鳳凰の聖域
青龍王国を支配せんと影で暗躍していた『朱雀衆』、彼らの野望は玄武水柱拳の使い手である玄武とその仲間たちによって打ち砕かれ朱雀衆は壊滅した、その後玄武たちは人々を救うための旅に出た、それから三週間後、玄武たちは青龍王国の南にある鳳凰の里に来ていた。
「ここが鳳凰の里か、活気付いてると聞いていたがあまり人気がないな、どういうことだ白虎!?」
「ああ、この鳳凰の里の中心には鳳凰の聖域という場所があってそこが鳳凰の里にパワーを与えているはずなのだが…」
「鳳凰の聖域か、ところでアリアとレッド・ドラゴンが見当たらないがどこにいるんだ?」
玄武は辺りを見渡しながら白虎に尋ねる。
「あの二人は今日の宿を探しているぞ、いい宿を見つけるって息巻いてたぜ?」
「へぇそうなのか、じゃあ俺らはこの辺りで休憩してるか」
玄武と白虎は近くにあった休憩所で休憩を始めた、しばらく待っていると二人の前に人が現れた、しかしそれはアリアとレッド・ドラゴンではなく炎をモチーフにした衣装を着た妙齢の女性だった。
「あなたたちがバトルアクション玄武とその友人の白虎ですね?」
「あんたは?」
玄武は女性に尋ねる。
「私は鳳凰の里の孔雀と申します、バトルアクション玄武、あなたに頼みがあってきました」
孔雀は玄武に一礼する、その動作は美しく、彼女が高貴な出自であることを物語っていた。
「おいおい、頼みってなんだ?」
「バトルアクション玄武、あなたには鳳凰の聖域に来てもらいたいのです」
玄武は腕を組みながら孔雀の話を聞いていた、玄武は口を開く。
「鳳凰の聖域に? そりゃまたなんで?」
「理由は二つあります、一つはこの里を守ってもらうためです」
「守るだと?」
「はい、実は先日朱雀衆の残党と思われる者がこの里を襲いに来たんです、幸いにも私たちの力で撃退することができましたが次も襲撃されるかもしれません、そこで朱雀衆を壊滅させたあなた方に護衛をお願いしたいのです」
「なるほどなぁ、でも俺は今修行中だからな……どうするか……」
「もう一つ理由があります、それが本命なのですが、鳳凰の聖域には青龍国王の魂の一部が封印されているのです、それを青龍国王本人に返還して欲しいのです」
玄武は目を大きく見開く。
「何だって!?」
「このことは誰にも言っていません、青龍王国にも伝えていません、これは私の独断であり私しか知らないことです、どうか引き受けてくれませんか?」
「……わかった、引き受けよう」
「ありがとうございます! ではこちらについてきて下さい!」
孔雀に連れられて二人は鳳凰の聖域に向かう。鳳凰の聖域に着いた三人は孔雀から青龍国王の魂の一部が封印されている剣を受け取る。
「これが青龍国王の魂の一部が入った剣か、なんか凄そうなオーラが出てるな」
「確かにそうだな、だが俺たちなら大丈夫だろ」
玄武は自信満々の様子を見せる。
「よし、じゃあさっそく青龍国王を救いに行くとするか!」
玄武たちは聖域の奥へと進む。奥に進むとそこには巨大な門があった。
「あれが鳳凰の聖域の中心部に通じる扉です、そしてこの扉の向こうが鳳凰の聖域になります」
玄武は扉を見上げる。
「さてと、行くとするかな」
「待ってくれ玄武に白虎、オレも連れて行ってほしいんだ」
レッド・ドラゴンがやってくる。
「レッド・ドラゴンも来たのか」
「ああ、お前らだけに任せておくわけにはいかないしな」
白虎が答える。
「もちろんいいぜ、一緒に行こう」
