第3話 没ネタ道場のこぼれ話
デジタル・トランスフォーメーション(DX)が普及して、経済社会も、ある意味、記号論に支配されている。経済主義は、依然として食えるかどうかだけを問うようになっていった。
ところで、働いたら負けというニートの気持ちは、実は、労働を味わったことがないと理解の範疇に入って来ない。社会の不合理を訴えて、商業主義のような長いものに巻かれるような生き方をしていると、社会全体が破綻すると嘆いているのだ。
即ち、易きに流れるような働き方で勝利者を気取っていると、むしろ、日本を滅ぼすことになる、と。同時代では、わがままな若者の一言だと片付けられたが、時間が経ってみると、社会の不合理は、格差社会となって現実化した。また、好況の折には、ひきこもった内向きの人生態度は、わがままに過ぎないと完膚なきまでに論破される羽目にもなった。
就職氷河期の再来は、好況の訪れによって、葛藤を外部化していったのである。
その結果、勝ち負けを問わず、強くなりたいというように、食えればそれでいいという経済状況が恒常化して、世論を装飾していた知が剥がれ落ちて、リアリズムに退潮していく。それはそれで、妥当な意味での鉄の意志の現われでもあった。
アストロロジーでは、ハイテク分野のことを天王星と呼んで、土星の器と区別してきた。しかし、社会のデジタル化によって、土星が司る税制もまた、変更を迫られることになった。
ぼくが、小説の中でグーグルアマゾン社会を批判するときに、天王星社会になった現在から振り返って、国家主義に制度化を考える場合、税制の適用範囲を拡大しなければならなくなった。
タックスヘイブンやデータヘイブンではないが、治外法権など、アジールは「聖域なき構造改革」でも禁忌であって、税制の範囲から外れていた。
これは小説のネタにするとヤバイ気がしたのである。
たとえば、日本の国内にあるデータのストレージでも、取引の上ではタックスフリーの扱いを受けているケースが存在していて、申告漏れでも徴税なしの原則がいくらでもあるからだ。
ちなみに、ユーチューバーはグーグルから広告の手数料を受け取っているので、必ず、税を滞納しないようにしましょう。
実は、インボイスの導入は、穴だらけの税制を封じただけであり、税の不公平を消し去る最低限の措置にしか過ぎなかった。それゆえ、本来、減税とセットでないと世論の賛成多数を得ることはできない。
先日の選挙結果のように、二項同体は中途半端なのだろうか?政権交代でも、独裁主義でもない、勝者なき民主主義に誰もが絶望を禁じ得ない。
ところが、ここで立ち止まって考えるべきは、無党派のリベラルな動きが、税制と一体となった民主主義であるという見方である。現役世代の投票率は、低迷を続けているけれど、その背景には、サラリーマンの源泉徴収が崩れて、今尚、聖域なき税制改革が支配力を持たねばならない。
そのためには、まず、収入の上昇を、天王星の周回軌道まで拡大しなければ、枯れた井戸から水を汲み上げることはできない。また、天王星のハイテク分野という性質上、電力のオーバースペックも看過できない。
そこで議論を進める上で、なぞのキーワードが浮上してくる。それは「フリーミアム」というグーグルアマゾン社会のビジネス用語である。
ITバブルが産業革命のように財貨で潤うと考えていたビジネス学者は多かったが、実際は、ゲーム産業であったり、通信のプロバイダー、そして、いわゆるシリコンバレーのGAFAなど一部のハイテク企業、ありきたりなスマホ関係、それに金融取引を取り扱っているユダヤ系のメリルリンチの他、証券会社などが生き残っているに過ぎなかった。
政府の税収を増やすには、国民所得を水増しして、天王星に切り替える必要があったのである。その際、キーワードになるのは「フリーミアム」という部分を再び、考え込むことになるだろうと、ぼくは述べたかったのである。
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