第9話
side 湯島秀人
翌日。俺はSホテルに来ていた。
「若頭、マジでやるんで?」
着替える俺に声をかけるのは
「客として入ろうとするからチケットが要るんだろうが。」
「それはまあ。けど大丈夫なんですか?ホテルマンに化けるとか専門知識が…。」
「何とかなんだろ。」
「若頭ぁ…」
Sホテルのオーナーとは、旧知の仲。無理を言えばチケットも何とか出来そうだが、彼には妙齢の(行き遅れ)娘がいて頼り難いのだ。
普段からそれとなくプッシュされてるしな。いくら行き遅れでもヤクザに嫁がそうとするか?普通。どんな問題アリ娘だか…怖い怖い。
仕方なく俺はホテルマンに化けて会場に潜り込む事にした。
もちろん、セキュリティがあるからそうそう潜り込む事は出来ないが、
会場担当のホテルマン2人を買収して潜り込みの補助をさせる事にしたのだ。
どうせ1時間ほどの潜入。
怪しい動きがなきゃ直ぐに退出する。
「中井、薬に手ぇ出してる奴の目星は?」
「こいつがいちばんクサイ男です。」
中井が渡した写真を眺めて顔を頭に焼き付ける。
「都内で病院を経営してる男です。」
「医者じゃねえのか?」
「医師免状は無いですね。
父から引き継いだ病院の経営面をみてる感じですかね。」
「病院経営者が薬に手ぇ出してんのか。世も末だな。」
「
あまり見てくれは良くないが金持ちだ。贅沢好きの女にはモテそうだな。写真を見た感想はそんなもんだった。
この男に俺は煮え湯を飲まされる事になる。
まさかこの時はそんなこと考えもしなかった。
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