バトルアクション玄武
新理ツク
バトルアクション玄武
バトルアクション玄武
「玄武、今日はもうこの辺りにしようぜ」
玄武水柱拳の使い手である玄武は友人である白虎に声をかけられ正拳突きの形を止めた。
「なんだ白虎?まだ俺は疲れていないぞ?」
「空を見ろよ、もう暗いぜ?」
玄武は白虎に言われた通りに空を見た、確かに空はすでに暗くなっていた。
「確かにそうだな、そろそろ帰るか」
その時である。 突如として二人の前に謎の男が現れた。
「誰だ!」
「クックック!!! 私は朱雀衆のリー・ファントム!! 私の朱雀幻影拳を喰らうがいい!!!」
リー・ファントムが二人に襲い掛かる。だがその攻撃は全てかわされてしまう。そして逆にリー・ファントムの攻撃はすべてかわされてしまっていた。
「何故当たらない!?」
「おい!お前は何者だ!?」
「俺の名は玄武!!玄武水柱拳の使い手だ!!」
「玄武だと!? くっ……ならば死ねぃ!!!」
リー・ファントムはそう言うと再び玄武へ襲いかかる。
「遅いんだよ!!!」
「ぐあぁーーーー!!!」
リー・ファントムは再び攻撃を仕掛けるがまたもやかわされる、今度は後ろから蹴り飛ばされてしまった。
「貴様……なぜ私が攻撃している位置がわかるのだ……」
「んなこと教えるわけねぇだろうが」
「ならばもう一度喰らえ!!」
「何度やっても同じだっての」
リー・ファントムは何度も攻撃をするがことごとくかわされていく。それどころか次第に動きが鈍くなり最後には膝をつく始末であった。
「ハァッ……ハアッ……どうしてだ……なぜ当たらん……」
「さてどうすっかな~?とりあえずアジトの場所でも教えてくれれば見逃してやるけど?」
「誰が教えるものか!!」
「なら仕方ないな」
玄武はそう言いながらゆっくりとリー・ファントムに近づく。すると突然リー・ファントムの姿が見えなくなってしまった。
「なるほど透明化って奴か、こりゃ厄介だな」
「ククク……これで貴様に勝ち目はない、大人しく投降しろ」
「断る」
玄武の言葉を聞いた瞬間リー・ファントムは姿を消してしまう、だが次の瞬間には玄武の背後に姿を現していた。
「馬鹿め!!背後をとったぞ!!」
「甘いぜ」
「なんでだよぉ!!」
玄武はその攻撃を余裕をもって避けている、もはやリー・ファントムの動きは完全に見切られてしまっているようだ。その後も何度かリー・ファントムは攻撃を仕掛けたがまったく当たる気配がなかった。
「なぜ当たらないんだ!?」
「それは簡単なことだ、お前の攻撃が遅すぎるからだ」
「ふざけるな!!私はまだ本気を出してなどいない!!」
「ほう、では見せてもらおうか」
「望むところだ!!」
リーは今まで以上に素早い動きを見せると玄武に攻撃を仕掛けていく。
しかしその攻撃はことごとくかわされてしまう、それどころか隙を見つけられて反撃まで受けてしまっていた。
「うわああぁぁ!!」
「どうした?もう終わりか?」
「まだまだこれからだ!!」
リー・ファントムはさらに速度を上げ攻撃を続けるがやはりすべて避けられてしまう。
「クソッ!!なぜ当たらない!?」
「そりゃそうだろ、お前の攻撃が単調過ぎるんだよ」
「うるさい!!黙れ!!」
「まあいいや、そろそろ終わらせるか」
玄武はそう言うと構えを取る、リー・ファントムはそれを見て警戒を強めるがすぐにその表情が変わることになる。なぜならば玄武がリー・ファントムに突っ込んでいったからである。リー・ファントムはそれをギリギリのところで回避したが玄武の攻撃が頬をかすめる。
「ぐあっ!!」
(なんて速さだ!!)
