第14話 セキレイ
「セキレイ」
昼、洗濯干しにベランダへ出る。
南側の狭い道をへだてて、向かいの屋根を横にスイという感じで移動、そしてピョンととびはねるように歩くセキレイがいる。
軽やかな足運び。
左側に見えるマンションの出入口の方へ移動してきた。入ったかと思うと出て来て、横にスイ、縦にピョン。向かいの木造の集合住宅の方へ、道をジグザグに気ぜわしく行く。
そこへ、マンションの出入口から、黒トラが出てくる。
セキレイとネコはハチ合わす。
セキレイとネコは一瞬立ち止り、互いを見る。
猫は襲いかかるかっこうではない。
セキレイは猫の方へスイと近寄っていく。そしてジグザグと軽快だ。
猫は何を思ったか、向かいの木造の集合住宅の駐輪場へ。
一声、ニャンと言って、入っていってしまった。
セキレイは相変わらず、スイスイ、ジグザグ。
そこへ、姿を消したはずの猫が飛び出した。
ワッ! という感じで驚かしている。
さすがのセキレイも飛び上がる。しかし、逃げるわけではない。
猫の首には、緑のネクタイ。
セキレイは、少し太り気味みだが身軽に動く。
いい遊び友だちなのだ、セキレイと猫は。
良いものを見たなという、何か少し幸せな気分になる。
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