第3話 ぎこちない関係



 そんなわけだから、記憶を思い出した私は、彼と距離をとっていた。


 乙女ゲームうんぬんについて冷静に考えられるような状況ではない。


「お嬢様」

「なっ、なにかしら」

「やっぱり私に何か隠し事をしてますね」

「そっ、そんな事はないわよ」


 視線を合わせられない。

 今合わせたら、目が泳いでいることがばれる。


 精一杯誤魔化すものの、彼の追求がするどくなるのを止められらない。


 ああ、運命の神様。


 なんでこんな危険物取扱資格がないと扱えないような爆弾を私の傍に寄越したんですか。


 なんでこんな危険人物をセットで転生させたんですか。


 クリスは私の手をとって、心配そうに微笑みかける。


「何か悩み事があったら、私に相談してください。私はあなたの使用人なのですから。一人で悩んでいてはだめですよ」


 まあ、今のクリスは前の世界ほどではないから、若干マシではあるのよね。


「今の立場が嫌になったとかでしたら、逃げる時にどうか私をお連れください。世界のどこにでもついて行きますからね」

「するわけないでしょう」


 たまに、変な言動はするけど。


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