「助かるよ、ありがとよ玄武」
白虎がお礼を言ったその時である、玄武たちの前に謎の大男が現れた。
「グオーッ!!俺は朱雀衆残党の一人!!スカーレット・バビロン様だ!!!」
スカーレッド・バビロンと名乗った男は身長2メートルを超える巨漢であった。玄武はスカーレットを見る。
(こいつはただものじゃない……)
「玄武、あいつかなり強そうじゃねぇか?」
白虎が玄武に声をかけると玄武は無言でうなずく。
「ふむ、貴殿らは玄武とその友人白虎と見た、我らに歯向かうというならば容赦せんぞ」
スカーレットの言葉に白虎とレッド・ドラゴンは臨戦態勢に入る。
「悪いけどそういう訳にはいかねえんだよなあ、どうしても邪魔するというならぶっ飛ばすまでだ」
「かかってくるがよいわ! 我が名はスカーレット・バビロン! 朱雀衆の生き残りなり!」
白虎とスカーレットの戦いが始まる。まず仕掛けたのはスカーレットだった。スカーレットは大きく跳躍すると空高く舞い上がり両手を組むと白虎に向かって急降下する。
「食らうが良い! 朱雀流波動砲!!」
白虎は迫り来るスカーレットに右ストレートを放つ。
「効かぬなあ!!」
白虎の拳はスカーレットの体を捉えたがダメージを与えた様子はなかった。
「チィッ!」
「今度はこっちの番じゃああああああ!!!」
スカーレットは叫びながら白虎に拳を振るう。
「ぐおっ!?」
白虎はなんとかガードするが吹き飛ばされてしまう。
「白虎!? くそっ!」
レッド・ドラゴンはスカーレットに拳を叩き込む。
「ふんっ!」
しかしレッド・ドラゴンの拳は受け止められてしまった。
「まだまだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
レッド・ドラゴンはラッシュを仕掛けるがスカーレットは全て受け止めた。
「そんな攻撃では俺を倒すことはできんぞぉ!!」
「くっ……! なんて奴なんだ……!」
レッド・ドラゴンの攻撃を全て受け切ったスカーレットはレッド・ドラゴンの腹に蹴りを入れる。
「ぐうぅ……!?」
レッド・ドラゴンは膝をつく。
「白虎! レッド・ドラゴン! 大丈夫か!?」
「へっ……問題ないぜ……」
「俺もまだいけるぞ……!」
「そうか、だったら……いくぜ!」
玄武は構えを取る。
「玄武水柱拳奥義・波濤連撃」
玄武の連打によりスカーレットは吹っ飛ぶ。
「うおおぉぉ!?」
「どうした? その程度か?」
「舐めるなぁ!!」
スカーレットは立ち上がると気合いの声を上げながら玄武に襲いかかった。
「朱雀流闘技・紅蓮烈風」
スカーレットの攻撃を玄武は軽々と避ける。
「なにぃ!?」
「これで終わりだ!」
玄武はスカーレットの腹部に掌底を打ち込んだ。
「ごばぁ!?」
スカーレットは地面に叩きつけられる。
「すげぇ! 玄武強いじゃん!」
「ま、当然の結果だな」
「ははは、玄武と一緒で良かったぜ」
「よし、このまま一気に青龍国王の魂を奪還するぞ!」
「おう!」
「了解!」
玄武たちは青龍国王の魂があるとされる剣の間に向かう。
「着いたか」
玄武たちが剣の間に着く。
「ここが剣の間か、さてと、青龍国王の魂はどこにあるんだ?」
「くくくっ!!青龍国王の魂が封印されている剣はすでに我が朱雀衆残党がもらった!!!」
玄武たちの前に一人の男が笑い声をあげながら現れる、それはかつて玄武が倒したはずの男だった。
「お前はリー・ファントム!!」
