第3話
side 湯島秀人
「クスリの取引?」
「はい。かなり有力な情報なんですが、そいつがウチのシマのSホテルで開かれるパーティーでヤクを売り捌くらしくて。」
見合い話にうんざりしてた俺の所に飛び込んできたのは樋口英治。
甲斐性なしと俺が罵った男のひとり。
極悪顔で見るからにヤクザな男。
「Sホテルだぁ?老舗の高級ホテルだぞ。マジかよ。」
「マジです。情報源は
なんと警察官だったりする。
警察とヤクザの癒着とかそんな感じじゃねえ。
薬絡みの捜査には時間がかかる。
被害者が増えて行く現状を憂いてのやむにやまれぬ所業と言う感じだ。
湯島組は関東龍聖会じゃNo.2。薬は
「で?取引はいつ、Sホテルの何処でだ。」
「明日の正午にファッションデザイナー
「はあ?冬物だぁ!まだ夏にもなって無いぞ。」
「季節の先どりでしょう。なんでも志藤兼はそれを手にミラノに進出するらしくて力が入ってるらしいです。
専属モデルのミキさんも出るらしいですよ。」
「美人なんですか。」
北川が口を挟んだ。
「もちろん!決まってるだろ。」
「モデルの事はいい。樋口、チケットを手に入れろ。」
「すいません。無理です。」
「あ?」
「いや、睨まれても。すごい人気で若頭の分すら手に入りません。
何しろファッション関係なんてウチには無縁です。」
チッ!使えねえ。
けど、極悪ヤクザにファッションショーのチケットとか確かに無縁だよな。
「あ!
「瑠璃お嬢ですか。お待ちを。」
樋口がいそいそと電話する相手は俺の可愛い妹の
ちょっと気は強いがフランス人形みたいに可愛らしい。まだ中3だが絶世の美少女だ。
「若頭、瑠璃お嬢です。」
俺は樋口から電話を引ったくった。
「瑠璃か?」
『
「お前、志藤兼のファッションショーのチケット無いか。」
『…ない。切っていい?』
「待て待て!仕事で必要なんだ。」
『仕事?デートじゃないの。』
「焼きもちか?」
『…切る!』
「待て待て待て!マジな話だ。」
ため息をつかれてしばらく待てば、
『涼子なら持ってるかも。』
有難い言葉が返ってきた。
「涼子?」
『
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