リー・ファントムはなんとか体勢を立て直すと玄武に拳を叩き込むがそれも簡単にかわされてしまう。
「無駄だぜ?今の俺は玄武水柱拳の極意を極めつつあるからな」
「なんだと!?」
玄武はそう言うとさらに攻撃を続けていく、リー・ファントムは徐々に追い詰められていった。
「ぐっ……何故だ……何故攻撃があたらない!?」
「だから言ってるだろうが、お前の攻撃が遅すぎて当たらないんだよ」
玄武の言っていることは嘘ではない、事実リー・ファントムは玄武に一度も攻撃を当てることが出来ていなかった。玄武は少しずつ距離を詰めていきとうとうリー・ファントムを壁際まで追い詰めた。そして拳を構えて一気に間合いをつめる。
「喰らえ!!」
「させるかよ!!」
玄武の攻撃はリー・ファントムの目の前で見えない壁に阻まれてしまう。
「くっ……これはまさか……結界か!?」
「よくわかったな、これが私の能力だ」
「くっ……ならこれならどうだ!!」
「無駄だ!!」
玄武はリー・ファントムに向けて正拳突きを放つ、だがその攻撃もリー・ファントムの前に張られた透明な障壁によって防がれてしまう。
「そんな……馬鹿な……」
「ククク……この私の結界はあらゆる攻撃を防ぐことが出来るのだ!!」
「くっ……ならば!!」
玄武は今度は手刀の形を作るとそのまま腕を振り下ろす、すると手刀の形をした衝撃波が発生しリー・ファントムの作った結界に向かって飛んでいく。
「なっ……私の結界を破るつもりか!?」
「くたばれ!!」
玄武の手刀を受けた結界は粉々に砕け散る、そしてそのままリー・ファントムに直撃した。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「よし!効いてるぞ!!」
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
リー・ファントムはそのまま倒れた。
「よし!勝ったぞ!!」
片手を突き出し喜ぶ玄武、しかしリー・ファントムは不適に笑うのであった。
「何がおかしい!!!」
「クククッ!!気づいてないのか?貴様の友人の白虎が既にここにいないってことをよぉ!!!」
玄武は周囲を見渡す、確かに白虎に姿が見当たらない。
「俺と戦うことに夢中で気づかなかったようだなぁ!!俺はただの尖兵!白虎はすでに俺の仲間によって朱雀衆の本拠地に運ばれているんだぜ!!!」
「貴様ぁ!!」
「さあ、これで貴様も終わりだぁ!!」
リー・ファントムが玄武に飛びかかる、だがその攻撃はあっさりとかわされてしまった。
「なにぃ!?」
「残念だったな、俺は今冷静じゃねぇが怒りで我を忘れるほどバカじゃないんでね」
「き……貴様……どうやって……?」
「んなこと教えるわけねぇだろうが」
「ぐああぁーーーー!!」
玄武はリー・ファントムの腹部に強烈な一撃を与える、リー・ファントムはその場に倒れ込んだ。
「さて、とりあえずアジトの場所でも教えてもらおうかな」
「誰が教えるか!!」
「まあ、そう言うと思ってたけどな」
玄武はそう言いながらリー・ファントムに近づく、リー・ファントムも抵抗しようとするがまったく歯が立たない。
「やめろ!!やめてくれぇ!!」
「やめて欲しいなら早く場所を教えろ」
「嫌だ!!絶対に教えない!!」
「そうか、それなら仕方がないな」
玄武はそう言いながらリー・ファントムの腹に蹴りを入れる、リー・ファントムは苦しそうにもがく。
「ぐはぁ!!やめてくれ!!話すからやめて!!」
「最初から素直に話せばいいものを……」
「うぅ……私は……私は……ただ……朱雀衆の命令に従っただけなんだ……」
「お前の所属している組織の名前は?」
「……朱雀衆だ……」
「なるほどな……やはりか……」
「知っていたのか?」