「くくくっ!!覚えていてくれたかバトルアクション玄武!!だがあの時とは状況が違うぞ!!俺には仲間がいるからな!!さあ!出てこい!!」
ファントムの合図とともに無数の影が現れる。
「あれは……朱雀衆残党!?」
「そうだ、青龍王国の民をさらって朱雀衆残党と融合させたのだ、この者たちは不死身だ、いくらでも補充できる」
「ふざけた真似しやがるな……」
「ふははははは!!青龍王国は我ら朱雀衆残党が支配するのだよ!!さぁ残党どもよ!!玄武たちを倒すのだ!!」
「「「オォーッ!!!」」」
「来るぜ玄武」
「わかっている、全員で迎え撃つぞ」
「了解」
「行くぞ!」
「朱雀衆残党、覚悟しろよ!」
朱雀衆の残党との戦いが始まった。
「玄武、オレたちは残党を食い止める、お前はその隙に青龍国王の魂を取り戻せ!」
「わかった!」
「任せたぞ!」
「ああ!」
白虎とレッド・ドラゴンは残党の相手を、玄武は青龍国王の魂を取り戻すために行動を開始する。
「ふはははは!!行けえぇい!」
「「「オオオッ!!」」」
残党は白虎たちに襲い掛かるが白虎とレッド・ドラゴンはそれを軽くあしらいながら反撃を行う。
「オラァ!」
「ハッ!」
「グアッ!」
「ウガッ……!」
「うおぉぉ……!」
「フゥン……! 」
「グアア……!」
「ガハ……!」
「ゴボ……!」
「ウオオオ……!!」
「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」
「グワ……!」
「ガホ……!」
「ゲバ……!」
「うおぉぉ……!」
「ぐあぁぁ……!」
「おらおらぁ!どんどん来いや!!」
「この程度で俺たちを倒せると思うなよ……!」
白虎とレッド・ドラゴンは次々と朱雀衆の残党を倒していく。
「おらあ!」
「ふん……!」
「グエェ……」
「ぐぼぁ……」
「グギャ……」
「おらおらおらおらおら!!」
「フン……!」
「グギィ……!」
「ぐべ……!」
「はっはっはーっ!!」
「ぐぶぁ……!」
「おらおらーっ!!」
「ぬん……!」
「ゲブァ……!」
「オラオラオラオラオラオラ!!」
「ゴブッ……!」
「ヌッ……!」
「ドグッ……!」
「はっはっはーっ!!」
「グゲッ……!」
「ふっ……!」
「ゴベッ……!」
白虎とレッド・ドラゴンは朱雀衆の残党を全員倒した、しかしリー・ファントムはそれを余裕の笑みを浮かべながら見ていた。
「くくくっ!!!残党を倒したぐらいでいい気になるなよ?俺のパワーアップした朱雀幻影拳を見せてやる!!来い!白虎!そして裏切り者のレッド・ドラゴンよ!!!」
白虎は白虎新橋拳、レッド・ドラゴンは朱雀赤竜拳の構えをそれぞれとった、戦いの始まりである。
「白虎流闘技・白虎白夜」
白虎は高速移動を行いながらリー・ファントムに攻撃を仕掛ける。
「無駄だ!!朱雀流闘技・朱雀火鳥」
白虎の拳はリー・ファントムの体を捉える。
「ぐっ……!」
「白虎!!」
レッド・ドラゴンは白虎に駆け寄る。
「大丈夫だ、オレは平気だぜ」
「くくっ、そうか、ならばもっと楽しませてもらおうか」
「へっ、望むところだ」
白虎とレッド・ドラゴンは再び構えを取る。
「行くぞ!白虎!レッド・ドラゴン!」
「ああ!」
「おう!」
「朱雀流闘技・朱雀火鳥」
「白虎流闘技・白虎白夜」
二人の必殺攻撃がぶつかり合う。衝撃波によって地面は割れ、空には雷雲が立ち込める。そしてレッド・ドラゴンが闘技の名前を叫ぶ!
