第31話

side 湯島秀人





プロポーズして半年。

俺は実に誠実に成瀬涼子の恋人として頑張っている。

何にって?仕事に私生活にだ。

プロポーズして思い知らされたのは過去の俺の軽率な行動で。

彼女の母と姉の後方支援と俺の全力のプロポーズにも涼子は無表情で、


「信じられない。」


ひとこと呟いた。


「貴方一体どんだけ女遊びしてたわけ。」


彼女の姉の結城亜紀にドン引きされた。過去の事は自業自得。

しかし今さら涼子を諦める選択はない。


「それなら今からの俺を見てくれ。

信じてくれるまで待つ。」


だいたいあの「俺の女」発言をした理名って女は『みるきぃ』の理名とは別人。ただの嫌がらせ女だったんだし中井が調べてそれなりに処理した。


それから…まさかまさかであっというまに3ヶ月、4ヶ月、半年経った。

信じてくれるまで待つなんて何の具体策もなく、ずるずると月日を重ねただけ。礼儀正しいデートにだって限界がある。

惚れた女だ押し倒してえ!


「一体どうすりゃ良いんだ。」


俺が相談したのはやはり山崎勘助で、

どうやらお嬢はをしてるらしいと言う。


「何の願掛けだよ!」


俺が詰め寄ると


「お気の毒で言えません。」


何故か視線を逸らされた。

なんだよ気になるな。

そんなある夜、山崎から電話があり涼子の外出の様子を見てみろと言う。

俺は樋口を連れて物陰から涼子の姿を目で追った。


「涼子のあのスカート短か過ぎねえか。」


「若頭、見るとこ違うでしょ。」


樋口が呆れた声を出した時に涼子のスカートをガキが引っ張った。

なんだ一体。

駆け寄る山崎を視線の隅で捕らえた時、


『パパと別れて。』


ガキの声が耳に入って愕然とした。


「若頭!隠し子ですか。」


「知るかよ!」


だいたい俺と関係持った女は皆、妊娠してねえか中井と樋口が追跡調査したじゃねえか。

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