「いや、知らないが予想はしていた」
「そうか……なら……助けてくれ……」
「無理だな」
「なっ!?どうしてだ!?」
「お前は自分の仲間を売っているんだ、信用できない」
「頼む!!何でもするから!!私を助けてくれ!!」
「なんでも?本当か?」
「ああ!!だから!!」
「ならばお前の持っている情報を全て俺に渡せ」
「わ……わかった……」
リー・ファントムは持っていた情報を全て玄武に伝えた。
「なるほどな、それでお前らはどうするつもりだ?」
「決まっている……我々がこの国を支配するのだ……」
「そのためにはまずこの国の国王を殺す必要があるな」
「そうだ……我々はそのための準備をしている」
「だが国王を守る護衛は強いんだろう?」
「もちろんだ、だが我々の力を持ってすれば問題ない」
「そして朱雀衆の本拠地は青龍王国の首都にあるというわけか」
「そうだ!さぁ言ったんだから助けてくれ!!!」
「断る!ほぁ!!!!」
「ぎゃにっぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
リー・ファントムはそのままお星さまになった。
「待っていてくれ白虎!!今すぐ助けに行くからな!!!」
玄武は朱雀衆の本拠地がある青龍王国の首都に向かった。
「さて、ここが首都か……随分とでかいな」
玄武は朱雀衆の本拠地が近くにある町に来ていた。
「とりあえず酒場に行ってみるか」
玄武は酒場に入ると早速情報収集を始めた。
「おい、あんた」
「ん?なんだい兄ちゃん」
「この辺で最近怪しい奴らが出入りしてるところを知らないか?」
「ああ、それならここから少し離れたところにアジトを構えてるらしいぜ、名前は確か……朱雀衆とかいう奴らの集まりだ」
「そうなのか、ありがとよ」
「おう、気をつけろよ」
玄武は酒代を払い店を後にするとその場所へと向かった。しばらく歩いていると大きな建物が見えてきた。おそらくあれが目的の場所である可能性が高い。建物の中に入る前にまず周囲を探索することにした。しかし周囲に人影は見当たらない。
「誰もいないか……やっぱりここは当たりだな」
玄武はそう呟くと勢いよく扉を開け放つ。するとそこには武装した集団がいた。
「誰だ!?」
「悪いがお前らに構ってる暇はないんでね」
玄武はそう言うと一番近くにいた男に急接近し殴り飛ばす。男は壁に激突し気絶した。
「なっ!?」
「お前らも全員ぶっ飛ばしてやるよ!」
玄武はそう言うと近くにいた男たちを次々と倒していく、その動きには無駄がなく洗練された技のように思えた。
「くそっ!!こいつ強えぞ!!」
「怯むな!!数で押し潰すんだ!!」
「無駄だ!!」
玄武は向かってくる敵を次々に倒し進んでいく、その姿はまさに修羅のようであった。
「なんでこんなに強いんだよ!?」
「もうだめだ!!逃げろ!!」
「逃がすかよ!!」
玄武は逃げ出した敵の背中に拳を叩き込む、敵は吹き飛ばされ地面に倒れ込む。
「これで全部か……ん?これは……」
玄武は部屋の奥にあった金庫を見つけると鍵をこじ開けた。
「なんだこの金は……まさか!?」
玄武は金庫にあった金を見て驚いた、なぜなら金が徐々に人間になっていったからである。
「ハハハッ!!!欲をだしたな玄武さんよぉ!!私の名前は朱雀衆のゴールド・ラッシュ!!我が朱雀衆の金庫を開けようとする不届きものを罰する存在よぉ!!!!」「貴様か!!白虎をさらったのは!!」
「そうさ!!白虎は我らが利用させてもらうよぉ!!」
「ふざけるな!!白虎は俺の友達だ!!返してもらうぞ!!」
「できるもんならやってみなぁ!!」
玄武は腰を低く構えると一気に間合いを詰める、ゴールド・ラッシュは結界を展開するが玄武はそれを気にせず突っ込んでいく。
(馬鹿め!結界はあらゆる攻撃を弾くことが出来るのだ!)
