産階級を重厚にした反面、精神性の指導で、心的成長が頭打ちになっている、というものです。
だから、徳川社会より以降で、牧場の羊のように従順に支配されることに慣れていったことで、日本人の国民性が涵養されてきたと批判されています。そこにアメリカという要因が忍び込んでくるわけですね。
ぼくの文章を読む方々は、恐らく、木端微塵にしそうですけれど、日本人は手先が器用だから、日本人は猿真似(コピー)が得意だから、日本人には哲学が欠如しているのだから、というトーンで、世間知らずで幼い民族だと罵倒されてきました。
そのむかし、外資系のテレビCMで、各国の外国人が民族性を反映した会話していて、日本向けなので、最後に日本人がひとこと喋って、その場を収めるという動画をリサーチしていたんですが、視た記憶はあるものの、どこの企業の宣伝だったか思い出せませんでした。
地球のことは、月に行って、その他の惑星に聞いて回ればよくわかるといいますけれど、日本のことも、一度、沖縄に行ってみて、諸外国の評判を聞き込めば、自分たちのことも客観的によくわかると思います。
映画関係者にとっては、ある時期までは、「菊とポケモン」じゃないですけれど、海部美知さんが、日本人にとっては、やくざ映画が海外でも流れているけれど、世界的なポジションとしては、アニメとかゲームに偏ってきているとレポートしていました。ぼくは、その時期に、20代でしたけれど、松岡正剛さんはお読みになっていたような気がします。
とりとめない記事になってしまいましたが、高杉晋作のような毛利家の参謀は、これからも非常に大切であり、その延長上に東郷平八郎の如き将軍がいれば、まず、日本人は問題なかろうと思います。しかし、未だに竹槍部隊で対応しようとする気配はあって、ぼく自身も、高杉のようにディレクションの旗振りはできても、東郷のように、総司令官にはなれないので、むしろ、中産階級の薄弱化が気になってきています。野安ゆきおさんと雑談していたのは、日本人は、(源氏か平氏かに関わらず)信長が幕府を開く野望を持っているよね、ということでした。そのうえで、外国人から、どのように映っているかを熟知することが欠かせないと思います。
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