第4話

「...舞」


「ちょっと時間いい?」


「...え?...うん」


 すると、舞は振り向き、そのまま歩き始める。

その後を着いていくと、5分ほどで家の近くの公園に到着する。


 すると、ベンチに座る舞。

少し間を空けて、隣に座るとポツリとつぶやく。


「...約束覚えてる?」


「...約束?」と、頭を捻ると、機嫌の悪さが悪化する。


 その様子に焦って、一生懸命思い出そうとする。

すると、何か約束をした気がしてくる。

俺が引っ越しする日、引越し業者が家で作業していると舞がやってきて...。


『絶対※※※※しようね?約束だよ?』


 そうだ。あの日、俺は舞と何か約束をしたはずだ。

けど、思い出せない。なんだっけ...。


「...ご、ごめん。引っ越しの日のことだよね?その...何か約束をしたのは覚えてるけど、何を約束をしたのか...忘れちゃって...」


「...そう。いや、忘れてるならいい」と、急に興味がなくなったように言い放つ。


「ご、ごめん...」


「司にとっては忘れられる程度の思い出だったんだし。別にいい。じゃあ、帰るわ」と、鞄を肩にかけて立ち上がり帰ろうとする。


 思わず帰ろうとしている舞の手を握る。

少し驚いた顔をした後、まるで汚いものかのように俺の手を払う。


 刹那、申し訳なさそうな顔して、すぐに睨んで「何?」と言う。


「ちょっ!ご、ごめん!その...、約束ってなんだったの?」


「...別に。子供の時の意味のない約束だし。今言っても、どうせいつかは忘れるから言わない。それじゃあ、さようなら」と、早足で帰って行った。


 再びその手を握る勇気はなくて、その背中を見送ることしかできなかった。


 家に帰ってからも必死に思い出そうとしたが、結局思い出すことはできなかった。



 ◇翌日


「おーい、朝だぞー」という父さんの声で目を覚ます。


「...んぁ?」と、携帯を見ると7:30。


「...やべっ!?」と、慌てながら準備して、適当に髪の毛を整えて家を出た。


 転校という環境変化プラス幼馴染達との再会、更に放課後にカラオケと色々と詰め込んだ結果、だいぶ熟睡してしまったようだ。


 家から学校までは徒歩で約20分。

自転車は来週買いに行くつもりだったので、今週は徒歩であり、いつもより早めに出る必要があった。


 転校して翌日に遅刻とか、印象最悪。

友達ができない要因をさらに増やしかねない。


 そうして、小走りで学校に向かっていると、昨日別れた場所で愛が立っていた。


 愛は俺を見つけると「おーい!つーくーん!時間ギリだよー!」と、大きく手を振りながら大きな声でそういった。



【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093088319813142


 つーくんは本当にやめてくれ。と、思いながらさらに小走りで近づき、「お、おはよ。愛」と、挨拶すると「おはおは!」と、相変わらず元気にそういった。


「...あと、つーくんはやめて」


「え!?なんで!?つーくんじゃん!だって!」


「...そうかもだけどさ...」


「あっ、そうだ!ね!つーくん!」


「...ん?何?」


「私、つーくんが好きなんだ!だから、付き合わない?」と、日常会話のように告白をされるのだった。

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