ゴールド・ラッシュはその光景を見ると笑みを浮かべる、だがその表情はすぐに驚愕のものに変わる。玄武は結界を無視して拳を突き出した、拳は結界を破壊しそのままゴールド・ラッシュに直撃する。
「がっ!?ば……馬鹿な……結界が……破られただと!?」
「残念だったな、この玄武水柱拳の極意を極めつつある今の俺は結界など通用しない!!」
「くっ……だがまだ負けてはいない!!」
ゴールド・ラッシュはそう叫ぶと腕を振るう、するとそこから衝撃波が発生し玄武を襲う。
「ふん!そんなもの効かん!!」
玄武は衝撃波を避けると今度は自分から攻撃を仕掛ける、しかし攻撃は全て結界によって防がれてしまう。
「クッ……やはり結界を破ることは出来ないか……」
「ククッ!!私の結界は無敵だ!!どんな攻撃を受けようとも跳ね返してくれる!!」
ゴールド・ラッシュの言葉を聞いた玄武はニヤリと笑う。
「そうか、なら試してみるか」
「なにぃ?」
「お前の言っていることが本当かどうか確かめてやるよ」
「何を言って……ぐあぁぁ!!」
突然ゴールド・ラッシュの体が光り出す、そして光が収まるとその体はバラバラになっていた。
「なっ……なにが……起きた……?」
「これが俺の必殺技、玄武流波動砲だ」
「がはぁっ!?」
玄武はさらに追い打ちをかけるように連続で蹴りを放つ、その度に爆発が起こりその威力の凄まじさを物語っていた。
「ぐふっ……げほっ……ごぼっ……」
ゴールド・ラッシュはそのままこと切れた。
「よし、次の階に向かうか」
玄武はそう言いながら階段を上っていく、しかしその足取りはどこか重かった。
「さて、次はどこに行けばいいんだ?」
玄武は困ってしまった、というのも実は玄武は地図を持っていないのである。そのため自分が今どこに向かっているのかわからないのだった。
「仕方ない……適当に進むか……」
玄武はそう言うと再び歩き始めた。
〜10分後〜
「ダメだ……全く道がわからねぇ……」
玄武は途方に暮れていた。
「どうするか……このままだと永遠にここに居続ける羽目になるな……」玄武はため息をつく、その時後ろから声をかけられた。
「そこのお方、どうかされましたか?」
玄武が振り返るとそこにはメイド服を着ている女性が立っていた。
「ああ、ちょっと迷子になってしまってな……」
「それは大変ですね……よろしければ私が案内しましょうか?」
「本当か!?助かる!!」
「いえ、これも仕事ですから」
女性はそう言いながら微笑む、玄武は女性の笑顔に見惚れてしまった。
「あの……何か?」
「いや、なんでもない……」
「そうですか……では行きますよ」
女性はそう言うと先へ進んでいく、玄武もそれについていった。10分ほど歩くと大きな扉の前にたどり着いた。
「ここです」
「ありがとう、ところであんたの名前は?」
「私の名前は『アリア』といいます」
「そうか、じゃあまた会える日を楽しみにしているぜ」
「はい」
「そうだ、これを渡しておくぜ」
玄武はそう言うと金貨が入った袋を渡す。
「これは?」
「礼だ、受け取ってくれ」
「わかりました、それでは失礼します」
「ああ、それじゃあな」
玄武は別れを告げるとその場を離れようとした、だがその時背後から強烈な殺気を感じた。
「!?」
玄武は咄嵯に振り向く、するとそこには巨大な剣を振りかざしている男の姿があった。
「なっ!?」
「チィ!!」
男は舌打ちすると素早く後ろに下がる。
「危ないところだったなぁ」
「お前は誰だ!?」
「俺か?俺はお前を殺すものだ」