「朱雀流闘技・朱雀烈風」
「うおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
「ぬあああぁ!!」
白虎とレッド・ドラゴンの必殺技がリー・ファントムに衝突する。
「はあ……はあ……なかなかやるじゃねぇか」
「お前もな、白虎」
白虎とレッド・ドラゴンは肩で息をしながらリー・ファントムを見る。
「まさかこれほどとはな」
リー・ファントムはボロボロになりながらも立っていた。
「だが貴様らも限界のようだな」
「確かにな……だけどよ……まだ終わってねえ!!」
「そうだな……ここからが本番だ!!」
二人は同時にリー・ファントムに向かっていく。
「白虎流闘技・白虎白夜」
「朱雀流闘技・朱雀烈風」
二人による渾身の一撃が放たれる。
「はあ……はあ……どうだ……?」
「やったか……!?」
白虎とレッド・ドラゴンはお互いの顔を見合わせる。
「はっはっは……見事だったぞ……だが……俺は不死身なのだ……!朱雀流闘技・朱雀火鳥」
白虎とレッド・ドラゴンは吹き飛ばされる。
「くそっ……!まだ生きてるのか……!」
「しぶといな……」
「しかし、リー・ファントムはなぜ不死身になったんだ」
レッド・ドラゴンは疑問を口にする。それに白虎が答える。
「わからない、しかしやつは確か朱雀幻影拳の使い手のはず…まさか!!!」
白虎はある可能性に気付く。
「おい!もしかするとあいつは……!!」
「なに!?」
「もしかしたら、奴の本当の姿は……!!」
「朱雀衆の亡霊なのか!?」
「そうだ、おそらく、やつの正体は朱雀衆の亡霊だ」
「なるほどな、それで不死身ってわけか」
「そういうことだ、だからやつを倒す方法は一つしかない」
「どうするんだ?」
「やつが不死身なら不死身でなくせば良い」
「どうやって?」
「それはな……」
白虎は白虎新橋拳の構えをとる、そしてリー・ファントムを倒す一撃を放った。
「白虎新橋拳奥義!幽明遮断撃!!!」
「なんだと!?」
白虎の連打により、リーはダメージを受け続ける。
「ぐうぅ……!」
「はっはっは!!これで終わりだぜぇ!!」
「くっ……!!朱雀流闘技・朱雀火鳥!!」
白虎の攻撃を相殺するために、リー・ファントムは朱雀火鳥を放つ。
「幽明遮断撃!!」
白虎のカウンターがリー・ファントムの体に直撃する。
「ぐああぁぁ!!」
リー・ファントムは地面に倒れ伏す。
「くっ……! なぜ……! なぜ俺の正体がわかったのだ……!」
「簡単な話さ」
「どういう意味だ……!?」
「お前は朱雀衆の亡霊だったんだよ」
「バカな……!そんなことあるか……!俺が……朱雀衆の……亡霊だと……!?」
「そうだ、お前は朱雀衆の亡霊だ」
「ふざけるな……!俺は朱雀衆の……亡霊ではない……!朱雀衆の生き残りだ……!」
「そうだな、確かに朱雀衆の生き残りかもしれない、でもお前は朱雀衆の亡霊でもある」
「なに……!?」
「朱雀衆の亡霊は死んだ後、朱雀衆の魂として生き返る、でもお前は朱雀衆の魂を取り込み、自分の力にした、つまりお前は朱雀衆の魂を取り込む前は普通の人間だった、それがお前の不死身の秘密だ」
「ぐっ……!」
「これで終わりだ!!!幽明遮断撃!!!」
「ぎゃにっぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
リー・ファントムの魂は消滅した。
「終わったな……」
「ああ……」
白虎とレッド・ドラゴンは勝利を喜びあう。
「いやー、なんとか勝てたぜ」
「ああ、一時はどうなるかと思ったが」
「よし!青龍国王の魂を探しに行くか」
「ああ」
白虎とレッド・ドラゴンは青龍国王の魂を探すために剣の間を出ていった。
