第11話 全力で病気をなおす



 生きた心地がしなかった時間が、通り過ぎた。


 マローナがいなくなった部屋でため息をつく。


「はぁ~」


 これで何度目だろう、またの無茶ぶり。


 普段からわがままなのよね。


 自分の誘いにのってくれないと、すねるし。

 ほしいものは譲らないと、怒るし。


 とはいえ、彼女から直々に頼まれてしまったからには、ほかに選択肢がない。


 私はその日から、ありとあらゆる方法をつかって、病気を治すことに専念した。


 薬は良いものを処方してもらったし、食事も精のつくものにした。


 途中でかかりつけの医者が「一時間で完全回復する秘薬がありますが、その代わり失敗すると永遠に目が覚めなく効果があります。そこまで言うなら使いますか?」なんて言ってきて悩んだけど、必死な顔したクリスにとめられた。


 さすがに、そんなリスクの高い薬は飲めない。


 体調が回復しなかったら、やむおえない服薬になるかもしれないけど、幸いな事に順調に治っていったので、出番はこなかった。


 無駄に死の壁を乗り越えずにすんだようだ。


 必死な努力が功をなしたのだろう。

 数日経つころには、軽く運動できるまでになっていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る