第5話
「...え?」と、聞き違いかと思って思わず聞き返す。
「え?じゃないよ?付き合おうってー!」
「...いや、付き合う...?ん?本当に?意味わかっていってる...?」
すると、楽しそうに笑いながら彼女は言う。
「わかってるよー!付き合うっていうのは、一緒にご飯食べたりー、デートしたり...エッチしたりぃ?違う?」と、可愛く笑顔を振り撒く。
「...いや、そ、そうだけど...その...何で...?」
「なんでって!それはつーくんが私の初恋の相手だからに決まってんじゃん!」
そんな言葉に思わず、ドキッとしながら目を逸らす。
「...うん。でも...ごめん」と、断った。
断った理由はいくつかある。
今の俺と彼女では釣り合いが取れないこと、現時点では好きだと言い切れないこと、俺の過去の気持ちに蹴りをつけていないこと...。
多分、それを全てほっぽって付き合うこともできなくもないが...。
「そっか!それは残念!じゃあー、つーくんの好きなタイプ教えてー?」
「...タイプ...んー...なんだろう。優しい子...とか、包容力ある人とか?」
「私、優しいよ!けど、包容力かぁ...。包容力...?おっぱいが大きい子に包まれたいってこと?」
「いや、全然違う。言葉にするのは難しいけど...色々俺をサポートしてくれるような優しい子的な?」
「ふーん!そういう子か!わかったわかった!お任せあれ!」
相変わらずポジティブな彼女に少し憧れの眼差しを送りながら、2人で急いで登校する。
時間ギリギリでなんとか学校に到着して、急いで席に座る。
「うーわw転校2日目に遅刻ギリギリとかやるねーw」と、雪乃が楽しげに笑う。
「...うん」
「つか、愛と一緒にきたんだwなに?w付き合ってんの?w」
「...いや、付き合ってない」
「ふーん?じゃあ、うちと付き合う?w」と、またしても告白をされる。
「...いや、それはちょっと」と、断ると「えー!wいいじゃんwうち、めっちゃうまいよ?」と、卑猥な手の動きを始める。
「...や、やめとく」と、断ると「ふーん。初めての告白で初めてフラれたーw」と、相変わらずあっけらかんとした様子の彼女であった。
そんな波乱から日常が始まる。
1限目の数学、2限目の現代文、3限目の体育、4限目の生物と、特に何か特別なことが起こることはなかった。
そのまま、お昼の時間になると、4人が当たり前のように俺の席に集まってくる。
多分、俺がいなかったときと同じように楽しそうに話し始める。
その中でも、ある1人の女の子に目が行く。
俺の初恋の女の子である、白川月に。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093088347028771
笑顔が可愛くて、照れ屋で、大人しくて、綺麗な容姿。
あの時の俺には対照的に映って、それが魅力的に見えた。
それは再会してからも変わらなかった。
最後に告白しようとして、結局勇気がなくて...。
今ならできるかも...そう思っていた。
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