一方その頃、玄武は青龍国王の魂がいる玉座の間に向かっていた。
「青龍国王様、失礼します」
玄武は扉を開ける。
「むっ?誰だ……?」
そこには青龍国王がいた。そして玄武は驚く。
「え……?あなたは……!」
「久しぶりだね、玄武君」
「どうして……ここに……?」
玄武は混乱していた。なぜなら目の前にいる青龍国王がかつて自分が倒したはずの宿敵、朱雀に変身したからであったからだ。青龍国王の魂は玄武を見て微笑みながら話す。
「ふっふっふっふっ……」
「答えてください……!」
「まあ落ち着け、私は君の知っている朱雀じゃない、青龍国王の魂の一部であるこの私が朱雀の肉体を乗っ取ったのだよ」
「なんのために……」
「私の目的はただ一つ、朱雀の体を完全に復活させることだ」
「そのために……!」
「その通りだ、そのためには朱雀の肉片が必要でね」
「くっ……!」
「それは朱雀を倒した君のことでもあるのだ、というわけで君はここで死んでもらうよ」
青龍国王の魂は懐に手を入れ、銃を取り出す。
「さよなら、朱雀の器よ」
青龍国王の魂が引き金を引くと、銃弾が発射される。しかし、弾丸は突如現れた白虎によって防がれた。
「なっ……!?」
「大丈夫か?玄武」
「ああ、ありがとう、白虎」
「くそっ!邪魔をするな!!朱雀の肉体はもうすぐ復活するんだぞ!!」
青龍国王の魂は怒り狂いながら叫ぶ。
「悪いが、そうはさせない」
白虎は青龍国王の魂に言い放つ。
「なに……?お前に何ができると言うんだ……?」
「お前を倒し、朱雀の肉体を破壊する」
「ふっふっふっ……面白い、やってみろ……!」
青龍国王の魂はそう言うと朱雀に変身する。
「では、行くぞ!!」
朱雀は白虎に攻撃を仕掛けるが白虎はそれを難なくかわし、朱雀の背後に回る。
「ぐあっ!?」
朱雀が振り返ろうとした瞬間、白虎は朱雀の顔面を思い切り殴る。
「がっ……!」
「まだまだ行くぞ!」
白虎は朱雀に連続攻撃を仕掛ける。
「ぐっ……!ぐっ……!ぐあぁ……!」
朱雀は反撃を試みるが白虎に全て弾かれる。
「なに……!なぜ当たらない……!」
「終わりだ」
白虎は朱雀の胸ぐらを掴み、持ち上げるとそのまま床に叩きつける。
「がはぁ……!」
「これでとどめだ」
白虎は朱雀に馬乗りになると拳を振り上げる。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
朱雀は白虎を蹴り飛ばす。
「なかなかやるじゃないか」
「当たり前だ……!貴様ら如きに負けるほど俺は弱くない……!!」
「へぇ……じゃあ、もっと強くしてやるよ」
白虎は朱雀の腹を殴り続ける。
「がっ……!ぐあ……!がは……!」
朱雀は白虎の攻撃に耐えきれず膝をつく。
「どうだ、降参するか?」
「誰が……!がは……!貴様などに……!」
「強情だな、じゃあもう少しだけ遊んでやるか」
白虎は朱雀の頭を掴むと、思いきり壁にぶつけた。
「ぐはっ……!」
「どうだ、まだ続けるか?」
「くっ……!まだだ……!まだ終わらん……!」
朱雀はフラつきながらも立ち上がる。
「まだやれるか、ならこっちも本気でやらせてもらう」
白虎は朱雀に拳を構える。
「朱雀流闘技・朱雀烈風」
朱雀は朱雀烈風を放つ。しかし、白虎はそれを受け流す。
「白虎流闘技・白虎白夜」
白虎も朱雀に攻撃する。
「ぐっ……!」
「白虎流闘技・白虎白夜」
白虎は朱雀に連打を浴びせる。
「ぐは……!がは……!」
「これで終わりだ」
白虎は朱雀の顎をアッパーする。朱雀はそのまま倒れた。
「はっはっは!!朱雀衆など大したことなかったな!」
白虎は高笑いする。その時、朱雀の体が光り始める。
「なんだ……?」
「これは……!」
朱雀の体はどんどんと大きくなり、元の朱雀の姿に戻る。
