第8話 マローナ・キャンディル



 応接室に通された悪役令嬢マローナは、父と母に挨拶しているらしい。

 稼げる時間はざっと10分ほど。

 その間に私は、クリスと共に悪役令嬢の情報を復習する事になった。


 マローナ・キャンディル。


 平民であるヒロインの事が気にくわずに、あの手この手で嫌がらせをする。


 ヒロインが攻略対象に近づくと、不相応だといって彼らの中を引き裂こうとするのだ。


 逆らった物の末路は、破滅一直線。


 自宅屋敷の地下にある牢獄に軟禁して、お仕置きされるらしい。


 彼女に連行されていった人間を、その後見た人はいないとか。


 限度ってものがあるでしょう!


 乙女ゲームに出てきて良いの!?


 彼女、ナチュラルに犯罪者の分類に片足つっ込んでない!?


 好きな物は栗スイーツ。

 嫌いな物はあつあつの焼き栗。


 嫌な話題は蛇。子供の頃にかまれたことがあるらしい。


 好きな言葉は権力、資産、コネクション。

 趣味は鞭をコレクションする事。


「予想外に可愛らしい好みはおいといて、趣味が鞭の収集ってなに?」

「つっ込むだけ無駄かと。制作サイドの正気を疑ってください」


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