「なぜだ!?」
「お前は邪魔なんだよ!!お前のせいで朱雀衆は壊滅寸前だ!!」
「お前らだって似たようなことをしていただろうが!!」
「うるせぇ!!お前は俺の手で殺す!!」
「待て!!その前に名を名乗れ!!」
「俺の名はダーク・ソードマン!!俺の剣を喰らえ!!!!」
「玄武流波動砲!!」
「ぎゃああああああ!!!!」
玄武は剣を避け拳を叩き込む、ダーク・ソードマンは勢いよく吹き飛び壁に激突した。
「なんだ……この強さ……まるで……化け物だ……」
ダーク・ソードマンがそう呟くとそこに1人の男がやってきた、その男の見た目はとても普通の人間のものではなかった。
「おや?これはこれは……珍しいお客様が来たみたいだね……」
その言葉に玄武は反応する。
「なんだと?貴様は一体何者なんだ!?」
「私はこの国の王だよ」
「なに!?」
玄武は驚く、目の前にいる人物は確かにこの国を治める国王であった。
「お前が……どうしてこんなところにいる!?」
「簡単な話さ、君たちが私の大切な部下を殺してくれたからね、その落とし前をつけに来たのさ」
「なに!?」
「まぁ詳しい話はあとでしようじゃないか、とりあえず今は君の相手は私じゃない」
「どういうことだ!?」
「こういうことさ」
そう言うと男は手を叩く、すると部屋の奥にある扉が開き一人の男が現れた。
「待たせたな!!俺がお前の相手をしてやる!!」
男はそう言うと玄武の方を睨みつける、その姿はまさに鬼神のようであった。
「誰だこいつは?」
「彼は私の部下でね、名前は「レッド・ドラゴン」というんだ」
「そうなのか、よろしくな」
「こちらこそよろしく頼むよ」
「挨拶は済んだようだな!!行くぞ!!」
「来い!!」
「うおおぉ!!」
レッド・ドラゴンは雄叫びをあげながら突進してくる、その勢いはまさに猪突猛進という言葉が相応しいものであった。
「ふん!!」
玄武は拳に力を込めると一気に突き出した、拳は結界をぶち破りそのままのスピードで敵に迫る。
「ぐおっ!?」
「まだまだ!!」
玄武はそう叫ぶとさらに追撃を加える、その攻撃には一切の無駄がなく洗練された動きのように思えた。
「がっ!?ぐっ!?がはっ!?」
「これで終わりだ!!」
玄武は渾身の一撃を放つ、拳は敵を吹き飛ばすとそのまま壁を貫通し外まで飛んで行った。
「レッド・ドラゴンは倒したぞ!青龍国王!!なぜここにあなたがいるんですか!!?」
「知れたことよ!私は朱雀衆の幹部だったのだ!!」
「なんだって!!」
「朱雀衆の首領である朱雀は私の友人でね、密かに朱雀衆と取引をしていたのだ!!」
「そんな……くそっ!!だが白虎は返してもらうぞ!!」
「いいとも、だがその前に私がお前を倒す!!」
「望むところだ!!」
玄武と青龍国王は同時に飛び出すと拳をぶつけ合う、その衝撃により周囲の床が砕け散る。
「やるな!!」
「そちらもな!!」
二人はそう言いながら何度も拳を打ち付けあう、その度に爆発が起こりその威力の凄まじさを物語っていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「ふぅ……ふぅ……ふぅ……」
二人の体力は限界を迎えつつあった、しかしそれでも戦いを止めることはない。
「うぉりゃ!!」
「うぐっ……」
玄武は隙をついて蹴りを放つ、しかしそれは簡単に避けられてしまう。
「なかなか鋭い攻撃だな、しかし私には効かん!!」
「くそっ!!」
「どうした?もう終わりか?」
「まだだ!!」
