第23話
side 湯島秀人
「大きなお世話っ!」
黒のベンツの後部座席で翡翠色の振り袖を着た涼子は一段と艶っぽかった。
マジで色気がだだ漏れ。ホントに16かよ!
初めて出会った日から一年。
涼子は陰で俺を【呪いの若頭】なんてトンでもない呼び方をしてるらしいが、俺に言わせりゃ成瀬涼子は魔少女いや【魔性の女】だ。
何しろこいつと知り合ってから他の女に目が行かねえ。
お陰で俺はこの1年間気持ち悪い位に品行方正だ。
あれから何度も誘いをかけるのに、こいつは意地を張りまくり俺を無視し続けた。
挙げ句に日曜日ごとに見合いを組む始末。
「そんなつまんねえ男と会うのは止めて俺の嫁になれよ。」
「…馬鹿じゃないの。あんた湯島の跡取りじゃん。私は成瀬の跡取り娘なのよ。婿養子にでも来る気?」
「無理だな。」
「でしょう?じゃ、そこ退いて。」
ドや顔の涼子に何時もなら道をあける所だが今日は違う。
「涼子、お前が湯島に来い。」
「‥‥‥」
俺の言葉にぽかんと口を開けた涼子はニヤリと笑う俺を睨み付けた。
「成瀬を潰せってえの?冗談じゃないわよ。」
「お前が継がなくても他に居るだろ。」
「なによ!山崎にでも譲れっての?私がいるのに馬鹿言わないでよ。」
喧嘩腰の涼子は怒りで頬がほんのり赤くなって色気が2割増しだ。
「違う。状況が変わった。やっとだが。お前とのことに許しが出た。」
「「…は?」」
涼子と運転手の山崎が俺を見た。
俺は山崎に「開けろ。」と命じてドアを開けさせて涼子の隣に乗り込んだ。
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