第14話

side 成瀬涼子




「で、私をどうするの?」


寝てる振りも意味ないので後部座席で起き上がり腕組みして質問した。


「落ち着いてるね若いのに。」


「そう?」


醒めててポーカーフェイスなだけだけど。


「職業柄かしら。」


ヤクザ。私の職業と言うより家業だけどさ。私の言葉に、ああ。と納得顔の怪しい男。


「モデルの世界も裏側は汚いらしいからね。君みたいな美人も苛めにあったりするんだろうね。」


「‥‥‥」


このオヤジには私がモデルに見えるらしい。


「いくつなの?」


「15。」


「へえ。25才かぁ。食べ頃だね。」


「‥‥‥」


15だっつーの!

25才と聞き間違えてしかも食べ頃とかキモイオヤジだ。

耳も頭も顔も全部悪い。


「君をうちの別荘に招待するよ。きっと気に入る。」


「別荘?もしかして二人きり。」


「当然。」


「そう?楽しみだわ。」


「楽しみ?」


「ええ。男の人と汗をかくのなんて久しぶり。」


「そうなんだ。見かけによらず積極的だな。嬉しいよ。」


よくもまあ自分に都合よく人の言葉を変換できるな。

完璧に誤解してやがる。お目出度い。

やがてお目出度いオヤジが運転する車は国道を外れ海辺を走る。

海かぁ、久々に見た。

相手は最悪だがドライブコースは悪くない。

やがて車は大きな別荘の前に止められた。

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