玄武は再び攻撃を仕掛けるがそれも全て防がれてしまう。
「ククッ!!どうやらここまでのようだな!!」
「ぐあっ!?」
玄武の体に激痛が走る、見るとそこには剣が突き刺さっていた。
「ぐっ……がはっ……」
「クハハ!!残念だったな!!所詮お前は俺の足元にも及ばない雑魚なんだよ!!」
「そんな……ことは……ない……」
「ほう、ならば証明して見せろ!!」
「ぐあぁぁ!!」
「クハハッ!!いい気味だなぁ!!」
「ぐっ……ぐぐっ……」
「諦めたほうが楽になれるぜぇ?」
「黙れ!!俺は……負けない……」
「そうか、なら死ぬんだなぁ!!」
「がはぁぁぁ!!」
青龍国王の剣が玄武を突き刺す、このままでは玄武が危ない!しかしそこにある人物が現れた。
「そこまでにしてもらいましょうか」
現れたのはメイド服を着た女性だった、しかしその体は人間のものではなく頭に猫耳がついていることから人間ではないことがわかる。
「なんだてめえは!?」
「私の名はアリア、この国の王女です」
「なにぃ!?」
「なにをしにきた?」
「もちろん貴方たちを倒しに来たのです」
「ふざけんな!!てめぇみたいな小娘に俺たちが倒せるわけねぇだろ!!」
「やってみなければわからないでしょう?」
「上等だ!!」
男はそう言うとアリアに襲いかかろうとする、しかしその瞬間玄武の体が輝き始めた。
「なんだ!?」
「あれは……まさか……」
「玄武……だと?」
光が収まるとその中心にいたのは玄武ではなく玄武の水柱拳の技である「玄武流波動砲」を放った状態の玄武の姿だった。
「お前は……誰だ?」
「俺はもうただの玄武ではない、玄武水柱拳を極めた男、バトルアクション玄武だ!!!!!」
「バトルアクション玄武……だと……?」
「そうだ、俺はお前のような悪党を許さない!!俺がお前を倒してやる!!」
「面白い!!かかってくるがいい!!」
「いくぞ!!」
バトルアクション玄武はそう言うと走り出す、その速度はまさに神速と呼べるものだった。
「速い!!」
「くらえ!!」
玄武はそう言うと拳を繰り出す、それは見事に命中し敵の体を吹っ飛ばした。
「ぐうっ……なんというパワーだ……」
「まだまだ!!」
玄武はそう言うと連続でパンチを繰り出していく、その速さは目で追うことすら難しいほどだ。
「くそっ……こんなところでやられてたまるか!!」
男は剣を構えると玄武に向かって突っ込んでいく、そのスピードは今までの比ではなかった。
「なにっ!?」
「もらった!!」
男は剣を振り下ろす、その剣は玄武の肩に直撃した。
「ぐああぁぁ!!」
「やったか!?」
男は勝利を確信する、だがその時男の剣は粉々に砕け散った。
「なにっ!?」
「俺に剣は通用しない!!」
「クソッタレ!!」
男はそう言うと懐から短刀を取り出す、そしてそれを振りかざすと玄武に向かって突進する。
「無駄だ!!」
玄武は腕をクロスさせるとそのまま剣を受け止める、その衝撃により周囲に爆風が吹き荒れる。
「ぐっ……なんて力だ!!」
「お前の力はその程度なのか?」
「なんだと……?」
「俺はまだ全力を出していないぞ?」
「なに……?」
「さて、次はこちらから行かせてもらうぞ……」
そう言うと玄武は拳を握る、するとその拳が光を放ち始める。
「喰らえ!!」
玄武はそう叫ぶと同時に拳を放つ、その拳は結界を破壊するとそのまま敵の元へと向かっていった。
「うわああぁぁ!?!?!」
玄武の攻撃は見事に命中する、青龍国王はそのまま吹っ飛んで倒れた。
「はぁはぁ…強くなったな…玄武」
