第28話
side 成瀬涼子
「失礼します。」
しとやかに一礼して和室に入り頭を上げた私は固まった。
スーツ姿の親父とお袋。まあそれは良いとして。
肝心の見合いの相手の席に座るのは
え?お義兄さん!並んで座るのは
「何で?亜紀姉も!」
結婚して成瀬からさっさと嫁に行った長女の亜紀姉さんだった。
牡丹の花に例えられた位に滅茶苦茶な美人。見た目の華麗さは残念だけど私にはないものだ。
「久しぶり、また綺麗になったね。」
ふわりと笑う壮絶イケメンは
「お袋に呼び出されたの。重大発表があるんだってね。」
亜紀姉の言葉に被さる様に襖が開き
「失礼します。」
湯島秀人が堂々と部屋に入って来た。
アンタ!帰ったんじゃなかったの。
「さ、こちらへどうぞ。」
当然の様にお袋が湯島秀人を私の隣に座らせた。
「…なんで?」
「まずは顔合わせね。こちら湯島秀人さん。湯島組のイケメン若頭よ。」
確かにイケメンだけど。それ今必要か?
「はじめまして湯島秀人です。」
お袋のセリフを綺麗にスルーした湯島秀人は座に爆弾を落とした。
「涼子さんとの結婚許可を頂きました。」
「はぁっ!?」
「あらっ!」
「そうなんだね。」
私と亜紀姉さんとお義兄さんが同時に声を上げた。
まさか重大発表って?嘘だろ。
「お袋っ、なに考えてるの!跡継ぎはどうすんだよ。何のために私が釈迦力になって見合いしてると…」
私が意気込んで言うと隣に座る湯島秀人が私の肩を抱き、
「もう無理すんな。」
優しく微笑む。無理するに決まってるでしょ!肩を抱く湯島秀人の手を叩き睨み付ける私にお袋が声をかけた。
「私、妊娠したのよ。」
「「「はあっ!?」」」
期せずして皆から声が上がった。
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