「どうやら私は完全に復活できたみたいだな、青龍国王の魂と朱雀の体が融合した存在、名付けてアルティメット朱雀だ!!!」
アルティメット朱雀は白虎の腹に蹴りを入れる、白虎は吹っ飛ばされて玄武に受け止められた。
「ぐっ……!なんてパワーだ……!」
「はっはっは!!これこそが朱雀の真の力だ!!この力があれば世界を征服することだってできる!!」
「くっ……!」
白虎は立ち上がろうとするが力が入らない。
「白虎、よく頑張ったな、ここから先は俺一人で行く!!!」
玄武はバトルアクション玄武としての力を開放し、アルティメット朱雀に殴りかかる。
「無駄だ!」
アルティメット朱雀は拳を受け止めようとするが、玄武はその拳をすり抜け、拳を叩き込む。
「なに!?」
アルティメット朱雀は大きく吹き飛ぶ。
「バカな!?私の防御力を上回るとは……」
「俺の必殺技は波動砲、あらゆるものを破壊、消滅させる」
玄武は指を鳴らす。すると、玄武の周りに衝撃波が発生する。
「うおっ……!な、なにも見えない……!」
「今だ!」
玄武は朱雀の後ろに回り込むと、後ろから羽交い締めにする。
「なに!?」
「喰らえ!玄武流闘技!玄武波濤連撃!」
玄武は腕に気合いを込めると、それを朱雀に流し込んだ。
「ぐああああぁぁ!!」
朱雀は玄武の腕の中で悶える。
「これで決めるぜ、玄武流闘技奥義!玄武波濤連撃!!」
朱雀の全身にダメージが入る。そして朱雀は徐々に消えていく。
「ぐっ……!おのれぇ!!だが私は不死身だ!!また蘇ってみせる!!」
朱雀は消滅し、その場には青龍国王の魂が残る。
「くっ……!あと少しだったのに……!」
青龍国王の魂は悔しがっている。
「青龍国王、なぜ朱雀なんかと融合しようとしたんですか?」
玄武は青龍国王の魂に聞く、青龍国王の魂は観念した様子で玄武の問いに答えた。
「私の目的はただ一つ……」
青龍国王の魂がそう言うと突如、扉が開く音が聞こえる。扉の方向を見るとそこには青龍国王がいた。
「青龍国王様!?」
「玄武君、久しぶりだね」
「青龍国王様、どうしてここに……」
「ふっ……青龍国王の魂は私の中にいたんだよ」
「どういうことですか?」
「私の魂は私の肉体から離れた後この鳳凰の聖域に封印された、もし私がいなくなったとしてももう一人の私になれるようにね、しかしそうはならず私の魂は鳳凰の聖域に長いこと封印されていた、だから私の魂は私を恨み、朱雀を復活させようとしたのだ、すまなかった、私よ」
「なに……?私は青龍国王ではないだと……?」
青龍国王の魂は戸惑っていた。
「そうだ、私はお前が作り出した幻影だ」
「そんなはずはない……!私は青龍国王だ……!」
「いいや、違うね、お前は私を恨んでいるだけだ、私を倒せばお前の勝ちだ、私を倒して自分の居場所を作るんだ」
「くっ……!黙れ!私は青龍国王だ!」
青龍国王の魂は叫ぶ。
「お前の負けだ、青龍国王」
青龍国王の魂は膝をつく。
「くそっ……!くそくそくそっ……!なぜだ……!なぜこんなことに……!」
青龍国王の魂は青龍国王に取り込まれた。
「終わったか」
「ああ、しかし、これからどうしようか……」
「とりあえず鳳凰の里に戻るか」
「ああ」
二人は玉座の間を出て、廊下を歩く。
「ん?なんだ?」
「おい、あれを見ろ」
「え?ああ、あれは……」
空を鳳凰が飛んでいる、鳳凰は玄武たちを祝福するかのように羽を広げる。
「あれが鳳凰か、美しいな」
「ああ、もう帰ろう、アリアと孔雀が待っている」
玄武たちはそのまま鳳凰の里に帰っていく、鳳凰も天高く飛んでいくのであった…
~続く~
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