青龍国王は気絶した、その顔は何かから解き放たれたかのように穏やかだった。
「お父さん…」
そう呟きながらアリアは青龍国王に近づく、その目には涙が浮かんでいる。
「アリアさん、どうしてここに?」
「私は青龍国王の娘なんです」
「なに!?」
「詳しい話はあとでします、それより今は朱雀を……」
「わかった」
玄武はそう言うと扉を開けた、そこには朱雀衆の首領である朱雀がいた。
「よく来たな、待っていたぞ」
「白虎はどこだ!!」
「まぁそう焦らずともすぐに会わせてやるさ」
そう言うと朱雀は指を鳴らす、すると部屋の奥にある扉が開き一人の男が入ってきた。
「白虎!!」
「玄武!!」
二人はお互いの名前を呼ぶと駆け寄り抱き合った。
「よかった、無事みたいだな」
「うん、でもごめんね、僕のせいで……」
「気にするな、それに白虎は悪くないさ、悪いのは全部あいつらだからな」
「ありがとう」
「それじゃあ行くか」
「うん」
二人はそう言うと立ち上がる、その表情は覚悟を決めた戦士の顔をしていた。
「おい待てよ」
その声に二人が振り返るとそこにいたのは「レッド・ドラゴン」であった。
「レッド・ドラゴン……」
「久しぶりだな、玄武」
「何しに来た?」
「なーに、ちょっと挨拶しに来ただけだ」
レッド・ドラゴンはニヤリと笑うと二人を見つめた。
「挨拶?どういうことだ?」
「実はな、俺は朱雀衆をやめることにしたんだ」
「なに!?」
「もともと朱雀衆とは利害が一致していただけで別に仲間ってわけじゃないしな」
「一緒に戦えるのか!?」
「もちろんだ、お前とならいい戦いができそうだしな」
「そうか……それは嬉しいな」
「これからよろしく頼むぜ」
「ああ、よろしくな」
「よし、そんじゃあまずは俺の実力を見せてやるよ」
「いいだろう」
「いくぜ!!」
レッド・ドラゴンはそういうと朱雀に突っ込んでいった。
「フンッ!!」
朱雀は拳を放つ、その拳は凄まじい威力を持っているように思えたがレッド・ドラゴンはそれを難なく受け止める。
「どうした?そんなもんか?」
「くそっ……」
朱雀は一旦距離を取ると今度は蹴りを放つ、しかしその攻撃も簡単に受け止められてしまう。
「ぐあっ!?」
「どうした?もう終わりか?」
「くそっ……」
「ならこっちから行くぞ!!」
レッド・ドラゴンはそう言うと拳を振るう、その攻撃は凄まじくまるで嵐のように激しいものであった。
「ぐあっ!?」
朱雀に攻撃を与えたかのように見えたそれはしかし朱雀が見せた幻影であった、実際にはレッド・ドラゴンは逆に床に伏せられていた。
「なにっ!?」
「隙だらけだ!!」
朱雀はそう言うと拳を突き出す、その一撃はレッド・ドラゴンの腹部に直撃する。
「ぐふっ……」
「まだ終わらん!!」
朱雀は追撃を加えるため拳を繰り出す、レッド・ドラゴンはそれにまともに受けて倒れてしまった。
「ぐっ……」
「これでとどめだ!!」
「させるか!!」
玄武はそう言うと拳を止める、するとそこから光が溢れ出しその光が消えるとそこには傷一つない状態のレッド・ドラゴンの姿があった。
「なんだと!?」
「へっ、この程度のダメージなら余裕で回復できるんだよ!!」
「くっ……」
「さて、次は俺の番だな」
そう言うと玄武は拳を構える、その構えは玄武水柱拳の構えを超越したものだった。
「まさか……!?」
「いくぞ!!」
玄武はそう言うと拳を繰り出す、その拳からは波動砲のような光線が発射された。
「ぐっ……うおぉ!!」
