かつてわたしが連れ去られた、洋館に向かいました。

過去の話をすると────

わたしの証言により、この洋館には警察の調査が入りました。

当時のわたしはまだ子供だったので、中で何が見つかったか、そもそもあの洋館は竹本ミヨコの家だったのか、などを教えてもらいはしたものの、はっきり覚えていませんでした。

そのため、洋館にくるよりも前に、下調べしました。

どうやら、長い間放置されている空き家らしいのです。

ロープやチェーン、テープがあちらこちらにあり、立ち入り禁止の看板もありました。

しかし、後戻りはできません。

中に入ると、ホコリにむせ返りそうでした。

それでも進みました。

あの言葉が、書かれていました。

母胎にいながらなぜ掘り起こすのか?

以前は、ただ恐ろしいだけの言葉でした。

ですが────竹本ミヨコが子供をさらわれた母親だったということを聞いてからは、こう思うようになりました。

この言葉は……母親のもとにいる子供を、なぜ引き離すのか、という意味があるのではないでしょうか。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい