第三の壁

第12話 武闘大会当日



 とうとう、武闘大会の日が来てしまった。


 病気?

 もう完全回復よ。


 悠長に、そんなものにかかってなんていられない。


 それよりもっとやばい命の危機が迫っているんだもの。


 その日の行動に、私の命がかかっている。

 マローナからの好感度を下げるわけにはいかないのだ。


 だから、気合で治しきった。


 というわけで完全回復した私は、クリスとともに、会場を歩きながら攻略対象を探す。


 人が多くて、平民だらけ。

 あと、筋肉だらけ。

 貴族が行くようなところじゃなかったけど、背に腹はかえられない。


 人にぶつかりそうになったら、さりげなくクリスが守ってくれる。


「手をつなぎましょう。こちらから歩いた方が安全ですよ。危なかったら私を盾にしてください」

「ありがとう」


 こういうところは、文句ないんだけど「これでお嬢様の評価があがりますように」とかつぶやくところをみると、見なおしにくくなるのでやめてほしい。


 クリスに守られつつ、歩いていく事数分。


 見つけた。


 むさくるしい筋肉の中に、やたらと顔のいい美形が一人。


 あれに違いない。攻略対象発見。


「クリス、あれがそう?」


 私の頭の中にも知識があるけど、一応知っている人に確認。


「ええ、私の乙女ゲームの知識の中にいた人物です」


 なら、あの人物がヒロインと会わないように頑張らなければ。


 


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