その攻撃を受け止めるために朱雀は剣を盾にする、しかしその剣は一瞬にして粉々に砕け散ってしまった。
「なにっ!?」
「喰らえ!!」
玄武は更に拳を突き出す、その一撃は確実に敵の体を捉えているように見えた。しかし次の瞬間、玄武の体は宙を舞っていた。
「なにっ!?」
「クハハ!!残念だったな!!」
「貴様……一体何をした!?」
「簡単なことだよ、俺はただ拳を突き出しただけさ」
「なにっ!?」
「お前の技を真似させて貰ったのさ」
「バカな……!?」
「お前は確かに強い、だが俺には及ばなかったようだな」
「ぐっ……!!」
「死ねぇ!!」
朱雀はそう言うと剣を振り下ろす、その剣は間違いなく玄武の体を捉えたかに見えた。
「なんだと……?」
「俺がただ何もせずにやられると思ったか?」
「まさか……お前!!」
「いくぞ!!」玄武はそう言うと拳を繰り出す、その拳は見事に命中し敵を吹っ飛ばした。
「ぐっ……!!」
「今だ!!」
玄武はそう言うと白虎の手を掴む、そしてそのまま走り出した。
「逃がすか!!」
「それはどうかな?」
そう言うと玄武は地面に拳を叩きつける、その衝撃により地面は割れ、大きな穴が生まれた。
「なにっ!?」
「喰らえ!!」
玄武はそう言うと再び拳を振り上げる、その動きはまるで巨大な隕石が落ちてくるような迫力がある。
「うおおぉ!!」
その攻撃を剣で受けるがあまりの衝撃に剣が砕け散り、その勢いで吹き飛ばされてしまう。
「ぐああぁぁ!!」
「どうした?もう終わりか?」
「ふざけやがって……」
「そろそろいいか……」
玄武はそう言うと拳を握る、するとその体が輝き始めた。
「なんだ……?」
「俺の本当の力を見せてやる!!」
玄武はそう言うと拳を構える、その姿は先ほどまでとは比べ物にならないほどの威圧感を放っている。
「いくぞ!!」
玄武はバトルアクション玄武としての力を最大限に開放してまだ誰にも見せたことのない超必殺技の名前を叫んだ。
「玄武流奥義……『大・玄武波』!!」
その言葉と同時に玄武は拳を突き出すと衝撃波が発生する、その衝撃波は朱雀を飲み込みながら進んでいきそのまま壁を破壊した。
「これが朱雀の最後か…」
玄武が呟くと突如として朱雀衆のアジトが崩壊を始めた。
「なにっ!?」
「これは……」
「どうやら崩れ始めているようですね」
「なに!?」
「どうしますか?」
「とりあえず外に出るか……」
玄武達は崩壊する建物から脱出する、するとそこは瓦礫の山となっていた。
「うわぁ……酷い有様だな……」
「そうだね……」
「まぁでもなんとか脱出できたんだし良しとしよう」
「うん……」
「さて、これからどうするか……」
玄武達が悩んでいるとアリアが話しかけてきた。
「あの……」
「ん?君は……」
「アリアです、青龍国王の娘で……」
「そういえばそうだったな、それで?」
「はい、実は私も一緒に戦いたいんです」
アリアの言葉に玄武と白虎は驚く。
「えっ?でもアリアさんはまだ子供だし……」
「大丈夫ですよ、これでも結構戦えるんですよ」
「まぁ本人がそう言うならいいんじゃないか?」
「そうだね、じゃあ一緒に行こうか」
「はい!!」
こうして玄武と白虎、レッド・ドラゴン、そして青龍国王の娘であるアリアの四人は共に戦うことになった。
「さて、それでは早速行きましょうか」
「そうだな」
「うん」
「おう」
四人はそのまま歩き続けたのであった、人々を救うために…
~続く~
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